昨今、日常の中にあるものほど、生活の一部として忘れてしまう方が多いのではないでしょうか。本作は、作者様の日常のエピソードを通して、そんな『忘れ物』の素晴らしさに気づかせてくれます。「あったなー」「わかるかも……」「初めて知った!」読み進める中で、きっとこのどれかを口ずさんでしまうはずです。時には自分の知らない世界を知り、時には何気ない日常を振り返ることができる。そして、彩りのある描写に触れていくうちに、ハッとするのです。自身の何気ないあの時も、忙しい今も、ちゃんと輝いていたんだな、と。そんなことを教えてくれる温かい作品です。
日常の切り取り方が、まるで高解像度のレンズを覗いているように感じられます。適度に写実的で、適度に叙事的で、短い文章の中にも独特の瑞々しさを覚えるエッセイです。何気ない日常は、だからこそ特別。そんな風に思わせてくれる筆致の作品です。現在公開されているエピソードの中では、「私だけのもの」が個人的に一番好きです。
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