第三話:放課後のシングレット
放課後の体育教官室は、どこか独特の湿気を孕んでいた。外のグラウンドから差し込む太陽が、狭い空間にゆっくりとした時間を閉じ込めている。汗と洗剤の匂い、ロッカーにこもったジャージの湿り気、そして、そこにいる男ふたりの体温。
それらが混ざり合って、誰にとっても心地よいとは言えない匂いなのに、それが森と伊達にとっては甘い刺激になっていた。
「どっこいしょ……さて、そろそろ着替えるか」
重々しい声とともに、森がジャージの上着を脱ぐ。肩をすくめるようにして引き上げた瞬間、布の隙間から覗いたのは厚みのある胸板。汗に薄く濡れ、光を受けてわずかに艶めく肌は、白く、柔らかそうで、しかしその下には鍛え抜かれた筋肉が確かに潜んでいるのが見て取れる。
Tシャツをめくり上げる動作と同時に、腹が揺れた。しっかりと肉がついた腹──ただの脂肪ではなく、芯のある肉体に覆いかぶさるような贅沢な厚み。伊達の目は、そこに釘付けになった。
「……っ」
ズボンが腰から滑り落ちると、下に覗いたのは白地に青ラインのスポーツパンツ。すでに伊達の視線は吸い寄せられていた。布地を押し上げるように膨らんだ男根──収まりきらぬ質量がそこにあることを隠しもせず主張している。
揺れる腹の下で、森の男らしい存在感がはっきりと形を持っていた。
「何か言ったか?」
森が振り返る。丸顔の中心にあるつぶらな瞳が、屈託なくこちらを覗き込んだ。そんな無防備な視線が、伊達の心臓を殴りつける。
「いや……別に。ただ、センセのその……やっぱデカいなって」
「どこが?」
「全部」
わざと挑発するように言葉を選ぶ伊達。森は苦笑いを浮かべ、肩をすくめただけだったが、伊達の鼓動はもう限界に近かった。喉の奥が渇き、視線が股間に戻るたび、自分の中でむくりと膨らむものを止められない。
(ちょっと……ヤバい。反応してきた)
ごまかすように、伊達も着替えに取りかかった。Tシャツを脱ぎ捨て、下に着ていたタンクトップも一気に剥ぎ取る。
丸みを帯びた胸筋、詰まった腹筋の上にわずかに脂肪が乗り、腰にかけて段差を描く。自分の身体に少し自信を持っている伊達は、つい見せつけたい気分になっていた。
森に対して──どこまで意識させられるか、試してみたい。
「よっと……俺もそろそろ着替えますか」
そう言いながら、一気にパンツを下ろす。下着すら脱ぎ捨て、素っ裸のままシングレットを手に取る。
半勃ちの肉棒が上反りに揺れ、亀頭がわずかに赤みを帯びて光を反射している。だが伊達は、隠す素振りを見せなかった。むしろ自然体を装いながらも、あえてゆっくりと脚を通し、生地を腰まで引き上げていく。
食い込む布地が尻を締め、前の膨らみを強調する。その動作の一部始終を、森がちらちらと見ていた。その一瞬の視線の揺れを、伊達は決して見逃さなかった。
(あ、今のは絶対に見てた……!)
伊達の口元が、にやりとほころぶ。
「センセ、真面目な顔してるけど……結構、見てますよね」
「……何を」
「決まってるでしょ。俺のコレ」
シングレット越しに、布を突き上げる中心を軽く叩く。パシッ、と弾かれた音が狭い部屋に響く。
森の顔が一瞬だけ赤らんだ。その変化を、伊達は楽しむように追い詰めていく。
「やっぱりさ、センセくらいの体格じゃないと、俺……興奮しないんすよねぇ」
「伊達先生……からかわないでくれ」
「からかってませんって。本気」
伊達は半歩近づき、森の肩に腕を回す。わざと汗ばんだ肌を擦り合わせ、耳元でささやいた。
「俺ら、似た者同士でしょ?太った男が好きってとことか」
森の身体がわずかに強張る。だが、すぐに大きな手が伊達の肩を押し返した。
「……仕事中だぞ。生徒が来たらどうする」
「だーいじょうぶ。誰も来やしませんって」
「……伊達先生」
低く名前を呼ぶ森の声には、わずかな威圧感があった。しかしその奥に、熱を帯びた揺らぎが見える。森のつぶらな瞳が真っ直ぐに向けられると、伊達は一瞬だけ息を呑んだ。
それでも、引き下がる気はなかった。むしろ、挑発の炎はますます燃え上がる。
「センセ……俺に触りたいんでしょ?」
「……触らん」
「じゃあ……俺が触りますよ?」
そのまま伊達は、森の腹に手を当てた。分厚く、温かい肉の感触が手のひらいっぱいに広がる。柔らかさと硬さが同居する腹筋──あまりに生々しく、興奮を煽る。
森は肩で息をしながら、しかし手を振り払おうとはしなかった。ただ、大きな手で伊達の手首を掴み、そっと外す。
「……やめとけ。お前、調子に乗りすぎだぞ」
「乗ってんのは俺だけじゃないでしょ?」
ニヤニヤとしながら森の顔を覗き込む伊達。だが森は眉をひそめ、ゆっくりと立ち上がった。
「……ったく……じゃあ俺、先にグラウンド行くわ」
声はわずかにかすれていた。パンツの中で押さえつけられた股間が、確かに自己主張をしている。それでも彼は背を向け、静かにドアへと歩き出す。
伊達はその背中を目で追いながら、笑みを浮かべた。
「……行ってらっしゃい、森センセ」
ドアが閉まる音が響いた。
森が去った後の体育教官室は、急に広く、静かになった気がした。
ただ着替えただけ。だが、教官室に残された空気は、ひと汗かいた後のように重く、濃く、淫らに匂っていた。
伊達はしばらくその場に立ち尽くしていた。森の視線を思い返しながら、下半身に溜まった熱をどうしても無視できなかった。
「……くっそ、やっぱ我慢できねぇ」
椅子にどさりと腰を下ろし、シングレットの前を乱暴に引き下げる。
半勃ちだった肉棒は、解き放たれた瞬間にむくむくと膨張し、完全に硬度を増した。太く、赤黒く脈打ちながら、先端から透明な滴を垂らす。
「森センセの……腹、やべぇ……」
森の分厚い胸板、腹に当てたときの熱、汗の匂い。それらが鮮明に蘇る。
伊達はそのまま手を添え、根元からしごき上げた。ぬめりが指先に広がり、皮膚が擦れ合うたびに快感が電流のように走る。
「……はぁ、はっ……あのパンツの中……絶対勃ってたよな」
想像の中で、森のパンツを下ろす。白地に青ラインの下から現れるのは、あの巨躯にふさわしい太く逞しい肉棒。
その映像を頭の中で勝手に補完しながら、伊達の手は速度を上げる。
ぐちゅ、ぬちゃ、と自分の液が音を立て始める。狭い部屋に、湿ったいやらしい音が充満する。
「っく……やべ……声出る……」
歯を食いしばり、肩を震わせる。額から汗が垂れ、視界がぼやけるほどに昂ぶっていた。
森のつぶらな瞳、無邪気な笑顔。いつもは自分を拒んでいるくせに、あの瞳が自分の股間に吸い寄せられた一瞬──その記憶だけで、腹の底が爆ぜそうになる。
「森センセ……っ、く、ああっ!」
最後の一押しとばかりに強くしごき上げると、堪えていたものが一気に噴き出した。
白濁がシングレットの裾や太ももに飛び散り、さらに椅子や床にも滴を落とす。
「はぁ……はっ……んっ、やば……」
胸を大きく上下させ、ぐったりと背もたれに預ける。
汗と精液の匂いが入り混じり、部屋はさらに濃厚な熱気に包まれていった。
しばらく呼吸を整えてから、伊達は乾いた笑いを漏らした。
「ははっ……俺、ほんとガキかよ。ひとりで抜いて……」
だが、その口元には満足げな笑みが残っている。
「でも……いつか、本当に……」
そうつぶやきながら、シングレットを整え、床に滴ったものを慌てて拭き取った。
まるで何事もなかったかのように、体育館へ向かう準備を始める伊達。
しかし彼の下半身には、まだ火種のような熱がくすぶっていた。
挑発と自制。森と伊達の間に漂うのは、その境界線を踏み越えそうで踏み越えない、危うい緊張だった。
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