第2話 俺の黒歴史②
半年後、俺は体内の魔力量を0.0001まで抑えることに成功した。
あくまでその数字は感覚だから正確ではない。だけど、その位抑えることはできたと思う。
魔力の排出をしていたら、魔力操作の技術も向上した。これにより、魔力の排出と魔石からの吸収が素早くできるようになった。
特に意味はないけど、排出と吸収が同時にできるようにもなった。
この半年間の努力により、俺の体内で魔力の反発が起こることはなくなった。
しかし、ふと気づいた。
だからどうした。
魔法を使ってバレたら牢屋行きだぞ。
俺は、この時の俺を褒めたい。
魔法なんてもの住宅街で使えばすぐ分かる。
法律整備が進んで魔法の取り扱いも決まった今、魔法を使う馬鹿はあまりいない。
魔法を使っていいのはダンジョンの中と特別に決められた場所だけ。
そして、両方一般人には入れない場所だ。
俺はこの時魔石の魔力を活用して何かするということに意味を見出せなくなっていた。
だが、俺の厨二病は中二の夏を迎えて悪化していた。
魔石の加工をしてみよう。
そしてかっこいい武器を作ろう。
そう思ってしまった。
早速俺は武器作りに取り掛かった。
やり方は知っている。
そして準備も終わっている。
まず魔力が満タンの魔石。
そして、魔力を全て抜いた魔石。
魔力を全て抜いた魔石は、半年間かけて俺が作り出した。
体内の魔力を排出したり魔石の魔力を吸収したりする遊びの中で出来上がった。元は光り輝いていた魔石は色を失い、透明なガラスのようになっている。
最後に、魔力操作に長けた人物。
つまり俺だ。
全て偶然の産物だけど、これで魔石の加工ができる。
今度も海外のサイトを翻訳して利用する。
最近日本でもダンジョンの一般公開の流れがあるけど、まだ少し時間がかかりそうだ。
さて、魔石の加工を始めよう。
最初に、満タンの魔石の魔力を透明な魔石に九割移す。
次に、九割移して一割しか残っていない魔石に俺の魔力を注ぎ込む。
残っている魔力量に比べても俺の魔力量は比較にならないほど少ないけど、確かに反発が起こる。
そして、魔石の形が少し変わる。
ほんの少し。
だけど、確かに反発により形が変わった。
気長な作業だけど、俺は約一ヶ月掛けて自分の思い描く形に魔石を変化させた。
最後に、透明な魔石に移していた魔力を全部元の魔石に移す。
結果出来たのは、死神が持ってそうな大鎌だった。
俺は試しに夜の公園で振ってみたり、部屋の中でポーズを決めて写真を撮ったりした。
しかし、こんな大きな物を持ち歩いていたらバレない訳もなく、夜の公園で黒服の女性に話しかけられた。
しかも、その女性は興奮していた。
話を聞くと、「我らはダークネスという組織だ。いわゆる秘密結社だな。そこで提案だ。我らと手を組まないか? 君が作った武器が気に入った。特にデザインがいい! 我の心を突き刺した! 滅多刺しだ!」と、テンション高めで言われた。
俺は秘密結社という単語に釣られて頷き、翌日近所のコンビニの地下に連れて行かれた。
他のメンバーは遠征中らしく、俺と彼女以外誰もいない静かな地下室で変な儀式が始まった。
魔石を砕いて作った粉で俺の手の甲に魔法陣らしきものを描き、最後に彼女の血を垂らすことで魔法陣が光って消えた。
よく分からないけど、かっこいいから気にしなかった。
俺の任務は武器を作ることらしい。
その作った武器をオークションに売って名を広めるのが目的だそうだ。
秘密結社なのに名を広めるのか、という考えがチラついたけど無視した。
なんか売って得たお金はオークションに出品するための金額とかを差し引いて俺に全部渡すという契約をした。
すごく良心的だった。
魔石の加工場としてここを使っていいと言われ、俺は喜んだ。
それに素材となる魔石も提供してもらい、急がなくてもいいからと言われたけど、学校が終わったら加工場に直行する生活を続けた。
ちなみに彼女は地上にあるコンビニの店長をしていた。
大学生くらいに見えたから結構驚いた。
名札には坂井と書かれていた。
季節が変わり、秋になる頃には武器を三つオークションに売りに出していた。
全て100万円を超える金額で落札され、それがほとんど俺の財布に入った。
とはいえ、中学生の俺にはそんな大金扱いきれなかったので半分ほどは秘密結社の活動資金にしてくださいと渡していた。
まぁ、それが当たり前だと思う。
素材となる魔石も加工場も無償で使わせてもらっているのだから。
それに、魔石はやばい。
あれは俺が旅行先で買ったのとは比べ物にならないほど高額なものだ。
魔石の色は黒。サイズは手のひらよりも大きい。魔力の質も高い。
サイズは魔力の反発を使えばどうとでもなるけど、他の二つは武器の出来に影響する。
黒色の魔石に至っては調べてもネットで出てこなかった。
経由に使っている透明の魔石は使う度に少しずつ黒くなってきている。
というか、この黒色は呪いの色ではないかと想像してしまう。
出来上がった三つの武器は全て邪悪なオーラを漂わせていた。
呪われてますよーという雰囲気だ。
まぁ、俺はそういうの好きだから楽しかったけど。
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