自分も認知症の父がいたので気持ちは分かります。「存在しないお菓子」を勧める場面がとても印象的でした。認知症によって崩れていく現実の中で、その瞬間だけ昔の優しい時間が確かに戻ってきたようで、静かな切なさがあります。また、花の庭がブルーシートに覆われる描写も強く心に残りました。人が亡くなった後の空白や、時間の冷たさが一気に伝わってきます。優しさだけではなく、人間の弱さや醜さにも触れているからこそ、最後の「知られたくなかったのかもしれない」という想いがとても深く響く作品でした。
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