第5話



 夜営の準備が進んでいる。

 

 皆手慣れたものだった。

 ずっと馬車にいたので、夜営の準備ぐらいは手伝いたかったが、ものを運んだりするとかえって人に心配させるので、陸議りくぎは走り続けた馬に水とエサをやることにした。

 

 火が焚かれ、食事の準備が始まっている。


 馬の世話が終わると馬車に戻り、護衛達が手際よく料理を作ったり、寝る場所を整えたりしているのを眺めた。

 徐庶じょしょは料理を作っている者達の近くにいて、木箱に腰掛けた姿で何か野菜の皮を剥いているようだった。

 馬岱ばたいに連れて行ってもらった小屋でも、そういえば食材の準備を手伝っていたし、料理の話などもしていた。

 もしかしたら料理をするのが好きなのかなあ、と黙々と作業をしている徐庶の姿に、少し目を細めて笑ってしまった。


 食事は程なく出来て皆で済ませると、早めに就寝となった。


◇    ◇    ◇



 ……夢の中で、星が流れた気がしたのだ。


 陸議は目を覚ました。

 

 彼は馬車の中で眠っていたので、布を上げて外を見た。

 少し離れた所に火が焚かれて、三人、見張りが起きて過ごしているのが分かる。

 その周囲に残りの護衛が仮眠を取っている姿が見える。


 ふと、


 何となく目で彼らを追っていた陸議はあるところで目を瞬かせたのである。




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