このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(417文字)
三人の旅の姿が細やかに描かれ、役割と信頼関係が自然に浮かび上がる導入は非常に完成度が高いです。静かな休息から“三翼”の登場へと一気に緊張が高まり、読者の胸を掴んだまま最後にル礼ルの無邪気さで緩和する流れは見事。さらに、名前の読み方を「ル礼ル=るれいる」でも「ルル」でも自由に読めるとする作者のスタンスがとてもユニークで、キャラクター像を読者ごとに膨らませられる楽しさがあります。物語への没入感に加え、読み手の想像力まで作品に取り込む意欲的な試みにワクワクしました。