恋物語の裏話

竜乃 愛者

酷い勘違いをしている。

素朴で健気な男子高校生は、高嶺の花に恋をしていた。声をかけたくてもかけられない。

スポーツも出来て頭も良くて、でも本人はもっと頼られる存在になりたくて努力を惜しまない。自分の才能を才能と思わず怠らない。

クラスが同じだったから授業の一貫で会話をする程度から友達として会話するようにまでなった。


そんなある日の昼休み


彼は聞いた。


「凄いね。文武両道であると称賛されても満足だと思わず、高みを目指せるなんて。僕には到底出来ないよ。」


「―私はある人を目指して、その人の隣に居たいが為に努力している面もある。欲まみれで恥ずかしい限りだよ。」



彼は思った。そんな彼女が凄いと思える人は一体どんな方なのだろうかと。でも、ボカロで音楽活動を地道に続けても大勢の目に止まらない自分なんかじゃ到底たどり着けない人なのだろう。


彼は密かな恋を諦めかけた。


そんな二人の様子を盗み見ている輩がちらほら。


アクア「キャー!!見ました?見ましたよね?見てねぇ奴いる?いねぇよなぁ!?」


自称学園のマドンナと騙る青髪高貴令嬢のアクアと


神楽耶「恋覗きをした場合、違反した場合は10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、もしくはその両方が科せられます。」 


死にたがり症候群の神楽耶がいた。


アクア「そんな法律ありません事よ。

てか見ましたか?彼女の顔。」


神楽耶「顔…はっ!?まさか、もうこの世に最愛の人はおらず、後を追う―」


アクア「違うわ!彼女の顔、あれは恋する乙女の顔よ。しかも、よくあの冴えない青年の顔を見て同じ表情を浮かべていたのよ。間違いない。相思相愛だわ!」


神楽耶「冴えない顔なのはアクアさんも同様だとして、女性の方はともかく男性の方の根拠は?」


青年は思った。彼女を見る度にドキドキが止まらないのに、今日はなんだか…


アクア「もしや、そのドキドキは恋―」 


神楽耶「動悸じゃね?」


神楽耶は青年に吹き込んでいた。

ツッコむ彼女よりも先に青年は病気だと知って落ち込んでいた。


アクア「ねぇ人の恋をそんな夢の無い病で終わらせないでくれます?」


神楽耶「でもほら、恋も病ってよく言うじゃん。」


アクア「恋の病な?そんな心臓病みたいな分類に種別分けしないでくれます?」


二人がわんやかんややっている姿を見て、クスリと笑う青年だった。


神楽耶「どうした?気が滅入って薬で笑う青年になったか?」


青年「ははは。違うよ。二人の仲良しな姿を見て下ばかり向いてるのは駄目だなって思っただけだよ。ありがとう。」


アクア「いえいえ、頑張ってくださいませ。」


神楽耶「こいつと馴れ合ってる気はないけど…

まあ、当たって砕け散れ。死んだら俺おすすめの墓を紹介してあげる。」



青年は笑顔で去っていった。



後日



青年と青女は互いに相思相愛だと気がついて本格的にお付き合いを始めた。自身がついた彼は有名な音楽作曲会社に務めるという進路も決まり、彼女も彼の隣で支えていくことを決めた。



アクア「そういえば、今回の二人は昔幼馴染だったそうですわよ。だから、あんなにすんなりと互いにを受け入れていたんですのね。」


神楽耶「加えて俺等よりも二つ年上の先輩だったし、馴れ馴れしい悪徳令嬢を連れてきてしまい本当に申し訳ない限りだ。」


アクア「しばくぞ?」



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この作品は今後『小説家になろう』で投稿を予定している『女神と邪神が舞い降りた』という日常学園コメディで本格的に出そうと思います。

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