第3話 異質な事件と異端者
「さて…、ここからが本題ですが」
綺羅はそういって話を元に戻すことにした。
「今回の行方不明事件は発生からだいぶ時間が経過しています。その割にはなんの手掛かりも得られていない状態。行方をくらました彼らの私生活には何の問題も浮かび上がらなかった。いじめや不登校といった外部的な影響によって
「それは言われなくても、おおよそ分かる」
「ええ。これはあくまで現実的な話です。ですがもし、誰も想像しえないような非現実的な事象が絡んでいた場合だとしたらどうします?」
「なにが言いたい?」
「
「フン! それは大変なこったな!」
何度目かの
「それで? 具体的に元凶はどうやって被害者を拉致したというんだ? さっき言った量子的なんちゃらで仮想空間を創り出して監禁したとでも言うのかよ?」
「さすが、士季。ご名答」
「な!?」
まさか当てずっぽうで言った解答が的中したとは思ってもみなかった。
ヤマ勘で答案用紙を記入して偶然にも志望校に合格した受験生のような表情で士季は硬直した。
考えもしなかった
「さきほどの瓦礫を持ち上げた少年のように、現実には起こりえない事象を引き起こせたという話があるならば、1人の人間によって仮想空間を創り出すことだってできるはずです」
綺羅は未だ笑みを浮かべたままだった。さきほどから、どう考えても笑みを浮かべながら話すような内容ではない。なにがそんなに
「根拠は?」
「さきほども言いましたが、警察や自治体が
「こんな
「
綺羅はようやく、士季の方を向いて睨み返す。
「ですがもし、異空間に閉じ込められたという非現実的な事件だった場合は幾らでも説明がつくとは思いませんか?」
「そんなピントの外れた少年漫画のような展開があってたまるかよ!」
「それが本当だとしたらどうします?」
「一般人にそんなことが出来るはずがない!」
「そうでしょうか? 我々にも異能という法外な奇跡が宿っているではありませんか?」
「!?」
それを聞いた瞬間、士季は氷ついてしまった。今までの、ほとぼりが一瞬で冷めるように場内は沈黙と化す。
「士季、君はこの日常に溶け込み過ぎてしまいましたね」
微笑みを維持したまま、今までとは違う、どこか
忘れていた。
今まで、この一般社会に順応しすぎて、自分自身が普通からかけ離れた存在であったことを。一般人には持ちえない、人智を超えた能力を
綺羅がずっと笑みを浮かべていた理由はそれだったのだ。
「我々は異端者です。士季、君は普通からかけ離れた存在であることを、まずは再認識しなければなりません。この事件を解決できるのは異端者である俺たちなのですよ」
夕暮れの生徒会室。窓から入ってくる風は、さきほどまで
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