概要
好きだと言えなかった男が、逆さまになって、一回だけ言う。
熊本から南、霧の国道を走る奥山と綾子。五年間、奥山は「好きだ」と言えなかった。言えないのは感情がないからではない。言葉にした瞬間に、何かが死ぬ気がするからだ。
薬を飲んでいない綾子は今日、予言みたいな言葉を話す。霧の中に置かれたように立つ人影を見て言う。「あの人はあなたを探してた。ずっと前から」。
バックギアを入れた。理由はわからなかった。体が先に動いていた。
壊れた場所で、逆さまで、血が溜まったまま、奥山は言った。
五年間、一度も言えなかった言葉を。
薬を飲んでいない綾子は今日、予言みたいな言葉を話す。霧の中に置かれたように立つ人影を見て言う。「あの人はあなたを探してた。ずっと前から」。
バックギアを入れた。理由はわからなかった。体が先に動いていた。
壊れた場所で、逆さまで、血が溜まったまま、奥山は言った。
五年間、一度も言えなかった言葉を。
ここまでの歪みに耐えてくれて、ありがとう。
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