12話 私の気持ち
鷹宮六花side
「え?な…何を言っているんですか?
あの、近いですって。どうしたんですか?」
私は、絶対に許されない事をしている。
考えた。どうすれば彼を救えるか。
でも…駄目だった。恐怖が押し寄せて来る。
家族が危険な目に遭ったら。
私は、耐えられないから。
だから、これは私の弱さが招いた結果。
本当にごめんなさい。
私もそれ相応の罰を受けるわ。
貴方の人生を今からめちゃくちゃにするのだから
当然よね。命を……わ……私の命を断つ。
だから、家族を守って。誰でもいいから。
「ごめんなさい。私に選択肢なんてないのよ。」
「えっと……さっきから何を?」
私は、どんどん彼との距離を詰めていく。
もう…これしか家族が助かる道がないのよ!
「プルルルルルル!」
携帯電話?河野君のか。
「これは」
驚いている?
そんなの……どうでもいい。私には。私達には、
時間がないのよ!
「こ…これを見て下さい!」
彼が一生懸命スマホの画面を見せてくる。
「何を、そんなに慌てる事が?」
でも、私の作り笑顔が一気に崩れた。
その動画に映っていたのは……
「お母さん?菜乃葉(妹)?」
そこに映ってたのは、私の家族だった。
何で?今川君と一緒に居るの?
後ろに倒れてる人達は?
「その……何が起きてるのか分からないんだけどさ?助かったよ。先生の家族は」
そう言われた瞬間…私の中の何かが崩れた。
「う……うわーん」
もう、止まらなかった。
涙が…嗚咽が。嬉しくて。
やっと家族が解放されたのだ。
嬉しくない訳がないのだ。
「良かった。本当に。」
もう…泣き崩れるしかなかった。
「その……先生!僕には、何が起きてるのか分からないですけど。今川君がメッセージを送ってきました。場所は、魁斗君が教えてくれたそうですよ?」
「…そう…なの?」
どうして居場所を彼が知っているのかしら?
家族の場所を誰かが漏らした?
あいつが許す筈がない。
でも……そっか。魁斗君のおかげなのね。
なら、しっかりお礼を伝えなければ!
「魁斗君にお礼を伝えたいのだけど
どこにいるのか分かる?」
「いえ…どうやら、返信が来ないみたいで。
ただ……さっきも動画で言っていましたが
もしかしたら……そのもう一人の人質?の所に
行ったのかもしれません。」
もう一人の人質?
もう…一人の。まさか…椿さん?
でも…そんな都合のいい事が?
でも…もしそうだとしたら。
彼は、魁斗君は、一体何者なの?
私達を救ってくれた。解放してくれた。
「でも……早く伝えなきゃ!」
彼には……彼等には、恩が出来てしまったわね。
きっと…いつか…必ず返す!
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