第34話 故郷へ

第2都市の北門に寄り、シンは門番に説明する。ミヤト・シン[この通行許可証を持っている、老婆と少女がいる、審査無く通してやってくれ、主に此処らしいが、この都市の全兵士に知らせてくれ頼んだぞ]通行許可証を各門用に4枚、兵に渡す。兵[はっ]敬礼して応える、シンは加護化してカズ達の所へ戻る。シ[待たせたな、んじゃ行こうぜ]地の国へ、ヒロは飛んで、カズ達は走って地の国の城に着く、一応ヒロが朝食前に各国の王に挨拶に行くと言風を送っていたが王にも予定があるだろう、城の門番に聞くと王の間に居るとの事だった、扉を叩き返事を待つと直ぐに返ってきた。グランディア・アース[お入りになって下さい]扉を開け一礼してカズ達が入る。キアータ・キン[急な訪問、申し訳ありません、直ぐに帰りますので] ア[ふふっいいのですよ]カズ達を見てアースは言う。ア[皆、無事に帰って来て何よりです、所でカズさんの加護とは何なのでしょう、見せて頂けますか?]カズは加護化すると言う。ツミト・カズ[雷です、まだ何が出来るか殆んど解っていません] ア[雷ですか、、ありがとうございます]カズは簡単に目的が終わった事を説明する。ア[そうですか、皆さん頑張りましたね] カ[でわ、我々はこれで、、この国の、ご恩は決して忘れません有事の際は必ず駆けつけます]深く頭を下げ礼を言う、一礼して帰ろうとすると呼び止められた。ア[少しお待ちを、、これを風と水そして最後に火の王に渡して下さい]3つの手紙をカズに渡す。カ[わかりました、必ずお渡しします]それぞれの封筒に風、水、火と書かれていた。カ[失礼致します] ア[はい、皆さん、またお会いしましょう]王の間から出るカズ達。ミヤト・シン[王の手紙って聞こえたが] カ[お前は最後だとよ] シ[へいへい、わぁ〜ったよ、んじゃ次、行こうぜ] ラシヨ・ヒロ[イチさん達に挨拶はいいの?] カ[あぁ、、俺を見ると悲しい気持ちになるだろう] ヒ[わかった、、]ヒロはそれ以上、言わなかった。ノエウ・ユリ[次は風ね]加護化して向かうのだった。風の王に会い挨拶と報告を済ませ手紙を渡し城を出る。シ[ブルーに会いたいが、ヒロ探せるか?] ヒ[うん、ちょっと待ってね]加護化して目を閉じ街に集中する。ヒ[あれ、、居ないね郊外かな] キ[縁があれば会えるだろう] シ[そうだな行くか] カ[ちぇっ俺の加護、自慢したかったのに] シ[ははっ俺もだ]皆、加護化して水の国へ向かう、故郷コノハナを通り過ぎ城へと走り門番に話を通して貰って中に入る。シ[いや〜夕刻前に回りきれそうだな] ユ[しかしカズちゃんの加護、速いね、、他に何が出来るか楽しみだね] カ[そうだな、今は雷を飛ばすだけだからな]歩きながら話をすると王の部屋に着いた、案内の兵が扉を叩きカズ達は中に入る、部屋の中ではウォーターとレインが茶を飲んでゆっくりしていた。スプライト・ウォーター[おぉ、待っていたぞ、まさか、あの言葉が聞こえた時は半信半疑だったが、お前達が来ると言うので信じて待っていた] カ[お待たせして申し訳ありません]皆、頭を下げる。ウ[よいよい、堅苦しいのは無しだ、さぁ話を聞かせてくれ]カズは簡単に説明する。ウ[はははっまさか全員が加護者になるとは本当に凄いなお前達、、おっと火の王を居るんだったな] シ[いえ、いつも通りで構いません] ウ[お願いなんだが少し見せてくれないか、水は見せて貰ったが後の風、地、火、雷を] スプライト・レイン[えぇ私も見てみたいです]ユリ以外、加護化して披露する、ヒロはウォーターとレインを空中浮遊、キンは部屋の中にあった、花を大きくして、シンは火の玉を操り、カズは雷を出してみせた。ウ[いや〜、、本当にありがとう、、堪能させてもらった] レ[ありがとう、素晴らしい体験でした]2人共、満足してくれた様だった。ウ[宴の用意をさせてある、食べていってくれ] カ[ウォーター王、本当にすみません、今日中に故郷に戻るつもりなんです]頭を下げ断る。ウ[そうか、、残念だが仕方ない]カズはウォーター王に手紙を渡す。カ[地の国の女王アース様からの手紙です] ウ[うむ]手紙を受け取り読む。ウ[はははっ本当にあの人は、、読んだらカズ達に見せてくれ]レインに渡し読むとレインも微笑む。カ[ほれ、火の王さん、手紙っすよ]手紙をシンに渡す。シ[何かむかつく] レ[カズさん達どうぞ] カ[拝見します]手紙には4ヵ国、平和会議を火の国で開催したいとの内容だった、それにミヤト王が断りそうなら説得を頼みます、と書かれていた。カ[んで、火の王はどうすんだ?]皆、シンを見る、もう手紙も読んだだろう。シ[望むところです、明日から30日後お待ちしてますと、ヒロ、地と風の王に送ってくれ] ヒ[うん]加護化して言風を送る。ウ[ふふっまさか俺の代で平和会議が出来るとわ] レ[えぇ良かったですね]優しく微笑む。カ[でわ、私達はこれで]皆一礼する。ウ[うむ、いつでも城に来てくれ、お前達なら大歓迎だ] カ[はい、ありがとうございます]互い握手する2人、加護化して部屋の庭からカズ達は帰る。ウ[本当に凄い奴らだ]笑顔で言うのだった、、故郷コノハナの門の前に着くカズ達。シ[帰ってきたな、、] カ[あぁ] ヒ[長いようで] ユ[あっという間だった] キ[そうだな]陽が沈めば門は閉まる。カ[さて、俺は母さんの所に行ってから、、(先に食堂の貸し切りを頼まないとな)皆、半刻したらいつもの食堂に来てくれ、今日は俺の奢りで一杯食べてよう] ヒ[何言ってんのよ、私達もコエスさんの所に行くわ] シ[そうだぜカズ] ユ[うん] キ[あぁ] カ[ありがとう]微笑んで言うのだった。門番に挨拶をする。門番[おぅおかえりよ〜] ヒ[ただいまです] カ[お疲れ様です]カズ達は会釈するだけで中に入る。カ[先に食堂へ寄って貸し切り頼んでくる、少し待っててくれ] ヒ[私も一緒に頼んであげる、あんただけだと長くなりそうだから] カ[頼む]2人、中に入ると本当に少し待つだけで戻って来た。カ[本当に早かった、、流石ラシヨ家の娘、信用が違うな〜]その言葉にヒロは少し悲しそうな顔をして直ぐ戻す。ヒ[ふふふっどうよ〜私を崇めなさい]どや顔で言う。カ[ほれシン、ヒロを崇めよ] キ[そうだぞ] シ[おっ、、おう、はっははぁ〜流石ヒロ様です]頭を下げるシン、崇めたのはシンだけだった、カズ、キン、ユリは黙って見ていた。シ[、、、お前らな〜俺はもう王なんだから変な事させるなよ] ヒ[あはは、ごめん、ごめん、さぁ行きましょコエスさんの所へ、沢山、作ってくれるって言ってたから]食堂を後にし墓地へ向かう、墓守に挨拶を済ませ、コエスの墓前にカズが立ち、その後ろにキン達が立つ、墓は綺麗だった墓守が手入れをしてくれてるからだろう、カズ達は黙祷する。カ[(母さんの願い果たしたよ、皆が命懸けで手伝ってくれた、本当に何度も助けられた、、俺は良い友を仲間を持てて幸せ者だ、、そして、リアラと言う少女に命を救われた、、とても優しく暖かい小さな女の子、母さんにも会って欲しかった)]少し長い黙祷を終える。カ[わりぃ、、少し長かったな、んじゃ飯、行こうぜ] ユ[ううん、長くても良かったんだよ] シ[あぁそうだな] キ[短いと思ったくらいだ] ヒ[私達の事、気にしなくていいのに] カ[そ〜いや、ユリの親父さんも] ユ[大丈夫だよ、コエスさんに挨拶した後、父様にも挨拶したから] カ[そうか、、すまん、自分の事ばかりで気付くのが遅かった]頭を下げ謝る、カズ達はユリの親父さんに黙祷を済ませると食堂へ行くのだった。カズは片手にコップを持ち言う。カ[皆んな、本当にありがとう、目的も果たし無事に帰ってこれた、今日は俺の奢りだ、でわ、乾杯〜] キ、シ、ヒ、ユ[乾杯〜]コップを掲げ乾杯する、テーブルには色々な料理が並んで、カズ達は旅の話をしながら食べていく。シ[カズお前は、ど〜すんだ、コエスさんの仇討ちの旅も終わった、これからの事だ]シンが真顔で聞いてくる。カ[本決まりではないんだが考えてる事がある] シ[カズ、、火の国で働かないか、お前なら副王にしたっていい] ユ[副王って] ヒ[実質2番目の、、]カズはシンの顔を見る。カ[冗談じゃなさそうだな、、お前がそこまで評価してくれるのは嬉しいと思う、、けど、すまん]頭を下げるカズ。シ[やっぱ駄目か、頭を上げてくれ、、ふふふっ俺が楽をしたかっただけだ気にすんな、さぁまだまだ料理が残ってる食おうぜ] カ[あぁ] ヒ[カズじゃなく、真面目なキンちゃんが居るじゃない] シ[キンだと仕事が増えそうで嫌だ]笑いながら話し刻が過ぎていく楽しい食事も終わりが近くなる。ユ[カズちゃん]ユリの真剣な声がカズを呼ぶ。カ[おぉ何だユリ]少し驚きながら返事する。ユ[明日、話があるの、、昼の鐘が鳴ったら修業してる山の所まで来て欲しい] カ[わかった、、必ず行く]そう言うとユリが、ほっとする。ユ[ありがとカズちゃん、、じゃあ先に帰るね、ご馳走様でした、お休みなさい、皆んな]そう言うと帰って行く。キ[カズ、ご馳走さん俺も帰るとしよう、じゃお疲れさん]席を立つキン、その場にカズ、シン、ヒロが残る。シ[はぁ〜いよいよか、、] ヒ[そう、、だね] カ[真剣に返事する、それだけだよ、まだ残ってるぜ料理]飯を食うカズ。シ[え〜〜今ので飯、喉に通らね〜よ] ヒ[私も、、] カ[あほヒロ様の奢りだぞ、残さず食う、それが礼儀ってもんだ、作ってくれた人にも悪いだろう] ヒ[いつ私の奢りになったのよ、、まぁ無理言って貸し切りにしてもらったしね、頑張りますか] シ[へいへい]残った料理を全て食べる。カ、シ、ヒ[ご馳走様でした、美味しかったです、ありがとうございました]頭を下げ礼を言う。料理長[いや〜本当に凄い食いぷっりだね、それとおかえり、また来いよ] ヒ[はい、また来ます]店から出ていく。カ[わりぃな、、ヒロ、奢りと言っておきながら、必ず返すから] シ[お前、、まぁ俺らも食い過ぎたが] ヒ[そうだね、皆んな加護者になってから前より食べる様になったね] シ[んじゃ俺は、こっちだ、じゃあな] ヒ[私も飛んで帰る、じゃあね]2人と別れカズも家まで走って帰るのだった。[ユリ] ユリは自宅の扉の前で立っている、家出同然で出てきたからだ。ユ[(お母様、怒ってるだろうな)]気不味いながらも扉を開け中に入る。ユ[お母様、ユリです、ただいま帰りました]声を上げ帰宅を知らせるとユリの母エーベが走ってきて、ユリの両肩を掴むと泣きながらユリを心配した。ノエウ・エーベ[ユリ、よく無事で今まで何処に居たの?何をしていたの?] ユ[お母様、落ち着いて下さい]そう言った時、妹のエリも2階から降りてきた。ノエウ・エリ[お姉ちゃん]ユリに抱き着く、ユリは2人に説明する。エ[そう、、またあの子の所に居たのね、、ユリもう勝手は許しません、貴女はノエウ家の長女なのです、これからは勉学に励み医者か官僚を目指しなさい] ユ[お母様、私の道は私が決めます、もう子供ではないのです]そう言うとユリの頬は叩かれた。エ[いい加減にしなさい、お父様が死んで直ぐに家を出る、帰って来ては反抗する、カズって子に悪影響を受けて、もう2度と会ってはなりません、貴女は私の言う事を聞いていればいいのです、あんな教養や品性の無い子、明日、私が2度と家の娘に近付かない様に話してきます]怒り気味に言うエーベ、俯きながらユリは言う。ユ[お母様、、私に怒るのは構いません、、しかしカズちゃんの悪口を言うのは許しませんよ]加護化するユリ。エリ[えっ、、お、、お姉ちゃん]驚くエリ、ユリは水の塊を出現させると母エーベの顔を水の塊で包む。エ[がぼがぼごぼ〜]立ったまま溺れる、必死に外そうとするが水は掴めない。エリ[お姉ちゃん止めて、お母様が死んじゃう、お姉ちゃん]ぽんっとエリの頭に手を置く。ユ[ごめんねエリ、少し怒っちゃた]そう言うと水の塊を消す。エ[げほっ、げほっ、ごほっ]咳き込み荒々しく呼吸し四つん這いになっている、エーベにユリが近付くとエーベが後ずさる。エ[ひっ、、ひぃぃぃ〜] ユ[ごめんなさい、お母様、、もう子供の頃の私と違うんです、理解して下さいましたか?]笑顔で言うユリにエーベは必死に命乞いをする。エ[殺さないで下さい、殺さないで下さい]地に頭を付け娘に命乞いする姿を見てユリは悲しくなった。ユ[お母様、、大丈夫です、さぁもぅお休みになられて下さい]エーベを抱きかかえ寝室に運びベッドに寝かせて部屋を出るとエリが待っていた。エリ[お姉ちゃん、さっきのは] ユ[ふふっ部屋に行きましょ、そこで話してあげる]2階のエリの部屋に行き旅の事を話たのだった、、、エリ[それじゃカズさん達も加護者、、]言葉にならない、本でしか知らない伝説の加護者、その1人が自分の姉だなんて、、ユ[それでも何回かは死にそうになったけどね]ベッドに2人、腰掛け話ながら、お茶を飲む。エリ[大変だったんだね、、お姉ちゃん、お母様を怒らないであげて、、あの日から、お父様が亡くなった日から少し怒り気味になっちゃったんだ、お姉ちゃん、直ぐ家を出ちゃったし、その2つが心労となって苦労してたの] ユ[(少し、やり過ぎたわね)]原因は自分にもあると思ったユリは反省する。ユ[わかったわエリ、お母様に優しくするから大丈夫よ、ごめんねエリ、貴女も大変だったね] エリ[うん、大変だったよ〜〜]ユリに抱き着くエリ。エ[勉強、勉強って毎日、辛かったよ〜]ユリに甘えるとユリはエリの頭を撫でる。ユ[頑張ったね、偉い偉い] エ[お姉ちゃん、もう街に居るよね] ユ[どうかな、、明日でわかるよ]窓から見える月を見ながらエリの頭を撫でるのだった[終] [キン] どんどんっと扉を叩く、もう夜中だ孤児院の扉は閉まっている。シスター[どちら様でしょうか]扉の中から声が聞こえてきた。キ[キンです、ただいま戻りました]扉が直ぐに開いてシスターが笑顔で迎え入れる。シス[おかえりキンちゃん、無事で何よりだわ] キ[長い事、留守にして、すみません]頭を下げる。シス[皆んな〜キンお兄ちゃんが帰って来たわよ〜]そう言うと8人の子供達が奥から出て来てキンの帰りを歓迎する。子1[おかえり、キン兄ちゃん] 子2[キン兄ちゃん、おかえり] 子3[キン兄ちゃん、お土産は〜] 子4[寂しかったよ〜キン兄ちゃん]キンは子供達に囲まれる本当に喜んでいた。キ[あ〜、、お土産は買ってないな、すまん、、よしっ明日はまだ用事があるから明後日、皆で市場に行こう1人、2個、欲しい物を買ってあげる、だから今日は寝なさい] 子5[わ〜い、約束だよ〜] 子6[明後日、楽しみだね]皆んな部屋に戻る前に声を揃えて言う。子供達[キン兄ちゃん、お休みなさい]手を振って奥の部屋に戻る。キ[あぁお休み] シス[ふふっ子供達、皆が嬉しそう、、キンちゃんが出て行った日、皆んなも付いて行くって駄々を捏ねたり大変だったんですよ] キ[すみません、苦労を掛けてしまって]頭を下げる。シス[本当に無事で帰ってくれて良かったわ、、話を聞いてもいいかしら] キ[簡単にですが、お話します]キンは旅の事を話す。シス[、、少し信じられませんが本当なんですね] キ[はい]返事すると加護化する。シス[これが地の、、] キ[子供達には秘密でお願いします] シス[えぇ、、その方が、いいですね] キ[明日、決着が着きます、、今日からまたお世話になります] シス[さっき言ってましたが旅は終わったのにですか?] キ[えぇ]キンの静かな闘士の宿った目に、シスターはそれ以上、聞けなかった。シス[貴方の部屋は綺麗にしてあります、ゆっくり休んで下さい] キ[ありがとうございます、お休みなさい、シスター]キンは、そう言うと自分の部屋に入る。シス[お休みなさい、キンちゃん]シスターも鍵を閉め部屋に戻るのだった[終] [シン] 門番が1人、立っている、シンが近付き言う。シ[俺だ、今、帰った] 門番[シン坊っちゃん、おかえりなさいませ、今、開けます]門が開き中に入る。シ[坊っちゃんは、もう止めてくれ、、ふむ、そうだな、、シン王とでも呼んでくれ、ふふっ] 門[ははっわかりました、シン王様] シ[冗談だったんだがな(まぁ冗談じゃないんだが)] 門[でわ、私はここまでで、、何か、威厳と言うか、、旅の前より立派になられましたね] シ[そう見えるか、ありがとう]礼を言うと門番は持ち場に戻る、扉を開け中に入ると声を出す。シ[父さん、母さん、ただいま戻りました]2階から母のシルビィが降りてきた。ミヤト・シルビィ[シン、おかえりなさい、無事に帰って来ましたね]シンを抱き寄せ頭を撫でる。シ[ちょっ母さん、恥ずかしいです]優しく押しのけ離れる。シル[もう終わってしまいました、、残念]悲しい顔をするシルビィ、その顔を見てシンは申し訳なく思う。シ[父さんが来るまでなら、、頭を撫でて良いです]そう言うとシルビィの顔は笑顔になりシンの頭を撫でるのだった。ミヤト・グラン[シンか、、良く帰って来たな]グランがシンを見る。シ[ただいま戻りました]背筋を伸ばし頭を下げる。グ[ふむ、中々大変だった様だな、それも死線をくぐり抜けた顔をしている、、良い男になったなシン]ひと目、見ただけでシンの成長が解った父、シンは嬉しく思う。シ[はい、この旅は本当に凄まじい旅でした、長話になりますので椅子と茶を用意しましょう]シンは椅子と茶を用意し父と母に旅の話をする。グ[何と、、] シル[あっ、、あぁ、、]2人は驚きのあまり声が出ない。シ[信じられないかも知れませんが本当です]席を立つと加護化する。シ[俺は火の加護を授かり前王グレンを一騎討ちで倒し火の国の王と成りました]シンの父は火の王を決める戦いで敗れ戦えぬ体となり水の国へと辿り着いたのだ。グ[私が出来なかった事を息子が果たす、、シンお前は何て親孝行者だ]目から涙が流れている、シルビィも声を殺して泣いていた。シ[父さん、母さん、俺は明日の決着を見届けたら、また火の国へ戻らなければなりません] グ[決着だと、、旅の目的は果たしたと言っていただろう] シ[えぇ仇討ちの方はです、、明日はそれ以上の戦いになるかも知れません] グ[そうか、、それ以上は聞くまい] シ[父さん、母さんも火の国へ戻って私の手伝いをして頂けませんでしょうか] グ[火の国へ、、] シル[私は貴方に付いていきますわ、此処でも良いのですよ]そっと手を添えるシルビィ。グ[私は、、こんな体でも受け入れて都長まで任せてくれた水の国に恩がある] シ[えぇ、わかっております、父さんの治めるこの街は素晴らしいと思っています、その治世を火の国でも生かして欲しいのです]席を立つグラン。グ[少し考えさせてくれ、、シンお前も休みなさい]そう言うと奥の部屋に戻る。シル[シン、貴方の部屋はそのまま綺麗にしてあるわ、ゆっくりお休みなさい] シ[母さん、ありがとう、お休みなさい]シルビィも2階の部屋に戻りシンも部屋に入って休むのだった[終] [ヒロ] すぅ~っと家の外に降り立つヒロ、その表情は悲しみの顔をしていた、意を決し加護化して外から呼ぶ、すると家の扉が開き父、母、兄の姿が見えた。ラシヨ・グラス[そこに居るのはヒロか、おかえり、さぁ中に入りなさい]暖かく迎えてくれる父。ラシヨ・ワンダ[どうした、ヒロ]心配そうに声を掛けてくれる兄、2人が近寄ろうとする。ラシヨ・ハロ[待って、あなた、ワンダ]2人を制止させハロがヒロに問いかける。ハ[何かあったのねヒロ、言ってみなさい]真剣な顔でヒロに言う。ヒ[最後にお別れの挨拶をしに来たの、、]落ち込んだ声で言うヒロ。グ[最後?、、ヒロ、何を言ってるんだ] ハ[あなた、お願い聞いてあげて]グラスは拳を握り我慢する。ハ[ヒロ、、] ヒ[私、、この力で殺したの、、6人も、、一方的に]息を呑むグラスとワンダ。ヒ[ごめんなさい、、商人の娘なのに、何があっても人殺しは駄目だって教えられてたのに、、私、、守れなかった、、感情のまま、この力を振るったの] グ[自衛の為なら仕方の無い事もある] ヒ[ううん、、自衛じゃなかった、、怒りと憎しみだったの]俯くヒロ。ハ[それで挨拶に来たと] ヒ[うん、今まで育ててくれて、ありがとうございました、私は1人で生きて行きますので心配しないで下さい]深く頭を下げ感謝を言うとハロがヒロに近付く。ハ[ヒロ、そこに居なさい] ヒ[来ないで、、お母さん]ヒロは後ずさる。ハ[ヒロ]もう一度、呼ぶとヒロの動きは止まった、そしてハロはヒロを自分の胸に抱き寄せ頭を撫でる。ヒ[お、、母さん]その暖かさ安心感でヒロの目から涙が溢れる、ハロは優しく話し掛けた。ハ[ヒロ、、優しい子の貴女が余程の事があったのね、話さなくていい、もう充分、反省と後悔はしたのでしょう、、私はヒロを許すわ、お父さんもお兄ちゃんもヒロを許します、だから家に帰って来なさい] ヒ[お母さん、、私、、]ハロの胸で泣くヒロを落ち着くまで撫でてあげるのだった、、、半刻半程でヒロは落ち着き恥ずかしそうにハロに礼を言う。ヒ[お母さん、ありがと、ごめんね] ハ[ふふっ良いのよ、ほら、お父さんとお兄ちゃんにも言ってあげなさい]ぽんっと背中を叩く。ヒ[お父さん、お兄ちゃん、ごめんなさい、ただいま] グ[おかえりヒロ] ワ[ヒロおかえり]2人共、おかえりっと言ってくれた、涙がまた出そうになる。ワ[さぁ中に入ろう] ハ[えぇヒロ] グ[中に入る前にヒロ、1つ約束しなさい] ヒ[はい、なんでしょう] グ[その力で60人、人助けしなさい、わかったね] ヒ[ふふっ] グ[ヒロ、真剣な話をしているんだぞ] ヒ[あっ、ごめんなさい、カズと同じ事を言うもんだから、つい、、えぇそのつもりです、60人だけじゃなく、それ以上やるつもりです]真剣な顔で答える。グ[そうか、、ヒロ、さぁ入りなさい] ヒ[ただいま〜]そしてヒロは旅の話を家族に話すのだった[終] [カズ] カズは暗い家の中、月明かりを見ながら酒を飲んでいた、半年、家を開けてたが埃もなく綺麗だった、月に1度ハロが掃除してくれたのだろうと思う。カ[(今度、お礼しないとな、、まさか鉱山で働いていた俺が加護者なんてな、あの日から変わってしまった)]カズはコエスが殺された日からの事を思い出していた、、酒が無くなる頃にはコノハナに着いた所まで思い出していた。カ[さて、寝るか(俺達、いつまでも一緒にいられない、明日は大事になりそうだ)]そう思い寝るのだった[終]

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