再会編⑤

マキ「ところでヤクスルがマージィを好きっていう伏線ってあったんだっけ?」


トベ「何でもかんでも伏線で考えるのはちょっと…。」


マージィ「2回目の大会の集合写真は、私とヤクスルは少し離れて2人だけで写っていました。」


マキ「まだその写真の中に、他の伏線があったんだ。その頃からヤクスルは、すでにマージィが好きだったのかもね。」


トベ「たまたまだって。」


マキ「それはマージィに酷くない?じゃあ花火のときに、私とタクマが2人だけで写っていた写真があるのも、たまたまだって言うの?」


マージィ「そんな伏線まであるんだ(爆笑)。」


トベ「それもたまたまだよ。」


マージィ「あと2回目の大会の打ち上げのときの写真でも、私の正面の席にヤクスルがいました。」


マキ「マージィの隣は?」


マージィ「トベさんとモリーです(爆笑)。」


マキ「なんで邪魔してんの?」


トベ「全部たまたまだって。」


マージィ「それも伏線です(爆笑)。」


急にトベは、伏線否定派になったようだ。なぜか今になってトベだけ、伏線をこじつけだと言い始めている。もしかしたらトベには、何か別のものでも見えていたのだろうか。


マキ「そういえば大会では、ヤクスルとタクマは対戦しなかったの?」


トベ「親善試合があって、そのときに1回だけ戦ったっけ?」


マキ「どうなったの?」


トベ「勝ったのは僕らだったけど…。」


マキ「なーんだ、残念!ヤクスルがタクマに勝っていたら、マージィを奪う伏線になっていて面白かったのに!」


トベ「試合に勝っても恋に勝てるわけではないよ。」


考えれば考えるほど、何でもかんでも伏線ではないかと感じてしまう。人生は伏線回収の連続だ。いや、伏線回収こそ人生そのものなのかもしれない。


一通り話を終えるとトベとマキは、ヤクスルを待たせてしまったことを英語で詫びる。トベとマキ、マージィとヤクスルがレストランを去り、それぞれ2人ずつで歩いていく。


マキ「私の予想を言っていい?絶対正解だと思うなー。」


トベ「言ってもいいけど、適当に相槌を打つね。」


マキ「過去にマージィはタクマのことが好きで、モリーと三角関係だったんでしょ?」


トベ「さあ?どうだろうね。」


マキ「三角関係で片思いの矢印が2つあった。三角形の2辺みたいにね。話の中に1人がいなくなると、みんなの頭の中では残った矢印がもう一方の矢印とくっついて、2つの矢印が逆向きの平行になった。だから両想いの矢印になってると、周りのみんなが勘違いしていたんだ。」


トベ「ほう!なるほど(笑)。」


マキ「急にテンション上がってるし、タクマ自身も気づいてなかったとか?」


トベ「なんか数学みたいな推理で面白いなと思って。」


マキ「むしろ化学じゃないかな?」


トベ「そうだね!これはまさに化学だ!」


マキ「正解でしょ?」


トベ「面白い推理だけど、まだまだだね。」


トベはまた優しい嘘をつくのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る