⑦
そんな凛久くんの行動に私が心から安心した直後、凛久くんが呟くように私に言う。
「…おまえな…そういうことは、もっと前に言っとけよ」
「…え?」
そう言うと、クルリと私の方に向き直って言葉を続けた。
「いや、でも…ありがとう。お前のおかげで手切らずに済んだ」
「それは違うよ。…私がいたからこういう目に遭ったんだし」
私がそういうと、凛久くんが「それもそうか」と笑う。
やっと見れたその笑顔に安心して、「指輪外して貰いに行こう」と病院へと一緒に行こうとしたその直後、凛久くんが言った。
「ちょっと待って」
「…え?」
「ごめん。それもう平気」
「??」
凛久くんはそう言うと、直後、あれだけ「外れない」と大混乱していたはずの指輪を、いとも簡単にスッと外した。
…え?
「っ、ええぇぇぇえ!?」
な、なんで?だってあれだけ、ついさっきまで「外れない」って言ってたのに!
私が思わず目を丸くしていると、そんな私に凛久くんが言う。
「うん、外れなかったのは本当だけど…なんか、今普通に簡単に外れた。不思議な指輪だね、これ」
「よかったぁ…。…ごめん。貰いものだったから、ちょっと、凛久くんに試してみようと…」
「貰いもの?なんだ、これお前からのプレゼントじゃないのか」
「…?」
凛久くんはそう言うと、少しイタズラ顔で私を見る。
あの、それって…。
「…どういう意味?」
私がそう問いかけると、凛久くんが言った。
「……俺やっぱ、結婚するのやめる」
「えっ」
******
「…どうやら上手くいったみたいね」
一方その頃、後をつけていた雑貨店の店員は、魔法を使って2人の様子を見ていた。
指輪の力が強力だから心配で見に来たけど、大丈夫だったみたい。
「お幸せに」
私は独りそう呟くと、ホウキにまたがってその場を後にした───…。
※明日、最終話アップします!
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