第2話『初戦闘』

見渡す限り広がる草原。

風に揺れる草花。


一見すればのどかな風景。

だがここは、人に牙を向く生物──モンスターが出現する立派なダンジョンだ。



「……懐かしいな」


ここのダンジョン名は『始まりの草原』。

ランクは1番下のF級。

初心者が最初に挑むチュートリアルダンジョンであり、出現するモンスターは全て弱い。


モンスターは、倒すと経験値を得ることができ、レベルアップによって身体能力が強化される。



「!」


前方の茂みがガサリと揺れた。

次の瞬間、青色をした水の塊のような生物が姿を現す。


『ピギー』


ぷるぷると身体を震わせ、こちらを伺うそのモンスターの名は“スライム”。

透明感のあるゼリー状の体の奥に、小さな光の核がちらちらと輝いている。


スッ、と腰の剣に手をかける。


『ピギー!』


甲高い声を上げ、“スライム”は弾むようにこちらへ跳ねてきた。


その動きは単純で遅い。

迫り来るスライムの跳躍を、余裕をもって横にかわす。


「──今」


回避と同時に、核めがけて横ぎに振り抜いた。


ぷるんと弾ける音。

核が砕け、スライムの体は光の粒となって消える。


カラン──。

足元に小さな紫色の石である魔石がドロップする。


同時に──


『レベルが上がりました』


システム音のような無機質な声が、頭の奥に直接響き渡る。


「……おお、すごいな」


自然と声が漏れる。


画面越しなら幾度も見てきた光景だが、実際に体験すると感覚が違う。

胸の奥から力が湧き上がり、体が軽くなるような感覚。

前世では味わえない経験を、俺は今している。



「──よし。次行くか」


胸の奥に高揚感が広がりながら、魔石を拾い上げポーチへと仕舞う。


興奮と期待を秘めながら、ボスモンスターの居場所へと歩みを進める。


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