『恋をするのに歳の差なんて関係ありますか?》⑨
ガタンゴトンガタンゴトン⋯⋯。
見覚えのある風景は遠く後ろに過ぎ去って、自然豊かな見慣れない景色が目の前に広がっています。
このF分の1の揺らぎの先に彼女がいる街がある。
緑豊かだった景色は次第に灰色と化し、コンクリートジャングルと呼ばれた高層ビル群が見え始めてきました。
東京へ来るのは初めてだ。僕なんかはすぐにでも飲み込まれて消えてしまいそうです。萌さんはこんなところで暮らしているのか、なんて、まるで異世界にでも来たかのような感覚を覚えていました。
彼女が暮らしている街は東京駅から乗り換えを繰り返すことになるので、僕たちの聖地とも呼べる『
赤羽橋につく頃には少し不安になって、僕は都会に恐怖し始めていました。なにせ、右も左もわからないのです。
「正太くん!」
そんな不安と恐怖を打ち払ってくれたのは萌さんのその一声でした。
「萌さん!」
僕はふわっと笑顔が咲いて、萌さんに駆け寄りました。萌さんが両手を広げてくれますが、いや、さすがに飛び込めないですけどね!? だけど、伸ばした両手をとって、ブンブンして喜んでくれました。
いいえ? ホントに喜んだのは当然僕ですよ?
しかし始発の電車に乗りましたが、鈍行だと着いたのはお昼です。僕たちはすぐにお昼ご飯を食べる運びになりました。
「萌さん、僕、この辺のお店は詳しくないのですが、オススメのお店とかありますか?」
「し、正太くん⋯⋯」
「はい」
「あの、あのね?」
「はい?」
「ちょちょっ、ちょっとそっちに公園あるから行かない?」
「はい!」
僕たちは紅葉がちらほら色づいた公園へと足を運びました。近くに東京タワーが見えるいかにも東京らしいのですが、人けも少なく居心地の良い公園でした。
散歩道にベンチがあって、萌さんに誘われるまま一緒に座りました。
「正太くん、笑わないでね?」
「はい、笑いません」
「じ、実は今日ね、私、お弁当作って来たんだよ、これ⋯⋯あわわっ⋯⋯グチャグチャになっちゃった⋯⋯や、やめ! やめよう! スマホでお店探すから、ちょっと待って!」
「萌さん?」
「ちょっと待って!」
「僕、萌さんのお弁当が食べたいです」
「ふあ!? いやいやいや、だめ! こんなの見せられないよ!」
「どうしても、ダメ、ですか?」
「むぅ⋯⋯わ、笑わない?」
「笑いません! 何としても食べたいです!」
「じゃ、じゃあ⋯⋯」
了
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