孤独と赦しの先で出会う“くれないの色”
- ★★★ Excellent!!!
夢月みつき様の「くれないの色~姫菜と黒蝶ふたりの色~」は、日常の中に静かに佇む痛みや優しさを、とても繊細に描いています。
朱井姫菜の燃えるような紅い髪と瞳――その色が、ただの“血の色”ではなく、夕焼けのような美しさとして描かれる瞬間に、胸がぎゅっとなります。孤独と偏見に苦しみながらも、姉の亜矢音や空色りん、そして黒猫から姿を変える黒蝶レオとの出会いが、彼女に少しずつ勇気を灯していくのが本当に愛おしい。
姫菜の繊細な心の揺れや、レオの不思議な包容力――二人が互いに秘密を打ち明ける場面には、そっと寄り添いたくなります。やがて舞台は現実から魔法界へと広がり、王家のプリンスとしてのレオの素顔や、姫菜が自分自身を赦し始める姿が、とても丁寧に、あたたかく紡がれています。
姫菜の色を見つける旅を、そばで一緒に見守りたくなる物語です。日常の痛みも希望もやさしく包み込む、そんな優しい魔法に触れてみてくださいね。