第33話 マグネとリディア
ツミト・カズ[此処か、、] キアータ・キン[賊の拠点の可能性もある] ミヤト・シン[今の俺らに勝てる奴、多分いね〜ぞ] ノエウ・ユリ[気を付けてね、ヒロ] ラシヨ・ヒロ[うん、じゃあ、ちょっと待っててね]小走りで走り扉を叩く。ヒ[夜分遅く、すみません旅の者ですが食料を無くし困っています、どうか分けて頂けませんでしょうか]反応が無い当然だろう、こんな夜更けに訪問者など危険極まりない、もう一度、叩いて反応が無ければ諦めようと思った時、扉が少し開き年老いた女性が顔を覗かせる。シウム・マグネ[こんな夜遅く迷惑だよ、どっか行っておくれ] ヒ[ごめんなさい、お婆さん、5人分、、いえ4人分、少なめでいいのです、どうか食料を分けて下さい、後日に必ずお返しします]深く頭を下げるヒロ。マ[あんた達、何人だい?]突然の質問にヒロは慌てて答える。ヒ[5人です] マ[それなのに、あんたは4人分っと言った何故だい?]ヒロは真剣な表情で答える。ヒ[私の失敗で路銀を失いました、私はいいのです] マ[それを良しとする連れなのかい?] ヒ[いえ、皆で分けるか我慢するかです]マグネはヒロの目を見ると、ぶんっと槍をヒロの顔に突き付ける。マ[賊には見えないね、良いだろう、その代わり3、4日ここで働いて貰う、どうだい?] ヒ[はい、喜んで、ありがとうございます]笑顔で頭を下げる。マ[連れて来な、料理は自分達でやるんだよ] ヒ[はい]返事をしてカズ達の元へ戻り説明する。カ[あぁ構わん、皆も良いか?] シ[腹減った〜飯、食えるなら何でも良いよ〜]弱々しい声のシン。ユ[うん] キ[あぁ] ヒ[じゃあ、お世話になりましょう]カズ達は家にお邪魔する。キ[この度は助けて頂きありがとうございます、キアータ・キンです] シ[ミヤト・シンです、、腹減った]キンとカズとヒロがシンを小突く。シ[ぐあっ] カ[お世話になります、ツミト・カズです] ユ[ノエウ・ユリです、感謝致します] ヒ[ラシヨ・ヒロです、ご無理を聞き入れて下さり、本当にありがとうございます] マ[私はシウム・マグネ、マグネさんっと呼んでくれればいい、それと、、こっちに来な、リディア]そう呼ばれた子は恐る恐る物陰から出て来て、マグネの後ろに隠れる。マ[ほら、あんたも自己紹介しな]そっと背中を押し前に出す、リディアと呼ばれた子を見てカズ達は驚いた。カズ達[リアラ、、]カズ達はつい声に出てしまった。マ[リアラ、、誰だい?] カ[すみません、、知り合いの子に似ていたもので]悲しそうな顔をするカズ、シンもヒロもそうだった。シウム・リディア[シウム・リディアです]そう紙に書いてカズ達に見せるとマグネの後ろに隠れる。ヒ[この子は喋れないのですか?] マ[あぁ、、事故か病気か解らん、まぁ、そ〜ゆうこった、食材はあそこにある、好きに使いな、便所は外、出て右の小屋、寝床はその辺で寝な、いいね、私達は、もう寝るよ] ヒ[ありがとうございます、お休みなさい]笑顔で見送りヒロとユリは料理に掛かる、半刻程で大量の料理が出来た。シ[うひょ〜待ってました] キ[こら静かにしろ、お二方は寝ているんだぞ]静かに、いただきますをして食べる。ユ[いっぱい使っちゃたけど、大丈夫なのヒロ] ヒ[明日、買い出しに行くし大丈夫、此処は第2都市の上ら辺かな、シン、明日の買い出し付いてきなさい] シ[ちょっ、ちょっと待てヒロ、俺、一応、火の国の王だぜ、、王が食材の荷物持ちしてたら笑われるぜ] ヒ[それもそっか、、仕方ないカズ、あんたで良いわ、キンちゃんか私どっちか居ないとシンとカズを怒る人いないからね] カ[何だ?その怒る人って] ヒ[シンとカズどっちか馬鹿やったら止める人の事よ] カ[そりゃあ、シンだけだろ]にやりと笑う。シ[へぇ~俺はカズだと思ってたがな]にやりと笑う。カ[お前だ] シ[いいや、お前の方が怒られてます〜] キ[静かにしろっと言っただろう]2人に拳骨を入れる。カ[ぐぇ] シ[ぐぅ] ヒ[これの事よ、わかった2人共] カ[へいへい] シ[わかったよ、、ったく] ヒ[私なら引っ張ったくからね]ぶんっと手を振る、カズはコクガ戦の後、叩かれて吹っ飛んだ事を思い出す。カ[シン、、ヒロのあれはキンの拳骨よりやばいぞ] シ[そ〜いや、お前、、吹っ飛んでたな]カズとシンは大人しく飯を食べ、半刻程で皆、食べ終わる。皆[ご馳走様でした]一礼して一息付く。シ[ぷはぁ食った食った、生き返ったぜ] カ[全くだ] キ[俺達は外で寝るからヒロ達は此処で休んでくれ] ヒ[うん、ありがと] ユ[じゃあ、食器、洗うね]水の塊を出し、その中に食器を入れては出していく。ユ[はい終わり、、ヒロ、水の塊まだまだ出せるけど体、洗わない?私1人だと、、ね] ヒ[そうね、、男共、私達が戻って来るまで此処で待機よ、いいわね] シ[なるべく早く頼むぜ、、眠くなってきた] カ[俺もだ、、ふぁ〜]全員そうだろう最終決戦の後なのだから。ヒ[うん、了解]2人は外へ出て少し歩きヒロは加護化して周囲を警戒する。ヒ[うん、大丈夫、良いよユリ] ユ[えぇ]加護化して2人、入れる大きさの水の塊を出し服を脱ぐ。ヒ[シンに、お湯にしてもらえば良かったね] ユ[もう服、脱いじゃったし入ろ]全裸で水の塊に入る。ヒ[あ〜〜冷たくて気持ちいい〜] ユ[えぇ、、そうね]ヒロとユリは頭まで浸かり髪も洗う。ユ[ヒロ、、旅も終わりだね、、コノハナに戻ったら、またいつも通りになるかな] ヒ[、、私、全てが終わったら街を出ようと思うの]悲しい顔をするヒロ。ユ[聞いていい?] ヒ[私、、この力で6人、殺してる] ユ[リアラの時ね] ヒ[商人の娘が6人、殺してます、なんて父さん達に会わせる顔がないよ、、最後に一言、挨拶はするけどね、、カズが言ってくれたの6人、殺したら60人、人助けしろって、、だから、また旅をして色んな所で困ってる人を手伝おうと思ってる]ヒロは空を見上げながら語る、ユリは何も言えなかった、人を殺した事が無いのだから、けどカズの為なら人だって殺せるだろうと思うユリだった、、、服を着て戻るとシンとカズは既に寝ていた。ヒ[あ〜、ごめんね、、少し遅かったね]申し訳なさそうに謝るヒロ。キ[構わん、2人共、お休み] ヒ[お休みなさい] ユ[お休み、キンちゃん]キンは加護化して丁寧にシンとカズを担ぐと外へ出る、ヒロとユリは寝袋を用意して、この部屋の月光石に蓋をする。ヒ[お休みユリ] ユ[お休みヒロ]2人は直ぐに深い眠りに付くのだった、、、朝、リディアがヒロを揺さぶる。リ[ん、、、ん、、、] ヒ[う、、うん、、]目が覚めるヒロ。マ[もう朝だよ、朝飯を作ってくれると助かるんだけどね〜] ヒ[えっ、、あっ、すみません、直ぐ作りますね、ユリ、起きて朝だよ] ユ[ん、、おはよう、、ヒロ]いつもならヒロとユリは起きている頃だったが疲れが大きかったのだろう寝過ごしてしまった。ヒ[私、朝御飯、作るから3馬鹿、起こしてきて] ユ[うん、、おはようございます、マグネさん、リディア]そう言って外へ出る、ヒロは昨日に仕込んでおいた、作り置き出して素早く用意していく、暫くするとユリとキン達が戻って来た。キン達[おはようございます]挨拶をして中に入る。ヒ[流石に全員、座れないから男共は外に持って行って食べてね] カ[あいよ] シ[わかった] キ[あぁ]男共は飯を持って外へ出る。飯を終えるとマグネがヒロ達の前に1枚の紙を見せる、そこには仕事の内容が書かれていたカズ達は紙を受け取り見て驚く。カ[マグネさん、、本当にこれを、、] シ[おいおい] キ[(申し訳ないな)] ヒ[(あ〜、、私達の感覚が狂ってるのかな)] ユ[(直ぐ終わりそう)] マ[あんた達、若いんだから3、4日で終わるだろ、よろしく頼むよ]にこやかに笑って奥の部屋にリディアと戻る。カ[これ、、買い出し以外、直ぐ終わるぞ、どうする] ヒ[マグネさん、私達が加護者って知らないもんね] シ[まぁ、やるしかね〜か] キ[ふむ、、仕方ないが今日で終わらそう、旅が終わったとはいえ、ゆっくりもしてられん]紙を持って皆に指示を出す。キ[ヒロ、カズは買い出し、ユリは水汲み、シンは畑の雑草抜き、根元まで抜けよ] シ[あいよ] キ[俺は薪割り1000本やる] ユ[そ〜いえば、あのマグネさん何してるんだろう、、こんな都市から離れて2人で暮らしてるなんて] カ[ヒロ、聞いてないの?] ヒ[聞いてないけど大丈夫だよ、優しい人だとわかるから] キ[でわ、今日で終わらして明日、出発する]皆、頷くと家を出て作業に向かう。ヒ[シン、あんたの城から金貨を借りるからね、私の分も含めてね] シ[わかった、それで頼む、それと此処の婆さんには世話になったしな多めに返してくれ] ヒ[えぇ、そうね、じゃあ行きましょうか、カズ]加護化するヒロ、カズを浮遊させようとしたが、カズは止めた。カ[まぁ待てヒロ、シンの城の城門まで競争しようぜ]加護化するカズ。ヒ[はぁ、、私が勝つに決まってるでしょ、や〜よ]溜息混じりにそう言う。カ[ほぅ、、なら俺が勝ったら昼飯、奢ってくれ、俺が負けたら俺に出来る事を聞いてやる、シン、合図してくれ]シンは手頃な小石を拾う。シ[んじゃ行くぜ] ヒ[もぅ、しょうがないわね]シンが小石を上に放り投げ地面に着いた瞬間、カズとヒロが消えた。シ[ちぇっ、、ヒロはまだ視認、出来たが、カズのは本当、、恐えぇな]苦笑いするシンだった。ヒ[嘘、、でしょ]城門前で、カズが待っていた。カ[へへっ昼飯ごちです、ヒロさん]笑顔で言うカズにヒロは言う。ヒ[わかったわよ、、買い出しも、ちゃんと手伝ってよね] カ[あいよ]機嫌良く返事する。ヒ[昨日、寝る前にマグニさんに言風、送っておいたから会いに行きましょう]ヒロは門番に話して城へ入る、マグニは鍛錬場で待っているとの事だった、扉を開けるとマグニとトールが座禅を組んでいた。ヒ[こんにちは〜]ヒロの声にマグニとトールは立ち上がる。チュード・マグニ[お待ちしておりました] マイン・トール[ヒロ殿、頼まれていた金貨です] ヒ[ありがとうございます、無理を言ってすみません、シンの分から引いといて下さい]一礼して笑顔で言うヒロ、マグニが、カズを見る。マ[ふむ、、]そしてトールを見て頷く。マ[カズさん、目的の達成、おめでとうっと言ってよろしいか、わかりませんが、どうか、このマグニと1手お手合わせ願いたい] カ[ありがとうございます、しかし加護化してないとはいえ身体能力が少し強くなっているのです、公平な勝負ではありません]断ろうとするカズにマグニは言う。マ[なるか、ならないか、、剣で語りましょう]稽古用の木刀ではなく、マグニは愛用の剣を構える、その途端に凄まじい殺気が場を支配する、カズは思わず刀に手が伸びていた。カ[本気なのですね] マ[えぇ、、受けて頂きます]カズも刀を構える。ト[頭、首、加護無しで、お願いします、始めえぇ]トールの合図で実戦に近い試合が始まるのだった、、、半刻半くらいだろうか、カズは刀を落とし剣を突き付けられていた。ト[勝負あり、それまで]手を挙げ終了の合図を出す。カ[参りました、、]目を伏せ歯を食いしばる。マ[カズさん貴方は強い、、以前の雰囲気には緩みも慢心は無かった、しかし加護を授かり目的まで果たし緩み慢心してしまった、、人は大きな力や権力を持つと変わるものです]カズは返す言葉もない、マグニの言う通り少し自惚れていた、カズは深く頭を下げ礼を言う。カ[マグニさん、ありがとうございます]マグニは、にっこり笑うと言う。マ[ははっカズさんに1つ教えるのも大変ですな〜] ト[全くです、負けては元も子もないですからな]微笑むトール。カ[(羨ましいな、あいつにこんな素晴らしい隊長達が居て)どうか、シンの事よろしくお願いします、支えてやって下さい]再びマグニとトールに頭を下げる。マ[お任せを] ト[ご安心下さい]2人は心強く返事をしてくれた、鍛錬場を後にするカズとヒロ。カ[買い出しに来て良かった、、気が引き締まったよ]表情が明るくなったと思うヒロ。ヒ[多分あんただから、マグニさん教えてくれてのよ、シンとキンちゃんなら無かったと思うわ] カ[そうか]笑顔になるカズ。ヒ[だってシンとキンちゃん緩みも慢心も無かったもん、あんただけよ] カ[そうか、、]落ち込むカズ。ヒ[さぁ買って行くわよ、荷物持ちよろしくね] カ[あいよ、、]返事に元気が無いカズだった。カズ達が食べた分と今日の分、それに10日は持つ保存食を買い終えた2人は昼飯を食べていた。カ[、、ヒロいくら俺でも大人3人分の重さがある食材、加護化しないと無理だぞ、食堂まで運ぶのだって2回、往復した] ヒ[わかってるよ、ひと目の無い所で飛んで行くから、カズはまた走る?] カ[ヒロ様、お願いします] ヒ[ふふっ素直でよろしい]カズとヒロは食べながら街を見ている。ヒ[改革、、上手くいって良かった] カ[あぁ]もう奴隷と言う者は存在しない、隊長達や皆の協力で無くなった、しかし長年、続いた制度まだ、わだかまりもある、馴染むには刻が必要なのだ。カ[ヒロ、帰りに寄りたい所があるんだ] ヒ[うん、良いわよ言うと思ってた]優しい笑顔でカズを見るのだった、、、ふわりと荷物と共に着地する2人、そこは黄色の花に囲まれた小さな墓石のある所だった、風が吹き花が揺れる、墓石の前でカズとヒロは黙祷する。カ[(リアラ、終わったよ、、君が助けてくれたお陰だ、、本当にありがとう)]涙が出そうになるが堪え黙祷を終える。カ[ヒロ、ありがとう、んじゃ戻るか] ヒ[えぇ、、リアラまた来るね]少し悲しい表情で言うと加護化してカズと飛んで戻るのだった。[キン達] ユリは水汲み、井戸から大きな瓶に水を入れる仕事だ、井戸に行かずとも加護化して瓶を水一杯にする。ユ[はい、終わりっと]シンは畑の雑草抜き、キンに根元まで抜けと言われたが加護化して雑草のみ触って根元まで燃やし尽くす。シ[よっしゃ終わり]キンは薪割り、加護化して1本の木を大きくすると力を送り綺麗な長方形の薪が1000本、出来上がる。キ[完了]全員、半刻も掛からずユリは一瞬だった、刻を持て余す3人。シ[さて、どうするか、、俺達も街に行くか?] キ[皆で行っては不味いだろう、仕事は終わらせているが] ユ[私、あの奥の部屋が気になるんだけど、、]キンが家の壁に手を当て調べる。キ[部屋が2つ、あるだけで何もなさそうだが] ユ[こんな所で2人で暮らしてるなんて不思議じゃない?] シ[まぁ確かにな、、ここ人は全然、通らね〜ぜ、獣道しか無かった] キ[わかった、ユリが気になるなら俺が聞いてこよう] シ[なら皆で行こうぜ] ユ[そうね気になるし]皆で家に入ると静かに移動する、奥には扉が2つある、左にマグネ、右にリディアとキンは感じた。キ[左がマグネさんだ、、扉を叩くぞ] シ[おう] ユ[えぇ]何故か緊張する3人、キンが扉を叩くとマグネが顔を出す。マ[どうした、何か用かい?] キ[いえ、仕事が終わりましたので世間話でもと思いまして] マ[何馬鹿な事、言ってんだい、さっさと仕事に戻りな、私は忙しいんだよ]怒鳴られるキン、その声に何事かとリディアが扉を少し開け顔を覗かせる。シ[本当だって、婆さん嘘だと思うなら見てきなよ] マ[あんたら、、嘘を付く連中には見えなかったけど、私も耄碌したね〜]マグネが悲しそうな顔をしたのでキンは言う。キ[マグネさん、、俺達は加護者なんです] マ[加護者、、]目を開き、ぽかんとすると今度は笑い出す。マ[あはは〜あんたら本気かい]その笑いに、むっとしたユリが言う。ユ[キンちゃん、シンちゃん皆で見せるよ]キン達は加護化すると口を開け驚くマグネ、リディアは目を輝かせ驚く。リ[(わぁ〜綺麗、、)] ユ[信じて頂けましたでしょうか]どや顔をするユリ。マ[、、、あんた達、、本当に、、それにその赤い髪、、火の国の王様なんじゃ]顔がみるみる真っ青になる。シ[へへっそうよ、火の国の王とは俺の事よ]シンも、どや顔になるとマグネは直ぐに土下座をして地に頭を付ける。マ[とんだ、ご無礼を、どうかあの子の命だけは、お助け下さい、私の命と引き換えにどうか]必死に頭を下げ懇願する、今度はキン達が驚く。シ[ちょっ、ちょっと待て待て顔を上げてくれ、土下座も止めてくれ頼むよ]大慌てでマグネを立たせる。キ[マグネさん、落ち着いて下さい大丈夫です、何の問題もありませんから] ユ[えっ、、と、、今は内密に国の視察をしているんです] シ[そうそう、だから今まで通りしてくれ]3人は何とかマグネを落ち着かせると話をする。シ[え〜っと、、何の話だっけ?] キ[あほ、この部屋で何をしているかだ] シ[王に向かって、あほ言うな変に思うだろ]キンを小突く。ユ[えぇ都市を離れた所で住んでいて何をしているか気になりまして]そう説明すると、マグネが部屋に入れて話してくれた。マ[私達は、此処で絹を生産して生計を立てています、この部屋で絹にして都市まで売りに行っています]機織り機の説明もしてくれた。マ[そして隣の部屋では絹芋虫の世話をしています、リディア案内して見せておくれ]リディアは頷くと手招きして案内してくれる、リディアは紙に書き、絹芋虫の説明をしてくれた。シ[うへぇ、、俺、芋虫は駄目なんだよ見ただけで悪寒が走る]キンの拳骨がシンを殴る。シ[つぅ、、おまっ]文句を言いかけた時、リディアの紙が目に入る、ごめんなさいっと書かれていた。シ[な〜んて嘘、嘘、俺、、、芋虫、大好きなんだよな、、へぇ~綺麗な模様してるな]リディアが安心した様に紙に書く。リ[この子が1番、変わって綺麗ですよ]絹芋虫を持ってきてくれた。リ[ん、、]シンの手のひらに置きたいと意思が伝わってくる。キ[(頑張れシン)] ユ[(シンちゃん頑張って)]2人してシンに視線を送る。シ[(ミヤト・シン、試練の時、負けるな俺、頑張れ俺)]少し手が震えてるが、シンの手のひらに絹芋虫が置かれる、にっこりと微笑むリディア、その顔を見たシンは一瞬で芋虫の苦手が無くなった気がした、震えてた手も止まる。シ[(この子が一生懸命、毎日世話をしているのだろう、それなのに俺は、、)]笑顔でシンは言う。シ[あぁ、、本当に綺麗だ]そしてリディアは紙に書いて色々教えてくれるのだった、、、 キ[マグネさん、リディア色々教えて頂きありがとうございます] ユ[ありがとうございます] シ[凄く為になったよ、ありがとう]3人共、頭を下げる。マ[いえいえ、それは良かったです]リディアも笑顔で応える、そろそろ昼時になる。ユ[マグネさん、リディア、昼食にしましょう、ヒロの作ってある、シチューがあるの、温めて食べましょう] マ[リディア、鍋を温めておくれ]リディアは頷くと火炎石を持って鍋に向かう、鍋の下の火種に火を付けようとするが中々、付かない。リ[ん、ん、]もうこの小さな火炎石は駄目なのだろう、シンが加護化するとリディアの側で、しゃがむ。シ[この火種だな]リディアが頷くとシンの指から小さな火が出て火が付くとリディアが小さく拍手する。シ[温まったら教えてくれ]にっこり言うシンにリディアが頷く。キ[マグネさん、先程の機織り機も随分お古い様ですが良ければ補強致しましょうか] マ[出来るなら是非お願いします] キ[了解です、でわ昼食の後やりましょう]シチューも温まり皆で美味しく食べるのだった。食後キンはマグネと部屋へ、ユリとリディアは畑に、シンは外へ手頃な岩に座ると加護化する。シ[さてと、、]子供でも安全に簡単に火を付けれる方法を考える。シ[ユリは水の塊を作ってたな、、]シンは胸の前に両手で輪の形を作ると炎の玉を想像する。シ[おっ]炎が形と成り赤い玉へと変化する。シ[おぉ]炎が物質と成り下に落ちる、地面に着いた瞬間、玉の周りが火事になる。シ[うおぉぉ~]驚いて声を上げると慌てて玉を拾い上げ周りの火を念じて消す。シ[はぁはぁ、、あ〜吃驚した、、はぁ~]そこへカズとヒロが飛んで帰って来たのが見えた。シ[お〜い、カズ、ヒロ用が済んだら来てくれ〜]下から声を掛けカズとヒロは手で了解の合図をするのだった。[終] ヒ[ただいま、戻りました〜]大声で知らせると奥の部屋からマグネとキンが出て来た。カ[ただいま、戻りました] マ[お疲れ様でした、買い出しありがとうございます]頭を下げるマグネ、ヒロとカズは不思議に思う、朝と態度が変わっていたからだ。ヒ[あの、、マグネさん何かあったのですか?]ヒロが尋ねるとキンが説明してくれた。ヒ[あ〜、、そうでしたか、隠していて、ごめんなさい驚いたですよね] カ[すみません、マグネさん]ヒロとカズは頭を下げ謝る。ヒ[食材とか色々買ってきました、本当にありがとうございます、それとこれは、お礼と宿泊費です]金貨の入った袋を渡す。マ[いえいえ、働いて貰った上に、お金まで受け取れません]遠慮するマグネ。ヒ[どうか、受け取って下さい、これは王の願いなのです(ごめん、シンの名を使うよ)]心の中で謝りマグネを説得する、王の名を出されては受け取るしかない。マ[ありがたく頂戴致します]深く頭を下げ袋を受け取る。ヒ[じゃあ、食材とか色々置いときますので、カズ運んで] カ[あいよ] キ[俺も手伝おう] マ[でわ、私は作業に戻りますね]一礼して奥の部屋に戻る、カズとキンはヒロの指示の元、荷物を運び終える。ヒ[へぇ~私も後で見せてもらおっと絹糸とか布を作ってるとこ見た事ないんだよね] カ[俺も見てみたい] キ[後で?今、見せてもらってはどうだ] ヒ[シンに呼ばれているのよ] カ[んじゃ行くか] キ[俺も行こう]3人でシンの元に向かう。カ[よぉ、んで何なんだ] シ[あぁ、、]シンは説明する。キ[ふむ、あの時の事か]キンはカズとヒロに説明する。シ[何か申し訳なくてな、、詫びつ〜か、なんつ〜か] ヒ[ふふっ優しいじゃない、良いよ皆んなで考えよ] カ[んで、その玉は?] シ[これだ]手のひらの赤い玉を見せる。カ[へぇ~綺麗じゃね〜か]不用意に玉を掴むカズ。カ[あちゃ〜〜]大声と共に玉を放り投げてしまう、玉が地面に落ち、また周りが燃える。カ[うおぉぉ~]驚くカズ、キン、ヒロ、シンが玉を拾い炎を消す。シ[わりぃ俺以外、熱いんだな] カ[あほ、火傷したわ]加護化して治すカズ、さっきの大声でユリとリディアがやって来た。ユ[今、カズちゃんの大声が聞こえたけど、、]ユリとリディアが心配そうにカズ達を見る。カ[あぁわりぃ、もう大丈夫だユリ、リディアと共に戻ってくれ]リディアに見えぬ様にヒロとキンが合図を送る。ユ[うん、わかった、リディア行こう]リディアは頷くとユリと共に戻る。カ[んじゃ考えるか、リディアでも安全に使える火の付け方を]カズ達4人で考える。カ[玉の発想は良い] キ[しかし玉全体が熱い] ヒ[ランプ風にしても玉が熱いもんね] キ[そうだな、熱が伝わって持てないだろう]皆で考えて色々言ってみるが、どれも駄目そうな案だった、1刻が過ぎる。シ[やっぱ無理か、、]深い溜息と共に玉を握り消す。キ[ふむ、、どれもしっくりこないな] ヒ[そ〜いえば、さっきユリとリディア何してたの?] キ[畑で野菜を収穫してたと思う、芋虫の餌と我々の食べる分だ、確か大根とトマトを育てていると聞いた]畑はトマトと大根の半分に区切られている、カズは畑を見て思い付く。カ[半分、、半分、、シン、さっきの玉、上半分だけ火が付く様に出来ないか?] シ[やってみよう]シンが再び玉を作る。シ[上半分は触ると火が付く、下半分を持ってみてくれ]カズは恐る恐る下半分を持ってみる。カ[熱く、、ない、これに台座付けて蓋付きにすれば安全に火を付ける事が出来るんじゃね〜か?] キ[うむ、出来そうだな]キンも頷く。ヒ[鉄鉱石いるね、買いに行ってくるよ]加護化するヒロ、それをシンが止める。シ[待てヒロ、材料なら、ここにある]シンはキンに槍を渡す。シ[もう、俺には必要ないだろう、使ってくれ]キンは受け取り加護化すると槍を変化させて作っていく、玉を中心に固定し台座は倒れぬ様に少し重く蓋を開ければ赤い玉。キ[出来たぞ、使う時は開けて、終わったら閉めれば安全だ] シ[おぉ、、ありがとなキン、それにヒロとカズも]頭を下げ礼を言う。カ[あぁ良かったな] ヒ[じゃあ、渡してきなさいよ] シ[長く保つ様に加護の力を込めとくわ、晩飯になったら呼んでくれ、キン、すまんが後1つ、作って欲しい物があるんだ] キ[わかった、カズ、ヒロはどうする] カ[芋虫、見たい] ヒ[私も] キ[ふっ、行ってこい]カズとヒロはリディアに会いに行く、リディアは喜んで説明してくれるのだった、、、皆で晩飯を終え一息付く。キ[マグネさん、私達は明日、立ちます、お世話になりました]カズ達も一礼し礼を言う。マ[いえ、こちらこそ本当に良くして頂いて、ありがとうございます]マグネも頭を下げる、後片付けも終え各々くつろぐ。カ[シン、キン、外で一杯やらないか]カズは酒瓶4本を見せる。ヒ[あんた、いつの間に、、全く]呆れるヒロ。カ[わりぃなヒロ、シンの奢りだ] シ[あぁ構わんが、もしもの時は止めてくれよカズ、キン] キ[わかっている、でわ、お疲れ様でした]キンはそう言うとカズ達と外へ出る。マ[王に外で寝てもらうなんて心苦しいですねぇ] ヒ[気にしないで下さい、私達は慣れてますから] マ[それに、こんな素晴らしい物まで頂けて]火付け台と通行許可証をシンは渡したのだ、リディアは火付け台を、とても喜んだ、紙一杯にありがとうを書く、くらいだった、そのリディアはもう疲れてマグネの膝の上で寝ている。ユ[マグネさん、、聞いても良いですか、何故こんな所で住んでいるんですか?] ヒ[ユリ]ヒロは少し怒った声で呼ぶ、何か事情があるのだろう、ユリは気になる事があると聞く癖がある。マ[いえ、構いませんよ、、もう60年前くらいなりますか、私の旦那は火の国の男では珍しく戦いが嫌いな気弱で優しい人でした、ある日、本国から新たな資源と水源探索に選ばれ、この土地、小さな森を発見しました、調査の結果、布の材料となる絹芋虫が見つかりましたが、しかし都市から離れていて手間の方が多いと判断されました、他の都市でも布は生産してますから、しかし旦那は自分が残って30日ごとに絹と布を第2都市に納品すると言い、その地に住むことが許されました、その時に私にも付いて来て欲しいと言われ、、今もこうして住んでいるのです、しかしグレン王になって私達の存在は忘れられ食料の配給も無くなり絹糸と布を、お金に替え食料を買ってまた此処へ帰る、そうして生きてきました] ヒ[すみません、、辛い事でしたか] マ[ふふっ苦労は多かったですが辛くは無かったですよ、旦那は3年前に先に逝かれましたが充分、楽しい人生でしたよ]笑顔になるマグネ、日々の思い出を語って嬉しくなったのだろう。マ[今は孫のリディアも居ますし成人するまでは死ねません]リディアの髪を撫でながら言う、優しい顔だった、流石にユリもリディアの両親の事は聞かなかった。ヒ[教えて下さり、ありがとうございます、そろそろ、お休みになりましょうか]リディアの寝顔を見て微笑むヒロ。マ[えぇそうですね、でわ、お休みなさい、ヒロさん、ユリさん]リディアを抱え部屋に戻る。ヒ[私達も寝よ] ユ[そうね]ヒロとユリは寝床を用意して月光石に布を掛ける。ヒ[お休み〜] ユ[お休みなさい]2人は寝るのだった、、月が真上になる頃、ヒロが起きる。ユ[、、、どうしたのヒロ] ヒ[便所に行ってくるね]すっとユリも立ち上がる。ユ[私も行くわ]2人して用を終えヒロが空を見上げ呟く。ヒ[凄く綺麗、、私、少し散歩してくるけどユリはどうする?] ユ[う〜ん、戻って寝るわ] ヒ[うん、じゃあ少し行ってくるね]加護化して真上に飛ぶと行ってしまった。ユ[、、、(何だろう、、この気持ち、、不安、)]少し気になってヒロが飛んだ方を見るのだった。[カズ達] カズ達は寝床で酒を酌み交わす暫くは黙って飲んでいた。キ[明日は此処を立つとして、どうするんだ] カ[地、風、水の順に挨拶と報告してコノハナに戻る] シ[うへぇ〜地か、、]苦笑いするシン。カ[挨拶と報告だけだ直ぐ終わる] キ[しかし俺ら全員、加護者になるとは思わなかったな] シ[俺なんか王だぜ、、まぁ頑張るけどよ] カ[大丈夫、お前なら、それに優秀な隊長達がお前を支えてくれる] キ[ん?何かあったのか、城に行った時]カズは手合わせの事を話す。キ[流石だな、、俺も機会があれば手合わせ願いたいもんだ] シ[やって負けてこい、、くくくっ] カ[コノハナに帰ったら、お前らに飯、奢るよ豪華にやろうぜ、そこで改めて皆に礼を言うよ、、皆が居なければ死んでいた] シ[そうか、楽しみにしてる] キ[そうだな]酒を飲む、暫く話してシンが言う。シ[わりぃ、、加護、使い過ぎて疲れた、先に寝るわ]便所に行って寝る、火付け台の玉に注ぎ込んだ為だろう。キ[俺も休むとしよう、、かなり加護を使ったしな]薪割り、機織り機の補強、火付け台、通行許可証そして家のあらゆる所を見て補強、修復、更に畑の土に力を送ったりした。カ[後1本あるんだが、、]キンが指を上に向ける。キ[月が綺麗だ、それ見て飲め]キンも便所に行って寝る、カズは立ち上がり場所を変えて月を見ながら飲む事にした[終] ヒ[あれって、、]空をゆっくり飛行していたヒロがカズに気付く、カズもこっちに気付いた様だった、ふわっとカズの側に降り立つヒロ。ヒ[皆はどうしたの?] カ[疲れて、もう寝てる、さっきまで飲んでいて1本、余ったからここで飲んでる]ヒロがカズの近くに座る。ヒ[私にも飲ませてよ] カ[コップがね〜よ、残念だったな] ヒ[じゃあ、あんたがこっち、私がこっちで飲む]コップの飲む所を指差しで教える。ヒ[間違ったら、ぱ〜んっていくからね]ぶんっと素振りするヒロ。カ[おいおい、、月見酒が急に危険になったな] ヒ[ふふっじゃあ頂くわね]ヒロが飲む。ヒ[ふぅ~、、美味しいわね、、これ高かったんじゃないの]カズを見る。カ[あっ、、まぁ、その、、少し] ヒ[ふふっごめん、ごめん怒ってないから、ゆっくり飲みましょ]笑顔で言うとカズは安心するのだった、お互い暫く黙って交互に飲む。ヒ[ふぅ~、、本当、、綺麗] カ[あぁ]月を見ながら呟く。カ[明日、ここを立って各国へ挨拶と報告してコノハナに帰る、朝、ユリにも言っててくれ] ヒ[うん、、半年か、、私は1回、帰ったけどね、あの時は吃驚したよ、ふふっ] カ[あ〜荷車の事か]カズとヒロは旅の思い出を語る、話は半刻は過ぎただろうか、カズは飲もうと手を伸ばす、そしてヒロも手を伸ばすと互いの手が触れ合った。カ[すっ、すまん] ヒ[ごめん、、こっちこそ、、先に飲んで良いよ]互いに顔が赤くなっていた。ヒ[わ、私そろそろ寝るね]立ち上がるヒロ。カ[ヒロ、、俺は、、]何かを言いかけるカズにヒロは言う。ヒ[じゃあ、お休み]直ぐに加護化して飛び去る、ヒロの飛び去った方を見てカズも、お休みと呟くのだった。朝、朝食を終え家の前に皆が揃う。キ[お世話になりました、でわ、我々はこれで] ユ[ありがとうございました] シ[世話になったな] ヒ[ありがとうございます] カ[感謝します]皆、頭を下げ礼を言う。マ[いえ、こちらこそ凄く良くして頂き助かりました、出来ればこの家の事は内密でお願いします]カズ達は何か事情があるのだろうと思った。カ[わかりました、ご安心を]リディアは悲しそうな顔をしているとヒロが、しゃがんで声を掛ける。ヒ[困った事があったら、この人を頼ってね、一応、王様だから]笑顔で言う。シ[一応とは何だ、正式な王だつ〜の]リディアとマグネが小さく笑う、カズ達は加護化すると軽く手を振って家を後にする、リディアは見えなくなるまで手を振るのだった
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