音
水無月/成瀬
音
少女は今日も静かに目を閉じる。
真っ暗な世界で、確かにあるのは音だけだった。
自分の息遣いだけが聞こえる中で、少女は一人待っていた。
……。
…………。
求めている音は、まだ聞こえない。
自分の意識が深い闇に飲まれそうになるのを、少女は必死に我慢していた。
不意に、音が聞こえた。
それは誰かが階段をのぼる音。
一歩一歩ゆっくりと、規則正しく足音か近づいてくる。
止まった。
ちょうど少女の部屋の前で。
ドアノブが回り、カチャっと、小さくドアが開く音がする。
それからしばらく無音が響き。
「………………」
優しい声が聞こえたかと思えば、またカチャとドアが閉まった。
そのまま足音は遠ざかり、階段をおりて聞こえなくなった。
少女は安堵して、深い眠りについた。
音 水無月/成瀬 @minazuki-naruse
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます