エピソード9 似た者同士は似て非なるもの(警察学校編:神東ペア)
もとより、あのメンバーはおかしい。
いや、普通の人間ではある。だが、何というか、こう、言い表せない非一般人感がある。こう、どこか、常人とはかけ離れているようなところがある気がする。
「
「お前らこそ、何故
何事にも動揺しない人間に言葉足らずすぎる人間。
「今の状況で自分の命を守れ言うのは俺の方やと思うんですけど。なんで山口先輩に言われなあかんのですか」
「何かあったら面倒だろう、
「これから、油断している間に何かに遭遇して、その何かに増援呼ばれたり、刃物出されたらお前らがケガをする可能性がある。だから、部屋に戻って教官に連絡して欲しいってことじゃないかな」
柔らかいくせに何故か、クセが強い人間。
「そんなん分かるか!」
「そんなの分かるか!」
これだけのやり取りで、彼らが常人とはかけ離れた人間なのだと分からされた。
今、僕はこの三人と一緒にいる。
数分前まで東の発案で神崎・東と教官達に隠れて学校探検を行っていたところだった。罰則確定行為。
ちなみに二人と仲が良い
なんで?
そしたら、
うん・・・・・・。常人とかけ離れているというか、何というか。問題児というか、問題発生させる才能の持ち主というか。問題に巻き込まれる能力の持ち主というか、──――全員が。
「ってか、どうして山口先輩は北道先輩背負ってんすか? 体格差エグないですか」
「襲撃されて、北道が気絶した。今から医務室に行く」
「・・・・・・どういうこと?」
「警察学校に侵入者が入ってきた。教官達は気付いていない。見回り協力をしていた山口先輩と北道先輩がそれを発見。侵入者の対応をしていた北道先輩がケガをして気絶した。侵入者は全員
「そうだ」
言葉足らずとして有名な山口さんと、何となくそれを理解する神崎のわけ分からん吹っ飛び会話。どうして、少しの言葉から、そこまで読み取れんの?
「襲撃された場所は」
「東棟一階第三講義室」
「俺、そこに行きますわ。東は先輩達とおってな。教官達への報告よろ」
「了解」
「東、北道の
「了解しました。あれですね、ナイフで切られて出血箇所がある感じですね」
山口さんの言葉に東はニコニコしながら答える。
東も山口さんの翻訳をスラスラとするな。「治療頼む」で「ナイフで負傷、出血あり」まで読み取るな。天才か。翻訳家にでもなれや。
「
「あ~、山口先輩、そういう治療苦手やもんな」
「じゃあ、葛篭君、神崎のことお願いね」
「んで、葛篭は俺と一緒に来てくれや。現場様子見と上手くいったら侵入者取り押さえるで」
「え、俺行くの?!」
なるほど、皆が言っていた「頭おかしくなる会話」ってこれのことかと納得した。いや、神崎はまだ、東とか都よりはマシだと思っていた。そこまで翻訳できるとは思っていなかった。それにそこまで実働的だとも思ってなかった。たけど、東とか都と似た者同士か。
というか、事態が悲惨。何これ。侵入者? 全員伸した?
・・・・・・バカ強いじゃん、山口さんと北道さん。強いって噂には聞いてたけど、それほどだとは思わないだろ。
「お前しかおらへんやろ。なんや、山口先輩の翻訳できるんやったら東と代わってもええで。無理やろうけどな」
「無理」
北道さんは身長が滅茶苦茶高いのでよく、ずっと背負えてるな、と北道さんを背負いながら二人と話す山口さんの様子を見る。まったく重いという気持ちが顔に出てないじゃん。北道さん190cmはあったはずなんだが。
つーか、翻訳は無理。絶対に無理。できない。絶対にできない。
「まあね、慣れてないとね」
「慣れても無理やろ。俺は無理やからな」
「・・・・・・俺の目の前で
少し、不機嫌な顔になる山口さん。あ、一応、そこには反応するんだ。ちょっと山口さんと神崎似てると思ったけど、神崎はそこすら笑って返すから、似てはいないな。
あと神崎、お前は翻訳できてるから。
「あ、すんません。じゃ、行くで、葛篭」
「いや、はや?!」
そして、神崎の方を見れば既に歩みを進めている。
歩くの速!
早足で東棟へ向かう神崎を追い、彼の隣まで追いつく。ふっと東達のいる後方に目を向ければ、東はニコニコ笑ってこちらを見ている。緊張感ないやつ。こういう事態に慣れてんのか、お前。顔に似合わずすぎる。
東の隣にいる山口さんの方を見れば、滅茶苦茶不満そうな顔をしながら、こちらを見ていた。若干怖い。
「頑張ってねー、神崎~」
「おう、そっち頼むわ、東ー!!」
「
「はーい」
「俺も?!」
後ろから東から神崎へ、山口さんから神崎と俺に掛けられた声。
え、俺も変人メンバーにいよいよ、加入すんの?
嫌だよ、俺。一般人でいたい。
「じゃ、行くで葛篭」
「・・・・・・うぃ」
神崎の声に俺は変な声を出して頷くしかなかった。
・・・・・・罰則確定だね!! わーい。
「今日は徹夜だな」
「・・・・・・デスヨネー」
・・・・・・夜はまだまだ続くらしい。眠い。寝たかった。
恨むからな、都。
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