Our Bond Novel Relay~私たちの絆が物語を紡ぐ~(こよはるサイド)

こよい はるか @PLEC所属

第3話

おおにししの先生の書かれた第2話

https://kakuyomu.jp/works/16818792439933052402/episodes/16818792440117866577


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「おかえり〜」


呑気に声を返してきたのは、おれの姉——東雲しののめ虹映こはである。おれの一個上の高二であり、現在青春真っ只中だ。彼氏もいる。


「ん」

「雑だなぁ」


ソファに座って——というか寝転んで、ポテチをこれでもかというほど口に詰め込みながらテレビを見ている。デ◯の典型、真似しない方が身のためだ。


「奈菜は?」

「まだ帰ってきてないよ〜」


そう喋る間も、三秒間隔でポテチを詰め込んでいる。テーブルには同じ袋が三つ。今日は母さんの気遣い(?)で飯抜きになりそうだ。


「そういえば、明日宵華ちゃんが家に来るって〜」

「はっ? 宵華が?」


おれと宵華が幼馴染なのだから、当然宵華と虹映姉ちゃんは面識がある。にやにやとおれのことを見てくるあたり、本当に性格が悪い姉を持ってしまったと思う。


「そー! 一緒にゲームしよって誘ったら、ぜひ! って。虹斗もやらない?」

「別におれはいいし」


ただでさえ、今日帰ってくる時に逃げ出してしまったのだ。少しは宵華も不審に思っているはず。そんな状態で呑気にゲームなどできるわけがない。


「だって、春渡くんも来るんだよ?」

「やる」


あいつの名前が出た瞬間、おれはそう言い捨てて自室へと向かう。「やっぱりね〜」と後ろから大声が聞こえてくる。先程のにやにや顔がありありと頭に浮かんだ。


春渡はおれにとって良い友達だが、それでいてライバルでもある。呑気におれの家に勝手に上がり(虹映姉ちゃんの誘いではあるのだが)挙句の果てに宵華とゲームなんて御免だ。

最初はただの女子会だろうと思っていたのに。


俺は自室に入ると頭を抱え、へなへなと椅子に座り込んだ。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


僕、桜野さくらの春渡はるとは、教室の窓側の真ん中あたりの自席から、まだホームルームが始まる前のウキウキとしたような、もう疲れていそうな、曖昧な雰囲気の教室を見回す。

すると、視線を動かしている途中に推しを発見! ううんっ、今日もかっこいい!


僕の推しは、黒板の斜め前で如何にも体育会系の男子と談笑している、東雲虹斗である。髪がさらさらで、天使の輪が出来ている。可愛い。

男子の中では顔も整っている方だ。くっきりとした二重に、薄い唇。無表情の奥にある感情を、幼馴染である僕は知っている。かっこいい。


そういえば、今日虹斗の家に遊びに行くことになったんだ! ゲームするんだけど。僕は推しである虹斗と好きな人である宵華と頻繁に遊べることが本当に嬉しい。幼馴染でもないとこんな機会はないだろうし。ああ、虹斗かっこいいなぁ。


そんなことを考えながら僕は教室の後ろの方で友達と話す、控えめに微笑わらっている宵華に目を移す。今日もまじで可愛いな。僕は幼馴染だから、宵華の前髪の向こうに見える美顔を知っている。

どうしたらあんなに美人な娘を生むことができるのか、彼女の両親に聞いてみたい。


学校ではああいう風に前髪を下ろしているけれど、もし整えたらどんなことになってしまうだろう。本当に宵華って可愛い。


まず虹斗は、惚気のろけすぎてツンデレがデレに傾きかけてぐんとツンに傾くと思う。虹斗は言葉と行動が逆になってしまう時があるから、宵華の美顔を目の前にすると言おうとしていない言葉が出てきそうだ。


それで僕は今以上に長く、授業中に宵華のことを見つめるだろう。彼女の席は地味に僕の席から遠い。二列右で二列前だ。だから見つめすぎても気づかれにくい。本気まじで席替えしたくないと思っているのは、僕だけだろうか。


そして、他のクラスメートは間違いなく真っ先に宵華を狙う。ああいう奴らは大体顔だけよければいいから。いや、僕は違うよ⁉ 僕は幼馴染だからねっ、宵華の過去とかよく知ってるし。


前髪を整えた宵華の行く末を考えると、頭が痛くなってきた。

僕は宵華から目を外し、机に突っ伏した。


あ、でも今日遊ぶんだ! 虹斗の家で! そこだけ気に入らないけど! 今度絶対うちに誘ってやる!

いやでも推しの家だからいっか……。

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