至福

まっちゃん

第1話 至福

 まず、唇に触れた瞬間の感覚。温度は体温そのまま、微細な振動が口の中に伝わる。これはまるで、春の朝露に触れたかのような、清冽な印象だ。


 香りは奥深い。香ばしさと繊細さが存在する。口に含むと、最初に感じるのは柔らかく繊細な甘み。砂糖のそれではなく、果実の芯にあるような自然な甘さ。続いて、かすかなミネラル感が舌先じんわりと広がる。軽やかさと奥行きの同居がここにある。


 口の中で液体が舌の上を滑ると、シルクのように滑らかで、同時にほんの少しの弾力を感じさせる。体内に染み渡り、心がゆっくりと安らぐ。どこか、母なる存在の温かさを思わせるような、ほんのわずかな優しさが隠れている。


 参考までに、飲み終えた後の余韻も注目してほしい。喉元に残るほのかな甘さ、そして胸に広がる安心感。すべてが軽やかでありながら、確かに心に刻まれる。


 総合すると、味覚・香り・温度・心の安らぎまでを含む複合芸術である。生命38億年の歴史そのものが宿っており、過去と未来の全てになりうる。あえて表現するのであれば————「透明な味」。


 私の人生において、この味に出会えたことに感謝する。これを口にするときに思わず微笑みを禁じ得ない————。


 「あらあら、ごきげんね。今日もいっぱいその笑顔を見せてね。私のわかいい赤ちゃん。」


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(2025.09.10 了)

三題噺「透明」「参考」「味」

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至福 まっちゃん @macchan271828

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