第9話 アリスと新たなる英雄の一歩
アリスと神威はパワーレスの最後の試練を終えた。「疲れただろう」と言ってパワーレスはアリスと神威を休ませた。
そして、その翌朝。その日はなんとも天気が良く、冒険日和であった。太陽の光で草木は色を輝かせ、水は透き通らせた。
その中、アリスと神威はパワーレスに呼ばれ、ギルドへとやってきた。
そのまま、受付のお姉さんに二階に上がるように言われ、その指示に従った。上がるとそこには見慣れた姿があった。
「よく来たのぉ」
パワーレスはアリスたちを出迎える。その表情はにこやかなものだった。
「ほれ、冒険者カードを出せ」
アリスたちは言われるがまま、冒険者カードを取り出した。相も変わらず、冒険者カードは銅色に輝いていた。
パワーレスはそれを受け取ると懐から金色の判子の様な物を出した。
「アリス、神威の以下二名を金級冒険者に昇格する」
そのまま、冒険者カードに金色の判子を押し付ける。すると、判子から金色の光があふれ出し、冒険者カードに吸収される。
冒険者カードを見ると金色になっていた。
「おめでとう。二人とも」
パワーレスは祝福の言葉を投げかけた。だが、それを聞いても。否、それを聞いてしまったゆえに、アリスも神威も自分が金級になったのだと実感し、疑問は深まった。
「なんで、レス爺様が冒険者のランク上げができるの?」
「そりゃ、儂が人を審査して、ランクを授ける資格を持っているからじゃよ。儂は英雄級じゃぞ」
英雄級はそれほどまでに壮大であった。そのもの一人で国を崩壊・滅亡させる可能性すらあるほどに。
パワーレスは時にランク昇級試験の試験官をたびたびしていた。銀級は、魔力を使わないパワーレスの半径1m以内に入ること。金級は、5人ほどでパワーレスに傷を負わせること。プラチナ級は1人でパワーレスに傷を負わせること。
故に、私と神威は実質、プラチナ級よりも少し低いぐらいの力はある。
「私たちは本当に金級になったんだね?銀じゃなくて金に」
「そうじゃ」
「やったぁぁぁ!!やったよ、神威!!」
そういってアリスは神威に抱き着く。
「ふぁえっ!!」
「おい、コラ。アリス」
神威は戸惑い変な声を出し、パワーレスは怒り散らかす。
「やったよ!!やったよ‼」
その中でアリスは気にせず笑顔を咲かせるのだった。
「それと...二人に名を授ける」
名とは、二つ名のことを言っているのだろう。
二つ名。それは冒険者になり、誰かから認められることで得られる名のこと。大体は、国の重役や己の師からもらうものである。
アリスも神威も、その枠を出ず、師ともいえるであろう存在から名をもらう。
「アリス、君は【
二人とも【種】がついている。故に、まだ未熟だからだろうと二人は悟る。
認められた気がしたけど、まだまだらしい、と。
種は芽が出て、成長し、花なり実なりをつけるものだ。
これからも大きく成長するという意味合いで、こういう二つ名にしたのだろう。と神威は言う。
「その名の意味は今後分かるだろう」
パワーレスはそれだけしか言わなかった。だが、後々思うと十分すぎたのかもしれない。
ー数日後
アリスと神威はとあるクエストを受けていた。
その内容はゴブリンデーモン討伐だ。
ただの力試し。むりょくだった自分たちが今、どこまでできるのかを試したかったのだ。
アリスは〈光城〉で強化し、〈雷竜〉を放ち、レイピアに吸収させる。
神威もいつでも技を使えるように刀を構えていた。
「いくよ〈雷光一閃〉」
「紅桜流刀術 炎龍」
アリスの突きは心臓を貫き、神威の刀は足を切断する。
その光景にアリスと神威は喜びを隠せなかった。自分たちの修行の世かを実感できた。そして、あの時、何もできなかったことを洗い流せれ多様だった。
アリスと神威は向かい合い笑い合う。
帰り道、二人は馬車に揺られていた。
「ねぇ、神威。神威が冒険する理由って何?」
「拙者は世界を見て回り、いろいろな強者共と戦って、勝つためでござる。そういうアリスは」
「私も世界を見て回って誰もしたことのないような冒険がしたい。そして、家族を見つけたい」
「それは...見つかるといいでござるな」
「うん...」
「...」
自分で言ってなんだが、気まずい空気が流れる。そこで、アリスはずっと言おうと思っていたことを言うことにした。
「あのね、神威。もしよかったら、これからも...」
「ん?」
「これからも私と一緒に旅をして!!」
アリスは、視線を少しだけ下にやる。神威の顔が直視できない。それに、顔が何だが熱い。
神威は顔を赤くしながら、恥ずかしながらに答える。
「喜んでお供するでござるよ」
アリスはぱぁっと顔を輝せるのであった。
ー数週間後
「レス爺様、そろそろお金もたまったし、旅に出ようと思うの
「そうか、もうか。ここはお前の家だいつでも帰ってこい」
「うん。じゃあ行ってきます」
「あぁ」
最初はあんなしぶっていたパワーレスも特に何も言わなかった。ギルドの人たちは早大に出迎えてくれた。
「少し待ってくれ」
家を出ようとしたら、パワーレスが声をかけた来た。
(何だろうか?別れに何か言うことがあったのかな?)
「シエルか
そう言って、パワーレスは住所をメモった紙を渡してきた。
「ありがとう」
アリスはそう言って、手を振りながら家を出ていった。
「じゃあ、いこっか。神威」
「うむ」
二人は街の外へと少しずつ歩いて行った。
これは、少女アリスが世界を救う物語であり、世界を終わらせる物語。
少年少女らの旅は始まったばかり。これからも旅は続いていく。
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