9話 主人公に迫る影と純粋に家族を守りたいと願う彼女達
鷹宮六花side
「はぁ……あんた自分の役目分かってんでしょうね?河野を学校から追い出す。それがあんたの与えられた仕事よ?もし無理なら殺しても構わない。」
「…………分かってるわ。
けれど、……どうして貴方は、彼女に?」
「無駄口を叩くな。余計な詮索はしない事だ。
あいつをあまり刺激するな。」
少し強張った表情でそう言ったのは
3年1組椿穂乃香さん。
家があまり裕福ではないけれど家族の為に
バイトを掛け持ちしているとてもいい子だ。
そんな子まで。
「………一つだけ忠告だ。余計な事をするな。
周りに迷惑をかけたくないならな……」
金髪でピアスをつけてるから怖い人かと思ったけれどそんな事はないわね。」
「…………貴方の使命は?」
「さあな?…だが…あいつの手口はこうだ。
言うことを聞かないなら恐怖で支配する。
男か…それとも暴力か。
どちらにしてもあたしは、信用されてない。
あたしも、人を信用しない。
あんたがやっていいのは、河野を追い出す事だけだ。………あまり関係ない奴は巻き込みたくない」
「貴方は、優しいのね?」
「……チッ……早く行け。」
「えぇ…。」
情報は集まった。
まず、彼女の後ろには大きな会社がいる。
それこそ、何かしても揉み消すだけの権力を
持っているでしょうね。
だからこそ人質にしてもバレないんでしょうけど。
でも、このまま彼を追い出しても次の犠牲者が
増えるだけ。何の解決にもなっていない。
でも、私には何も出来ない。
下手をすれば家族が。
…………このままだと椿さんが危険だ。
本当に犯される。そんなの……
あっていいわけない!
椿穂乃香side
あたしは、昔から男が嫌いだ。
あたしが信用できるのは、弟と妹と母だけだ。
父親は浮気をして借金をして母にそれを押し付けた。
母に暴力を毎日振るってた。
だから、男は嫌いだ。
そんな時あの女が現れた。
はっきり言ってクソ野郎だった。
あたしにこう言った。
借金取りに家族を襲わせる………。
あたしは家族が大好きだ。
だから、家族が傷つくのだけは駄目だ。
あたしは、あいつの奴隷だ。
あたしの、末路はきっと碌な物じゃない。
地獄に落ちるかもしれない。
でも……家族だけは。
駄目なんだよ!失いたくない!
耐えられない。
それなら……あたしは屑でいい。
あたしを殺しても構わない。
神様が本当にいるならあいつだけが特別だ。
でも……それでも、家族だけは助けてほしい。
鷹宮六花side
「河野君を追い出す。
言われた作戦はこうだ。
河野君と二人っきりになって河野君に迫る。
体を密着させて……そして椿さんが写真を撮る。
それで河野君は終わりだ。
彼女は、用心深い。
だから、コラ画像をいくつも持っていた。
きっとあれもばら撒くのだろう。
ガチャ
「その……お待たせしてしまいすみません。
用事って何でしょうか?
彼を今から傷つける。
罪悪感が押し寄せて来る。
「あ…あの、どうして近づいてくるんですか?」
「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。
でも…どうか、私の家族は許して。」
「え?な…何を言っているんですか?
あの、近いですって。どうしたんですか?」
私は、絶対に許されない事をしている。
考えた。どうすれば彼を救えるか。
でも…駄目だった。恐怖が押し寄せて来る。
家族が危険な目に遭ったら。
私は、耐えられないから。
だから、これは私の弱さが招いた結果。
本当にごめんなさい。
私もそれ相応の罰を受けるわ。
貴方の人生を今からめちゃくちゃにするのだから
当然よね。命を……わ……私の命を断つ。
だから、家族を守って。誰でもいいから。
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