法令遵守(コンプラ)勇者

三千白

法令順守(コンプラ)勇者


「よくぞ来た勇者よ。魔王を倒して参れ」


「はっ、お任せください、コンプライアンスを重視して参ります」


「……いいだろう、では勇者よ、頼んだぞ!」


「はい。つきましては、これにサインをお願いします」


ゆうしゃは けいやくしょ をわたした。


「はぁ? 契約書? こんなのいらんだろう?」


「王様、お言葉ですが、当事者の合意を明文化しておくことで、言った言わないなどのトラブルを防ぐことができます。ビジネスの基本です」


「お、おう。そちの言うことにも一理あるな。どれどれーーおい、何ページあるんだ!」


「ざっと八十ページほどです。四百字詰めで」


「ハリ〇ッドか! ……もうよい! サインすればよいのだろう!」


おうさまは けいやくしょ にサインした。


「くっ、面倒じゃのう……、これでよかろう! 支度金を五百G用意した。遠慮せず持っていくがよい」


ゆうしゃは 500G てにいれた。


「あ、もう一つ」


「何じゃ、まだ、何かあるのか?」


「領収書をどうぞ」


ゆうしゃは りょうしゅうしょ をわたした。


「とっとと行け!」


なんと ゆうしゃは おしろから おいだされてしまった!


ゆうしゃは さかばで なかまを ぼしゅうした。


しかし けいやくしょが ぶあつい! だれも なかまにならなかった。


「しかたないな。一人旅も悪くないだろう」


ひとりなので レベルあげが はかどった。


なんと レベル30 になった!


「そろそろ、先に進むか」


ゆうしゃは ドラゴンを たおして おうじょを たすけた。


とちゅうで やどやに とまったが おうじょとは べつのへやに しておいた コンプラてきに。


「領収書をお願いします。あとで王様に経費申請するので」


ゆうしゃは りょうしゅうしょ をてにいれた。


そして とうとう ゆうしゃは まおうのもとに たどりついた。


「よく来た勇者よ! この魔王が直々に葬ってやろう!」


「魔王よ、残念だが巻きでいくぞ! そろそろ文字数制限なんだ!」


ついに ゆうしゃは まおうを たおした! 


ゆうしゃは てんいまほう をとなえた。


ゆうしゃは おしろに ついた。


「勇者よ、よくやった! そなたの偉業は後世まで語り継がれるだろう!」


「ありがとうございます。それでは、契約の履行をお願いします」


「はぁ? 契約の履行? なんじゃそれは?」


「契約書の70ページ目をご覧ください」


「魔王討伐の定義……」


「あ、もうちょっと後です」


「魔王討伐時の報酬は、この世の半分を勇者のものとする」


ゆうしゃは わざとまけた まおうと ふたりで せかいを おさめましたとさ。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

法令遵守(コンプラ)勇者 三千白 @mitishiro

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ