20話 転生した作者VS堅物系ヒロイン剣刃舞
剣刃舞side
私の両親は、どちらも剣道で大きな活躍を見せた。
そんな両親の事を私は尊敬している。
別に両親は、やりたい事をやりなさい、と言ってくれた。けれど、近くでずっと剣道の試合を見てきたのだ。今更、別の夢など持てるは筈がなかった。
だから、家でも鍛錬を怠った事など一度もない。
本気で世界一を目指していた。
中学、高校も剣道をやった。
私にとって剣道は人生そのものだった。
だけど………剣道を良く知りもしないのに簡単だって言う人しか居なくてそれが何よりも悲しかった。
けど、私は、感情表現がとても苦手だった。
だから、どうやって剣道を説明しても
怒っている様に思われてしまう。
私は、知っている。陰口を毎日言われている事を。
真面目でうざい。すぐに注意して来てうざい。
顔が怖い。女っぽくない。
あれを恋愛対象としては、見れんわ。
今まで色々言われて来た。
だが、今更生き方を変える事なんて出来ない。
でも…私だって友達が欲しかった。
私を理解して欲しかった。
私は、ただ、間違った事を指摘しただけだけど。
この世界では、それは間違ってたのかも知れない。
こんな自分に友達なんて夢のまた夢なのかも知れない。
なぁ…真田君。私はね、君と話すのは、初めてかも知れない。けどね、私は、君を知っていたよ。
何故今回、話した事もない君の力になったのか。
君は、言ってくれたんだよ。
きっと君は、たまたま口から出ただけかも知れない。でも、君は、私が一番欲しかった言葉を
くれたんだ。
「なぁ!剣刃ってどう思う?
また嘘告白されたんだろ?」
「ぷっ…あれを相手は、無理だって。」
「だよな〜。ありゃ女じゃねえよ。」
「付き合っても楽しく無さそうだよな。」
「あいつさ、嘘告白なのに真面目に
答えたんだろ?」
「あぁ言うところだよな」
「ふ〜ん。あんたらそんな風に思ってんだ。
嘘告する奴もあんたらも見る目ないよな。」
「は?お前誰だよ!見ない顔だが下級生か?」
「そうだけど何か?」
「偉そうに言ってたが、じゃあお前はあいつと
付き合えるのか?」
「ぷぷぷ。そもそも、前提が可笑しいぜ?
付き合ってもらうのはこっちの方だぜ?
あんたらに選ぶ権利なんてねえよ。」
「は?お前、生意気だぞ!」
「事実だろ?あんたらが聞いた質問答えてやるよ。
逆にあんたらに彼女の何が分かんだよ?」
「は?どういう意味だよ!」
「彼女がどれだけ剣道に真剣なのか分かるか?
彼女が剣道だけでなく勉強も夜遅くまで
復習してる事は?部活動と勉強を両立してる。
それは、誰もが出来る事じゃない。
実際に部活でも勉強でも結果を出している。
皆がやりたくない委員長も進んで引き受けた。
誰かが困ったら不器用だけど手を差し伸べる。
そんな人は、絶対に少ない。
自分の時間を使って他人の為に動ける人なんて
居ない。努力をしてる人を笑うのは、辞めろ!
彼女は、誰よりも魅力的な女の子だ。」
「くっ。おい、行こうぜ。ガチになんなよ。」
そう言って君は、私の為に怒鳴ってくれた。
私を他人の為に動ける人何て君は、言ったけど。
君は、私より凄いじゃないか。
他人の為にどんなに怪我をしても引き下がらない。
君は、動きを見ただけで分かる。
喧嘩なんてしたことないだろ?
なのに、相手にしがみついて離さない。
私は、初めて両親以外で尊敬出来る人を見つけた。
真田魁斗君……君だったんだよ。
私は、剣道を他人を傷つける為には、使わない。
だけどね。君は一生懸命だった。
きっと…君には、人を動かす力がある。
私は、君のその一生懸命さに魅了されてしまった。
だから……この剣道の技術。今は君だけの為に…
振るうよ。
「私は、ここでお前を倒す。絶対に!
彼の側には、近寄らせない!」
「言うじゃん、かかってこいよ!」
この仮面の男は、私を手招きして煽って来た。
「行くぞ!はっ!」
防がれる。相手は、バッドを持っている。
だが、使い慣れている。
私の剣技は、全て防がれる。
それでも………
「はっ!押し通る!」
「ふん!おらぁ!ドッ!」
がっ。痛い。木刀ごとお腹を殴られた。
力に差がありすぎる。受け流すしかない。
だが、それだと私は、防ぐ事しか出来ない。
でも…やるしかないんだ。
「ぐぅ!私は、倒れる訳には行かないんだ!」
ドンッ
ゴン
ブン
ドゴン
ぐっ。やはり強い。
でも、私は、負けない。
押されてもいい。
これは、時間稼ぎだ!
だけど…私にもプライドは、ある!
負けない!絶対に。
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