放課後

「じゃあね、僕バイトあるから」

ノアはそう言って教室を出た。

Sクラスだから、別にする必要はないが、何かとやっておくと便利なものだ。

図書室の書架整理。それが仕事。

一回として稼げるpは1000pほど。

この学園の図書室に書庫量は、トップクラス。

国立図書館にも負けていない。

それを一人で整理する。

一冊一冊、敬意を込めて。

ノアは、この作業が大好きだった。

(この本は歴史だから…こっちは文庫…)

図書室の本は一冊借りるのに500p。

借りに来る生徒もぼちぼちだ。

丁寧に一冊一冊並べていく。

「あれ?ノアくん?」

「月川さん?」

そこには紫のストレートロングの髪を揺らして立つ天音の姿。

その手には10冊の本がある。

「書架の返却?」

「ええ。貴方は?」

「僕はアルバイト」

そういうと天音は驚いたような表情になった。

「アルバイトをしなければいけないほど、pが足りないのですか?」

「ううん。ただ、僕がいつもお世話になっていると本に感謝を伝えたいから…」

またしても天音は目を見開く。

だが、すぐにふわっとした笑みを浮かべた。

「そうだね」

天音は図書室のポスターに目を向けた。

「ノアさんは、図書の本貸出冊数第一位だものね」

「うん」

「桁が違うわ」

ポスターには、一位のノアは2000000冊に対し、二位の天音は20000冊だ。

「これは、いつからの記録なの?」

「多分…1学期」

1学期からスタートして、未だ7日。

「異常ね」

「月川さんもね」

二人で笑い合う。

「じゃあね。ノアくん」

天音は出ていった。


そこから数時間。

「終わった…」

ノアは最後に本の返却と貸し出しを済ませて部屋を出た。

「ノア!」

「四ツ葉!咲人くん」

「バイト終わった?」

「うん」

「俺ら夕食まだなんだ。一緒に食おうよ。ノア」

3人で食堂に入った。

「何頼んだの?」

「わたしはお団子とうどん!」

四ツ葉は手にあるタブレットの画面を見せた。

注文はタブレットからできる。

そこには、暖かそうなうどんと、みたらし団子10本の画像。

「俺は炒飯。ノアは」

ノアも自分のタブレットを見せた。

「僕は白米だけで良いや」

「ノア…そんなんだからおっきくなれないんだよ」

咲人がノアを立たせる。

すると、大きく頭三つ分、ノアの方が背が低い。

「そうだよ〜。ノア、わたしよりも背低いじゃん」

「うっ…」

確かにノアは少食だ。

それが影響しているのだろうか。

食事を食べ終えると、風呂に入ってSクラスの寮室へいった。

一クラス1部屋。

それがこの学園だ。

「ノア、またそれ飲んでる」

遊人里がノアの飲んでいる髪パックを指さした。

「これですか?もう少し酸っぱい方が好みなんですけどね」

これは100pほどで、ノアは毎日飲んでいる。

「この前それ飲んで倒れたぞ」

結唏がそう笑っている。

だが事実、この前クラスでこれを飲んだところ、ノア以外全員保健室送りとなった。

「天音〜ここの音程教えて〜」

美緒がピアノの前に天音を呼ぶ。

美音はピアノが得意。天音は絶対音感持ちで歌が上手い。

「あぁ、ここね。ここは、ファファミドドミ。わたしの歌に合わせて弾いて」

天音はそう言って息を吸った。

美緒も真剣な表情になって鍵盤に手を置く。

「-------♪」

天音の綺麗な歌と、美緒のぴあのがかさなる。

「ふぅ。わかった?美緒」

「うん!バッチリ!あんがと!」

美緒はぱちっとウインクをした。

それを見ていた四ツ葉が振り返る。

「凛花は何してるの?」

ずっと机で何かを書いている凛花。

「わたし?わたしは…⚪︎大の赤本」

「⚪︎大って…確か、めっちゃ難しい大学の!すごいね!りん-」

ドッカーンっ!

ものすごい爆音が響いた。

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