Chapter 10

【システムが契約書を作成中です】


【契約書が作成されました】


【タイトル:主従契約】


1. 相手は使用者に対していかなる危害も加えてはならない。


2. 相手は使用者の全ての命令に従わなければならない。


3. 使用者が危険に晒された場合、相手は如何なる代償を払ってでも救出しなければならない。


4. 相手は使用者に反する行動を取ってはならない。


5. 相手は使用者を貶める発言をしてはならない。

【契約を送信しますか?】


「はい」


能力契約が他の能力の影響下にあるため、送信の必要はなく、強制受理が適用されます】


このシステムメッセージを受け取った瞬間、周囲一面が煙に包まれた。煙の向こうからは、苦痛に喘ぐ竜の咆哮が聞こえてくる。


【《ロキ》は、あなたがそんな強大な存在を従わせたことに驚愕している】


【《ロキ》があなたのスポンサーになることを提案してきた】


少し考えた後、口元に笑みを浮かべて答える。 「ロキ、条件がある。お前以外のスポンサーも持つことを認めるなら、受諾する」


【《ロキ》は少し考える】


【《ロキ》は承諾した】


【《ロキ》があなたのスポンサーになりました】


ロキが承諾するとは分かっていた。他の星座なら、怒り狂って決して認めなかっただろう。だが、ロキは極めて合理的なのだ。 「ロキ、感謝する。この決断を後悔させないと約束する」


【《ロキ》は高笑いし、願うよ、とだけ言う】


【重要システムメッセージ】


【契約が完了しました】


【これより神獣を召喚できます】


【新しい称号を獲得しました】


【名称:神獣調教師 効果:調教に関する膨大な知識を獲得。神格級の魔獣の調教成功率が30%上昇する】


この新たな人生で、システムは随分と俺にご褒美をくれるようだ。


おそらく、調教が完了した時点で自動的にシステムへ戻されたのだろう。魔力を消費して再び召喚する必要がある。


だが今は魔力が足りない。回復を待たねばなるまい。


魔力が回復する間、俺はあの竜を倒すとしよう。


他の誰なら、こんな低レベルで竜に挑むのは狂気の沙汰だと思うだろう。


だが、良い知らせがある。この竜はルールを破っている。本来、竜が地上に現れるのはまだ早すぎる。少なくともあと6年は、地上がこれほどまでに魔力に満ちた魔獣を受け入れる準備ができていないからだ。


そして、早すぎる到来故、システムはこの竜に強い制限を課している。加えて、能力を使用したため、しばらくは能力が使えないはずだ。


今が奴を仕留める絶好の機会なのだ。


「ロキ、武器を送ってくれないか?」


【《ロキ》が今から送ると言う】


【《ロキ》が贈り物を送ってきました】 【祝贺】


【あなたは《ロキ》の個人コレクションからアイテムを授かりました】


【名称:双混沌の短剣(ツインダガー・オブ・カオス)


ランク:S 効果:


攻撃力+140、


貫通+40%、


致命的一撃率+30%


追加効果:あなたのレベルが低すぎるため、追加効果は使用できません】


わあ、これは確かに凄い武器だ。だが、まだ”碧血の短剣”には敵わない。あの短剣を手に入れるためには、もっとロキを感心させねばなるまい。


だが、この短剣があっても、あの竜との戦いはまだ少し厳しい。 たとえ力が制限されていようとも、奴は依然としてランクSの竜なのだから。


ともかく、余計なことは考えずに、奴を屠りに行くとしよう。

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