ガール
「よう、日比野」
目の前から何やらとぼとぼ歩いてきた日比野に手を挙げた。「どうした」
「おまえか」日比野が顔をしかめる。
「なんだ、おまえかって」
「失恋だよ」
「失恋? 失うに恋と書いて?」
「それ以外に何があるんだよ」日比野は眉間にシワをつくり、「おまえって空気読めないよな」と言い、俺の肩に手を置いた。「土井、ちょっと来い」
「いやだ」面倒なことには巻き込まれたくない。
「そこは断るとこじゃねえんだっての」
♫
「振られたんだよ」日比野が言った。
俺が連れてこられたのは、スタジオの近くのファミレスだった。日比野は俺の向かいに座り、いつも通りオレンジジュースを啜っている。曰く、炭酸は苦手らしい。
「なんて言った?」
「振られた」
「なんて?」
「振られた。何回も言わせるなよ」
「誰にだ」俺が訊くと、日比野は「近所のコンビニの店員だよ」と口を尖らせた。
「それは、ご愁傷様でした」手を合わせて軽く頭を下げる。彼はご不満だったようで、下唇を出した。
「柊木を呼べ。音楽にしてもらわないと俺が浮かばれねえ」
「迷惑かけるな」
「迷惑じゃねえよ、創作活動だろ」
「どんな女なんだ?」話を逸らした。
「綺麗だったんだよ。年齢は知らねえけど」
「仲は良かったのか?その、店員さんと」
「コトリさんだよ。コトリ、ユウ」
「コトリさんと、仲良かったのか?」俺が訊くと、日比野は「気安く名前を呼ぶんじゃねえよ」と俺を指差した。面倒な男だ。分かってはいたが。
「仲、良かっただろ。なあ」
日比野は天を仰いで、誰かに縋るように言う。あまりにも哀れである。「なんて振られたんだ」と話題を逸らした。
「ごめんなさいって、それだけだよ」
「それは、ご愁傷様でした」手を合わせて軽く頭を下げる。日比野が持っていたハンカチを俺に投げた。
♫
その日の深夜、俺は
「やっほー。待った?」
「いや」
伊藤は約束の時間の二分後に、件のファミレスに現れた。流行りの小さいバッグを席に置き、「このやりとり、人生に一回は彼氏とやってみたかったんだよね」と言いながら俺の向かいに座った。
「そうですか」俺が流すと、伊藤はむっとして、「こんな深夜に呼び出しておいて」と言った。
「で、話って何? 別れ話?」
「違う」食い気味に言い切る。伊藤の笑いが収まるのを待って、話を続けた。「おまえ、日比野と家が近かっただろ」
「日比野君か。近いよ。なんで?」
「近所のコンビニに、コトリユウという店員さんはいた?」
「流石のわたしも、そんなのは覚えてないよ」
「だよな」
「さては、日比野君と何か関係あるんでしょ」
伊藤はするどい。「まあ、そうだけど」
「やっぱり。土井がそんなに真剣になるってことは、だいたい日比野君か柊木君のことなんだよ」
伊藤はまるで名探偵が犯人を指し示す時のように、俺を指差す。
「まるで俺があいつらのお母さんみたいじゃないか」
「違うんだ」伊藤は心外といった顔をした。「で、日比野君が何なの?」
「日比野が失恋したらしい」
「日比野君が失礼? 知ってるよ」
「失恋」
「ん? 失うに恋と書いて?」
「その失恋」
伊藤の顔は、日比野君って恋とかするんだ、とでも言いたげだった。「それが、そのコトリユウって店員さん?」
俺が頷くと、伊藤は「気になるんだ」と微笑んだ。「調べる?」
「調べるって、なにをどう」
ふと、入店音がした。こんな夜中に、と入り口を見る。ギターケースを背負った柊木が入ってきた。
「柊木」名前を呼ぶと、柊木はこっちを見て目を丸くした。「土井。どうしたの、こんな夜に。家、こっちじゃなかったよね」
「おまえもだろ」
「俺は日比野にギターを借りてたから、返しに行くところ。ついでに、課題をやろうと思って。二人は何してるの?」
柊木はそう言いながら、俺の隣に座った。伊藤も気にする素振りはない。
「日比野君の失恋を調査しようと思って」
「日比野の失礼?」
「失恋」
「失恋? 失う恋と書いて?」
「その失恋」俺が頷くと、柊木は状況を把握したのか、苦笑する。「何でまた、調査なんか」
「どんな人なのか気になったんだよね。ねえ土井」伊藤が俺を茶化すように笑う。「まあ、そうだけれど」
「俺も気になるな。調査、協力してもいい?」
「好きにしろ」
「柊木君も、やっぱり気になるんだ?」
「気になるね。彼がどんな人を好きになるかなんて、全米が大注目」
「大袈裟だ」
「どうやって探そうか。やっぱり、張り込み?」伊藤が楽しそうに言う。
「勤めてるコンビニはわかっているんだから、通っていればいつか会えるだろ」
「そんなのつまらないじゃない」伊藤が口を尖らせる。柊木も頷いて、「そうだね。もっと面白くできる」と笑った。
「面白がってるだろ、おまえら」探偵ごっこがしたいだけじゃないか。
「そんなわけないじゃん」
ファミレスから出ると、伊藤は鼻歌を歌い始めた。知っている曲だった。俺たちの、『ロック』だ。「この曲、いちばん素敵だよね」と伊藤は言った。
♫
こうやって探偵ごっこをするのは、一年前のあの事件以来だと思う。あの事件の後、俺たちと俺たちのバンドはなかなかに人気者になった。話題を呼んでいた放火事件が、五年前の放火事件に関わっているという映画のようなシナリオの事件を、一般の大学生が解決したとなれば、マスコミは大盛り上がりだった。
だが、事件から二週間経ったとき、今度は十年前に起こった未解決の誘拐事件がやや複雑な形で解決した、というのが話題になり、マスコミや世間の興味はすぐにそちらへ移った。世間様というのはすぐに飽きるのだな、と、このとき改めて実感した。流行りの音楽が長続きしないわけだ。
例のコンビニに向かい、付近を彷徨いていたところ、警察官に呼び止められ、その日は解散した。張り込みは危険ということがわかったので、まず、失恋の当の本人である日比野に話を聞くことにした。翌日、伊藤、柊木、俺の三人は大学の授業が終わったあと、日比野の家に押しかけた。
「なんだ、おまえら」アパートの扉が開いて、日比野が目を丸くして言った。「なんで伊藤もいるんだよ」
半ば強引に室内に入る。日比野の部屋は相変わらず物が散乱していた。床に置いてあるルンバが居場所を失っている。
「相変わらず汚いなー」柊木が荷物を置き、床に座る。置いてあった変な顔の犬のクッションを見て、センスあるね、と笑った。
「日比野君の家、久しぶりに来た気がする」伊藤が能天気に言った。
「二度と来るんじゃねえよ」
「ああ、伊藤さんは前に日比野のギターを壊したんだっけ」
「よく知ってるね。そうなんだよね、前に遊びに来たとき、酔って壊しちゃってね」
「壊しちゃってね、じゃねえよ」
日比野が麦茶をローテーブルの上に四つ置いた。そのローテーブルの四隅に一人ずつ座る。日比野は俺の右隣に座った。
「それで日比野君、本題なんだけれど」
伊藤がやけに真剣な顔つきになる。日比野もつられたのか、背筋を伸ばした。
「コトリユウさんがどんな人なのか知りたいんだよね、わたしたち」
「はあ? なんでだよ」
日比野の反応に俺と柊木は堪えきれず、声を立てて笑った。
「わたしたち、気になるの。日比野君みたいな、こう、すごく素敵な人が、どんな女の子を好きになるのか」
「本心かよそれ」
「はいもちろん」伊藤はうやうやしく言った。
「誰が教えるかよ」
「ちなみにさ、日比野。コトリユウって、彼女が名乗っていた名前?」柊木が訊いた。
「いや、名札に、コトリユウって書いてあった。漢字で」日比野がローテーブルの上にあったチラシの裏面に、ボールペンで『小鳥遊』と書いた。子供のような字だった。
「それ、本名かな」柊木がぼそりと呟いた。
確かに、その可能性は大いにある。最近では名札に書くのは本名でなくとも良くなっているらしい。
「コトリユウさん、って、名前を呼んだことはあるの?」また柊木が質問する。
「あるぞ。何回もある」
「ふうん」
柊木の口元が緩む。顎に手を当てて、なるほどね、と呟くのが聞こえた、ような気がした。
「とにかく、他の店員さんに聞いてみるのがいいかもね」
「若い子なら教えてくれるかも。わたしたちに親近感をおぼえてさ。ね、あるかも」
「何をやろうとしてるんだよ、おまえらは」
「内緒」
伊藤が人差し指を口元を置き、微笑んだ。
♫
次の日、俺と柊木はまた、例のコンビニへと向かった。伊藤からは「誠に残念なことに、用事ができてしまいました」と連絡が来ていたため、伊藤なしで行くことになった。
「いらっしゃいませ」
入店音と、気怠げな低い声が響く。「いるかな、今日は」
今日は水曜日で、日比野が振られたのもこの曜日、この時間帯だった。俺と柊木はレジに向かい、眠たそうに立っていた高校生らしき青年に声をかけた。
「お会計すか」と青年はこれまた眠たそうな声を出した。
「お会計じゃない。聞きたいことがあって」
「聞きたいこと? なんすか?」
「ここに、コトリユウという方は勤務しているか? それか、勤務していたか?」俺が尋ねると、青年は首を傾げて「コトリユウ? 誰すか、それ」と言った。
「先週のこの日のこの時間帯、ここでバイトしていたはずなんだけど」柊木が割り込む。
「知らないっす。俺、半月前からいますけど、聞いたことないっすよ」
「最近、誰かが辞めたとかはない?」
「ないと思いますよ」青年は軽く頭を掻いた。嘘をついている素振りはないし、嘘をつく意味もない。「知らねえっすけど」と付け足した。
「分かった。ありがとう」柊木が微笑み、青年に背を向けようとすると、「あの」と聞こえた。
「お二人ってもしかして、あの犬みたいなお兄さんと知り合いっすよね?」
「犬みたいな」俺と柊木は笑った。「そうだな、知り合いだよ」
「ですよね。なんか、見たことあるなって思いました。あの、日比野さんでしたっけ。もう、ここのコンビニに来るのは辞めた方がいいと思いますよ」
青年は店内を見て、小さな声で言った。
「どういうこと?」
青年は少し俯いた。「日比野さんは、このコンビニで、なんていうんですかね、ネタ客になってるんですよ」
「ネタ客」
「簡単に言うと、いじられてるんですよ。でも、俺、いじめとかそういうの、好きじゃないんす。だから、お二人から教えてあげてください。日比野さん、もうここに来ない方がいいっすよ」
柊木は少し笑った。「本人は気づいていないよ、きっと」
「そうかもしれないっすけど」青年は目の下を掻き、「でも、俺が嫌なんですよ」と言った。
「君は優しいんだね」柊木が言った。俺も同じ気持ちだ。君は優しい。
♫
「結局なにも、分からなかったね」
柊木が言った。俺達はあの後、近くの公園のベンチで缶コーヒーを飲んでいた。「あの子が優しいってこと以外」と柊木は苦笑した。
「本当にいたのかな、コトリユウなんて人」
「さあな」
「本当はいなかったりしてね」
「日比野の幻覚か」
「だとしたら、人騒がせだなあ」
「おまえたちが勝手に騒いでるだけだ。今回に関してはな」
ふと、スマホが振動しているのに気がついた。ポケットから出すと、見知った人物からの着信があった。
「どうした。用事は?」
「土井。わたし、気づいちゃった」
電話口から、伊藤のやけに緊迫した声が聞こえる。何に? 尋ねるより先に伊藤は、今送るから見て、と早口で言って電話を切った。
「どうしたの?」
「なんか、気づいた、らしい」「何に?」「さあ」
少しして、伊藤からネットニュースの記事が転送されてきた。数年前に起こった殺人事件のようだった。
「なにこれ」柊木が俺のスマホを覗き込み、顔をしかめる。
被害者が殺されたのは、この近所だった。被害者は女子高生で、バイトの帰りに、当時話題だった通り魔に刺されて亡くなった、と記事には書いてあった。無慈悲なゴシック体で、淡々と書かれた記事を読み進めると、妙な違和感があった。だが、違和感の正体が分からない。
「土井」ふと、柊木が俺の名前を呼んだ。「何だよ」
「土井、これ、被害者の名前」柊木が記事の中央を指差す。「え」
思わず声が出た。これが違和感の正体だ。被害者の名前を、俺は見たことがあった。被害者の女性として書かれていた名前は、『
「これは」おかしい。おかしい、というよりも、とてつもなく、不安になった。
「柊木、これ、思ってるより大変なんじゃないのか」
柊木の喉がごくりと鳴るのが聞こえた。彼も俺と同じ考えだったようで、瞬きを繰り返していた。「もしかしたら、だけれど」
「日比野が好きになったコトリユウは、幽霊だったのかも」
「そんなわけが、あるか」
「だって実際に、コトリユウは死んでいるじゃない」
「偶然だろ」俺の声はたぶん、震えていたと思う。怖かったのだ。当たり前だ。
伊藤からメッセージが届いていた。「記者の友達に、小鳥遊って女について聞いてみたんだけど」
メッセージが続く。
「そしたら、この記事が送られてきた。何か関係があるのかな」
俺が目を通している間に、メッセージが新しく送られてきた。
「日比野君をコンビニに向かわせたから、話をして」
勝手なことを。
♫
コンビニに向かうと、日比野は既に来ていた。駐車場の車止めブロックに腰を下ろして、イヤホンを付けて頭を揺らしていた。
「どうしたんだよ。伊藤は?」日比野が俺達に気づき、イヤホンをズボンのポケットに雑にしまった。をなんで呼んだんだ、こんなところに。俺はもう、このコンビニを使うのを辞めたんだよ」
そういえば、この前、心優しい青年がそうするように言っていたな、と思い出した。
俺と柊木は、昼間からいい思い出のないコンビニに呼び出されて不満な日比野を連れて、コンビニの裏に回った。「なんでこんなところ来るんだよ」
「日比野、コトリユウは、幽霊かもしれない」俺はすぐに、そう伝えた。「はあ? 幽霊? オバケ?」
「そうだ。オバケなんだ、コトリユウは」
「そんなわけないだろうが」
日比野はまったく信じていないようだが、少し焦っているのが分かる。
「この近くで、数年前に通り魔殺人事件が起こってるのは知ってるだろ」俺が言うと、日比野は頷いた。「だから、なんだっていうんだよ」
「その被害者の一人が、コトリユウなんだ」
「でも、生きていたぞ。ちゃんと身体があったし」
「理屈は分からない。でも、それが真実だとしたら」
「日比野、土井」柊木の声がした。
「何だよ」
日比野の表情からは、不安と動揺が溢れている。俺もきっと同じような顔をしているのだろうが、そんなことを考える余裕はなかった。
「これはね、ただの、俺の推理なんだけれど」柊木が眼鏡をくいっと直すジェスチャーをする。
思えば、柊木の推理を聞くのは、あの事件が起こった時以来な気がした。そういえば、現代のシャーロック・ホームズの推理は外れないのだった。
「コトリユウさんは、数年前に殺されている。通り魔にね」
「じゃあ、俺が会ったコトリさんは? やっぱり、幽霊だったのかよ」
「簡単だよ。日比野が出会ったコトリユウさんは、コトリユウさんではなかったんだ」柊木はコンビニのほうを見る。「前提から考えてみてよ。コンビニの店員さんは、普通、名札にフルネームを書かないでしょ」
「確かに」日比野は顎を引いた。
「『コトリ』が苗字ってわけじゃないし、『ユウ』が名前ってわけでもないんだ」
「じゃあ、『小鳥遊』は何なんだ」俺は正解を求めるように、柊木に訊いていた。ただの推理、と、彼が前置きをしていたことも忘れていた。
「小鳥遊には、別の読み方があるんだ。あの記事で亡くなった女の名前は、コトリユウだ。漢字も全く一緒でね。だけど、日比野。君が出会ったコトリユウは、コトリユウじゃない。コトリユウという女性は存在しない」
「どういうことだよ」
「これも簡単だ。読み方が間違っていたんだよ。小鳥遊は、『タカナシ』と読む」
「タカナシ?」
「つまり日比野、君が恋をしたコトリユウさんは、コトリユウじゃない。
柊木は一呼吸置き、言い切った。「どう? 俺の推理は」
「いや、コトリさんは、俺がコトリさんって呼んだら、なんですかって言ってくれたんだぞ。俺は騙されてたってことか」
日比野が捲し立てると、柊木は頭を掻いて苦笑した。「ここからは完全に、何の根拠もない俺の憶測なんだけれど、いいかな」
「言ってみろ」日比野は何故か喧嘩腰だった。
「日比野は、遊ばれていたんじゃないかな」柊木は申し訳なさそうに言った。
「ああ」
俺は合点がいった。頭の中で、絡まっていた糸が解けたような、マグネットがぱちっとくっつくような、心地よい感じがした。
ああ、そういうことか。謎が解けた。
「どういうことだよ」
「日比野、怒るなよ」俺は日比野の肩を叩いた。「なんだよ。どういうことだってば」
「おまえは、あのコンビニで、笑い物にされていたんだよ。それは、小鳥遊店員も例外じゃなかった。おまえは、騙されて、遊ばれていんだ」
「そうなのかよ」
「推測だがな」
「そうなのか」日比野はあからさまに、肩を落とした。
「大丈夫だよ、日比野。君は立派にすごいやつだから」柊木が慰めるが、日比野には響いていないようだった。「別に、フォローになってねえよ」
「でも、笑い物にされっぱなしも、つまらないな」俺が言うと、日比野は急に顔を上げた。「そうだよな。つまらねえな」
「おまえ、余計なことするなよ」
「しねえよ」
「奢るよ。ご飯食べに行こうか」柊木が日比野の肩を叩く。
「焼肉だ」日比野が歯を見せた。
焼肉屋に向かう途中、俺は気になっていたことを柊木に尋ねた。
「柊木、おまえ、もしかして、最初から知っていたんじゃないのか?」
「何を?」
「小鳥遊の、読み方」
柊木は子供らしく微笑んだ。「どうだろうね」
「なんの話してるんだよ」
前を歩く日比野には聞こえていなかったようで、俺はなんでもない、と首を振った。
「音楽みたいだよね」と柊木が言った。
「音楽?」
「ちょっとの勘違いで、まったく解釈が変わる。音楽は、偶然と、奇跡が合わさったものだから」
「そうかもな」
「音楽にしようか。日比野が浮かばれないよね」
「女に騙されて弄ばれる曲か」
「きっと本望だよ、日比野も」
前を歩く日比野はもう機嫌が治ったようで、鼻歌を歌っていた。そのメンタルの強さは尊敬に値する。
そして後日、伊藤から「なんでわたしも誘ってくれなかったの、焼肉」と、なんとも能天気なクレームの電話があった。日比野はというと、例のコンビニに通い詰め、商品の位置をこっそり変えるという復讐に精を出しているらしかった。
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