第一話  お前を、魔王とする。

いつものように、ルナノは頬杖をついて会議を眺めている。


今日も、何も無いか。


ルナノは、しばらく会議を眺めていた。が、眠たくなり、ベッドに寝転がろうと思った時。


ガチャリ


突然、自分の部屋の扉が開かれる。


入って来たのは、父。


どうせまたしょうもない報告なんだろうな、と、目を合わせずに耳を傾ける。


「こっち向け」


そう冷たく言った父。


「いいか、先ほどの会議で決められたことだ。すまんが、後戻りするのは難しい」


何故かそう言う。

何か大事なことなのか?


ルナノは少しの期待を胸に、父の方へ向き直る。


「お前を、今日をもって、四代目王とする。お前は女だが、気にしないでくれ」


は?


一分ほどだがルナノにとっては長い間、頭の機能が停止したような感覚になった。


「どどどどどういうことですかァ!!?」


我に返った時にはもうすでに父はこの部屋を去っていた為、ルナノは父を追いかけるように、閉められた扉を数回叩く。


ルナノは、面倒くさいことが大の苦手。

だが、リーダーシップを発揮するのは好き。


だから少し賛成してしまう自分もいた。


そんなルナノでも、パッと話してパッと帰っていったあの父には、苛立つ。


一瞬、魔王になって命を引き換えてでも魔界を潰してやろうかと思ったが、すぐに思い直した。


それこそ面倒くさい。

命を引き換えて馬鹿にされるのは嫌だ。


いや待て。

死んだら何もかもパーになると思っていたじゃないか。わたしは。


激しく動揺するルナノを置いて、部屋も、その周りも、静寂が漂う。



次の日。


ルナノは、長年の友達、レイマに話を聞いてもらおうと黄泉へ向かう。


レイマはそういう、王家だ。

魔王とかにも詳しいだろう。


そうやってルナノは勘違いしている。

それを分かりながらルナノは自分を落ち着かせる。


「くっそくっそくっそ……ッ!!!」


あのジジイ。


自分勝手に話を進めやがって。


だから昨日の会議でいつも開いてる窓を完全に閉めていたのか。


くっそ。


まだ苛立ちが消えないまま、黄泉の城に着く。


そして、ルナノはそのまま中に入る。


案の定、人の気配は無い。


ルナノは、迷わず廊下を進む。


そしてある一室の前まで行くと、勢いよくその扉を開けた。

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なぜかニート魔族が魔王になったと聞き黄泉から出掛けます!! モニル(璃霊) @reisenn0

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