第14話

「シリウス学園の先生って、あんな感じなの?すごいね。」杏が驚いていると、拓哉が「成人部門のフェスにはよく出るらしいよ。その筋では知られているらしい。このフェスは色的にはあまり合わないと思ってだけど、まあまあ良かった。」

「なんで急にこのフェスにエントリー、いや会場まで提示したのかね。」杏が言うと、スグルは「直接いろいろ聞いてみたいな。論文のコメントも読んでいるし。」と何気にコンタクトとりたいそぶりを示し、バンドの3人でフェスの合間に坂上先生に挨拶に行ってみることにする。坂上先生のバンドの一団はステ-ジからだいぶ離れた丸テ-ブルにいた。


「あのう、すいません。」とスグルが声をかけると「あら、貴方達も演奏してたわよね。ジュピターだった?」と坂上先生が言うと杏が喜んで「ありがとうございます。そうです。覚えてくれて感謝です。」

「貴方のボ-カル良かったよ。高校生よね?」

「はい、市ヶ谷学園です。」と拓哉が言う。「勉強も大変な学校なのに頑張るね。そういえば少し前にそちらの学園の子からSNSで質問もらったなあ。」

スグルはすかさず、「それって僕だと思います。論文のコメントを読んだんです。」と言うと

「えっ、君が。そう。」と一瞬驚き、そして興味深そうにスグルを見る。値踏みしているようで不気味だ。

「じゃあイズミちゃんにも?」

「はい、ちょっと会っただけですけど。」

杏と拓哉はキョトンとしている。

「何かわかったの?」

「全然です。まあ少し不思議だと思ったので聞いただけで、もういいです。ところで何で今回フェスにエントリーしたんですか?あまりこの手のには出ないようなバンドと思ってたんですが。」

「ああ、気まぐれと偶然かな。受け持ちの高校生達が演奏聴きたいと言うし、たまたまシリウス学園のやるはずだった行事が流れて他に貸し出しを検討したらこのフェスがぴったりハマったみたい。」

となりの坂上先生のバンド仲間が「そう言えばあの時坂上は人が変わったように理事にアピールしてたな。そんなにこのフェスに出たいのかなって不思議だったよ。」

「そうだったかしら?覚えてないわ。」


3人はそこから離れてあみやしすかのいる席へ戻る。「ねえ、イズミって誰?何なの?」

スグルは論文の中でベ-タ界って言う単語が使われていて、小説仲間にも同じことを言っているやつがいたので出典を知りたかったこと、それを知っていたのが中等部のイズミで少し会って話したと言う少しアレンジした話で杏、拓哉には話す。

「そうなんだ、、確かにでもベ-タ界なんて言葉あまり使わないよね。」と杏は納得してくれる。

スグルは同期状態だったショウに聞く。

「どう思う、あれ?」

「どうやったのかわからないがサキに誘導されてこのフェスへのエントリーをした可能性が高いなあ。でも何が狙いなのか。油断するな。」

ショウが言うと「わかってる。坂上先生の動きは特に見ておかないと。」とスグルは返したが

「スグルさん、あれ!」と突然あみがスグルに叫ぶ。

スグルがその方向を見ると坂上先生が眠り込んでいるのが見えた。「何で突然、あ。」スグルは坂上先生から少し離れたところにイズミを見つける。イズミはぼ-としている、明らかに何かに操られているようだ。坂上先生の前のテ-ブルにはグラスが倒れて転がっている。「睡眠薬か?」次の瞬間、坂上先生はおもむろに立ち上がる。

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