置いてけぼりの後悔にさようなら

「誰がこいつなんかと」


売り言葉に買い言葉のような彼の言葉は、私の胸に深く突き刺さった。

前の日まで仲良く遊んでたのに、それがきっかけでぎくしゃくしてしまった。

性別関係なく、大事な友達だと思ってたのに。私だけの勘違いだったのかな……。


ロクな会話もなく別々の中学に通って、あっという間に3年が経った。

次の春から私は東京だ。

新幹線の改札を通る前、彼が息を切らして走って来た。

「あの時はゴメン。恥ずかしくて……」

今更の謝罪。私は軽く笑って流した。

――終わったことだから、もうどうでもよかった。


「俺も東京行くから」

切ない表情で彼が言う。

私は胸を締めつけられ、未来に少しだけ希望を抱く。


……あぁ。連絡先、交換し忘れてたな。


気づいた時には、もう新幹線の中だった。

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