これはツバメと王女の物語。若いツバメと女王、とかではなく……

 思わぬ大逆転。あの有名作品が「こういう形」になるとは。

 本作はオスカー・ワイルドの「幸福の王子」をベースにした物語です。
 この作品に出てくるのは「王子」ではなく、「スタイル抜群の王女」の姿をした像となっています。

 体のあちこちに金箔やら宝石やらがついているため、「困っている人たち」にそれを分け与えて助けてあげようとします。
 オリジナルの「幸福の王子」では最後に捨てられて終わるという悲しいエンディングになりますが、本編では一体どのような形になるか。

 宝石をもらう人々。彼らもかなり癖が強く、「この人たち、本当に救う価値ある!?」とツッコミを入れたくなるのも楽しい。
 そんな人々のためにどんどん宝石が失われ、更には金箔も剝がされ……となっていきますが、だんだん思わぬ方向へと進んでいくことに。

 王女とツバメは、果たしてどんな未来を迎えるか。
 助けた人々の「その後」が思わぬ形で王女やツバメたちに作用し、最後の最後で「隠された答え」に辿り着くことに。

 王女たちのコミカルなキャラがとにかく面白く、読後感もとても良い。文学な雰囲気と共にポップな楽しさも味わえる作品です。

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