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第四部あとがきへの応援コメント
正直な所放射性降下物とその核兵器への影響を「過分に見積もりすぎ」ている気がします(啓蒙の意味でわざと酷く描写しているんでしょうけど)。
米ソ冷戦中に両国が頻繁に原子爆弾より破壊力も放射性物質も多い(核融合のために原爆使っているし)水爆をパカパカ大気中で爆発させていましたが、ここまでの放射能被害は起きていません。
ロシアなんぞはほぼ北極圏のノバヤゼムリャ島やカザフスタンのセミパラチンスク核実験場で世界の核実験の四分の一を実施していますがセミパラチンスクはともかく、北極圏の海流や風の流れを見てもここまでの被害は起きてません。
日独両方に勝者を作りたくは無いんでしょうが、ここまでの被害は起き得ないと思います。広島だって終戦直後は原爆投下によって以後数十年は植物も生えないなんて言われてましたが現在の姿を見たらそんな事は無いと言えます。
返信ありがとうございます。
もっと言えばロンドンへの核兵器投下より沖縄の悲劇の描写の幾つかは「あり得んな」っていう部分が多々ありました(ロンドンのもツッコミどころ満載でした(空中投下なのにクレーターが出来たり)がそれはともかく)。
これは戦艦への核兵器の戦術的運用を戦後戦艦「長門」に対して行った米軍の報告書でも明らかで、駆逐艦や軽巡洋艦クラスならともかく大戦期までに建造された超弩級戦艦ほどの厚みの金属だと原子爆弾程度の放射線の多くは直下でもない限りその分厚い装甲に阻まれてしまい艦内の兵員の多くは生き残るという報告が残っています(当実験に使用されたのは原爆より強力な水爆です)。
>反戦小説としての側面を強調するための演出的な選択
正直、反戦小説というより反核・反原発小説のように読み取れる程描写が極端だったように見受けられます。
これは、沖縄での核兵器の使用程度では足りずもっと手前の段階で大出血を伴っていなければ米軍は止まらない可能性のほうが高いからです。
それこそドイツならベルリンに押し寄せる前、「ラインの守り」作戦辺りで連合国軍に核攻撃を行わない限りスターリンはそのまま止まらず総統大本営を制圧してしまうかなと戦術的にも戦略的にも「あの男」ならやると思います。
P.S その後の核汚染という意味ではチェルノブイリ原発事故による放射性物質の拡散の方が酷かったですね。原子力発電は言うなれば「不純物の多い」低濃縮ウランを燃やすため核のゴミが排出されやすく、特にチェルノブイリ原発事故を起こしたソ連型黒鉛減速原子炉は「蓋のない練炭を縦置きした」ような構造だったため爆発事故が起きると中身の様々な放射性核種が全部出てしまうとんでもない構造の原子炉でした。
作者からの返信
ご感想をいただき、ありがとうございます。作品を深く読み込んでいただいていることが伝わり、大変嬉しく思います。
ご指摘の通り、本作では核兵器の被害、特に放射性降下物の影響を意図的に過酷に描写しています。特に第13話と第14話における核攻撃の描写は、物語の構成上、より凄惨に、より生々しく書くことを意識しました。これは反戦小説としての側面を強調するための演出的な選択でもあります。
冷戦期の核実験の実例を挙げていただきましたが、まさにその通りで、実際の核実験による被害は作中の描写ほど壊滅的ではありませんでした。広島の復興も、当初の予測を大きく覆すものでした。
第四部ではなく第五部の話になってしまいますが、18話でエミリーがテラーやフェルミを引き合いに出して懸念を示した「水爆による北半球絶滅」については、実は当時真剣に議論されていた「核爆発による大気海洋発火説」(Atmospheric Ignition)という仮説に基づいています。1942年のマンハッタン計画初期、テラーが核融合反応が大気中の窒素を連鎖的に燃焼させる可能性を提起し、ベーテらによる計算で否定されるまで、科学者たちの間で真剣な懸念事項となっていました。
核の研究が進むにつれてこれらの懸念は杞憂であることが判明したわけですが、問題は当時、核兵器の影響を十分に理解しないまま開発だけが先行していったという歴史的事実です。この「わからないまま進む恐怖」こそが、メアリーの最終的な発言へと繋がっていくのですが、現状の物語ではその流れを上手く伝えきれていないかもしれません。
この辺りに関しては、いただいたご指摘も踏まえ、改稿をする事がありましたら、その時に再検討したいと思います。ありがとうございました。
第20話:最後の希望への応援コメント
人類がまだ生きているのは、運、利害計算、規範(良心と世論)、制度と技術の安全策、そして個人と外交の土壇場の判断この5本柱がギリギリのところで絡み合ってきたからです。1962年キューバ危機では、1983年のソ連・早期警戒システム誤警報、1995年にはノルウェーの科学ロケットをロシアが核攻撃と誤認した件、全部ギリギリなところでした。物語の世界もリアルも、なんだかんだ円満な結果に見えるのは、観測選択効果(anthropic shadow)でしょう。すなわち、私たちは生き残った世界しか観測できないたから、致命的な事態が起きなかった頻度を過小評価しがちということ…
第20話:最後の希望への応援コメント
終わりのない兵器開発競争を「血を吐きながら続けるマラソン」と言ったのは
ウルトラセブンことモロボシダンだったな…
第19話:灰色の平和への応援コメント
梅津の言葉についてちょっと気になるところがあります。在位中の天皇のことを、普通は今上陛下、今上天皇、天皇陛下、軍内では大元帥陛下、大御心の使い方もあるらしい。昭和天皇は諡なので、首相は流石にそれを言わないはずと思いますが、それとも…あえて不敬な態度を取ってる?のでしょうか。
作者からの返信
陛下にしました。
細かいところに意識がいってなくてすみません。
編集済
第18話:新たな冷戦への応援コメント
リアルでは核実験の数は大気圏内だけで528回、地下1,528回。水素爆弾は多メガトン級に限っても、米ソだけで20回以上…世界はヤバいですね、冗談抜きに、なんならこの作品の結末によってはリアルのほうが惨めに見えちゃいそう…
ちなみに、沖縄に住んでいる人々は、自分らのことを琉球人というよりはウチナーンチュと呼ぶのではないでしょうか?早稲田大の文章でちょっとそれに関する記述を読みましたので。
「なお占領軍となったアメリカ軍人の多くは「琉球人/沖縄人」を、自分たちが日本の抑圧から解放した少数
民族とみなし、日本との分離政策の一環として「沖縄人(Okinawans)」を用い、また沖縄島を“Ryukyu
island”と呼んだ。そのような米軍政による公式カテゴリーの含意を帯びた「琉球人/沖縄人」という呼称へ
の反発が生まれ、当時の沖縄の人々の間では公に使うことが忌避されていたという(坂下 2017、新垣
2017)。そのような過程を経る中で復帰以前に「沖縄県民」という呼称の持つ意味合いが再形成された。さら
に復帰後、日本の行政制度内の「県」であることから不可避的に「日本」への帰属を前提にしつつも、自治や
経済自立といった「自己決定」の理念とも結び付く「琉球・沖縄人」というネーション性を帯びた「我々カテ
ゴリー」になっていったと言われる(坂下 2017)。」
もしかして実は琉球処分以後、大量の本土人が来て、沖縄からも強制か非強制的な人口流出で、本物の原住民はそんなに残されてないのでは?本土からの移民のほうが多かったらもしかして自分たちのことをウチナーンチュと呼ばないのでは?と思って更に調べてみたら、1940年代は凡そ80%ぐらいは原住民らしいとのことらしい。
「本土への流出:1940年時点で8万8,319人の沖縄出身者が本土に在住(当時の沖縄県人口の約15%)。
帝国南洋(ミクロネシア)への移動:1932年時点で南洋群島へ渡った日本人移住者のうち約57%が沖縄出身、総数は約1万5千人(約2.5%)に達していました。」
わたしはとある国のディアスポラで、個人的な意見ですが、こういう民族に対する呼称は、外からの呼び名や、略称を他民族の人、とくにその国の主体民族に使われるのはちょっと不愉快な気持ちになりますので…沖縄(ウチナーと呼んだほうがいいかな)も多分同じなのではないかと。八重山や宮古などはまた別ですけど。
作者からの返信
史実で当時使用された原爆では局地的な破壊に留まり、地球全体の生態系や大気循環システムに決定的な変化をもたらすほどの規模には至りませんでした。
物語としてやや誇張している部分もありますが、「数十発~の使用という限定的な核戦争においてでも、都市への攻撃によって大量の煤が発生し、局地的な寒冷化と農業生産の大幅な減少を引き起こし、数十億人規模の飢餓につながる可能性がある」という研究報告もありますので、油断はなりません。
琉球表記はやめて沖縄に統一しました。
第18話:新たな冷戦への応援コメント
広島型なんでしたっけ?広島大の名前が出てきたような気がしたからそこから取っている感じでしょうか。
相変わらず面白かったです。水爆に行き着いてしまいますか…
作者からの返信
この世界じゃ広島型じゃないですね......
見つけてくれてありがとうございます。修正しました。
編集済
第17話:亡霊たちの宴への応援コメント
戦争と裁判に正義もクソも無いってのに…リアルの世界もまた永遠に裁かれことのない列強たちが正義と文明を名乗り、幅をきかせているですし…世界はたまたま運よく生き残って物語よりマシなだけで、本質的にはそんなに変わりが無いでしょう。とは言え、そもそも二次大戦の参戦方はどっちもビッグプレーヤーだからどっちに転んでも苦しむ人は大抵同じカテゴリーでしょう。他国、そして軍・官僚・資産家以外のすべての人。はたから見れば、なんで私達はこんな連中が勝手に開戦した事に巻き込まれて散々な目にあった後、こんな裁判なんかにはこれっぽっちも干渉出来ないんだろ、そもそも最初からおたくらだけでやればよかったものを。
作者からの返信
戦争裁判ほど絶対的正義にほど遠いものはないですよね。
正義を規定し裁くのは勝者、裁かれて代償を支払うのは敗者のみ。最初から決まっていますから。
編集済
第14話:ロンドン最後の日への応援コメント
小説を読むだけでもこれほど寒気が走るのに、こんなことがリアルで実際起きただなんて…それも戦後二十年後の間に資料を没収されて、一世代も過ぎて世論がほとぼり冷めた状態で返還され、もはや過去の出来事としか語られることが許されなくて、2025年の今ではなおのことコンテクストから離された状態でなんとなく語られている…そういえば日本が戦時中に他国で犯した慰安婦に関する罪も、GHQの下に黙許された日本の慰安婦問題も、ほとんど無かったようにされているとも似てます。
戦争犯罪もありますし、核よりも他の戦闘や蛮行がもたらした犠牲の数のほうが遥かに多い、それでも、なんなんでしょうねこんなモノ…人間の、科学の罪の深さってやつ。
これはifだけど、かなりあり得るもう一つの現実だからこそ、怖いものです。一方、単に意識してないだけで、12500発の核弾頭が世界のあっちこっちに存在していて、そのうち三分の一はいつでも発射出来る状態…今の世界は薄氷の上に立たされた幻想、相互確証破壊の“おかげ”で核の均衡という狂った倫理で平和がかろうじて、紙一重で保証されているだけという現実を思い知らされる。
パラレルワールドが存在するのなら、この世界は単に運よくまだ生かされているだけの世界似すぎないかもしれません。
いつか、この世界もまた、数多ある世界の中に「運悪く」消されたものの一つになるでしょう。そして別の運よく存在し続けている世界では、20☓☓年、第三次世界大戦勃発、前の2回と違い、戦争の形が変えた故に、一瞬で世界は核の炎に晒され、核の冬に包まれた…僅かなところで人々はかろうじて退行した生活を許されている…という歴史改変モノを書かれるんでしょう。
なんとも言えない気持ちです。
編集済
第13話:沖縄の悲劇への応援コメント
陛下がそんな祝電を送るはずが無い!!!
大本営は、陛下の想いを踏み躙るな!!!!
沖縄は、本土を永遠に許す事は無いでしょう。
私の祖父母の故郷に、地獄の光景が生まれた事を思うと、涙と怒りで溢れてくる。
編集済
第13話:沖縄の悲劇への応援コメント
前の実験シーンよりもここの描写にはされに圧倒されました。引き込まれすぎてあまりのディテールで軽い吐き気と涙を催したぐらいに。
ここまで詳細で没入感に富む叙述、なにか特に参考にされた書籍や資料はありますか?
返信ありがとうございます。
↑のウチナンチューの吶喊は好き、史実の扱いを見てもねぇ…こういう言葉でさえ他者のものである日本語を借りなきゃならないのはpostcolonial subjectの悲しみでもあり、逞しさでもあるだろうか。
作者からの返信
核に関する文献、情報はいろいろ漁りましたが、一番コアになったのは下記です。
「the effects of nuclear weapons」 glasstone 1977
第10話:神々の黄昏への応援コメント
爆発の描写はすごい…引き込まれるようでした。
作者からの返信
読んでいただきありがとうございます。
第10章と、実際に核爆弾を使用する場面では、核の壮絶さとそれがもたらす悲惨さが少しでも伝わるよう、特に力を入れて書きました。
第11話:日出ずる国の野望への応援コメント
予想してましたが、やはり沖縄ですか。
一昨日「宝島」を見たばかりなんで、より感慨が深いです。
作者からの返信
宝島も1950年代の沖縄舞台の映画ですよね。
ツベで予告見たら面白そうでした。
最初に「宝島社の雑誌かな?」と思ったのは内緒です。
あとがきへの応援コメント
今世界は第三次世界大戦前夜になりつつあります、プーチンの野望から始まったウクライナ侵攻、台湾有事、AI開発競争とそれに伴うAIバブル、電子戦の本格化による日本の物流混乱、EUでは軍事目的のシェンゲン協定が取りざたされドイツ連邦軍はリトアニアに駐留部隊を置くことを決め、その部隊へ供給される予定の新型戦車の量産に踏み切っています。
トランプ大統領の自己満足によるウクライナ側へ多分に不利な和平案の問題や中国の動向を見るに核兵器による世界大戦の勃発は秒読みなのかもしれません。
そういう状況に一石を投じる作品ではあったのかなと愚考しております。