『恋をするのに歳の差なんて関係ありますか?』①
僕はいま、絶賛お悩み中なのです。
え? 僕ですか?
それでですね? 何がお悩み中なのかと申しますと、これからずっと買おうと決めていたマンガをお小遣いを貯めて買いに来たのですが、とんでもない障害?障壁?に遭っているわけですよ。
まわりくどい? なんかすみません。
要するにですよ? 僕はちょっとエッチなマンガを買おうとしているわけです。エッチと言ってもあれですよ? 少年マンガなんだから、買ったって何も問題なんてないんですからね!? え? いいわけじゃないです。僕だって男の子なんですから。少しエッチなことにだって興味くらいありますし、このマンガに出てくるヒロインのお姉さんが大好きなんですよ。
ちょっと熱弁しすぎ?
いやいや、本題はまだこれからですからね? 僕の前に立ちはだかる障壁とは⋯⋯。
「いらっしゃいませ♪」
僕の目の前にいる。そうだ。本屋のお姉さんその人だ。くそっ。どうして? どうしていつものバイトのお兄さんじゃないんだ? 今日に限って僕の大好きな姉小路さんだなんて!? 姉小路萌。これが彼女のフルネームだ。他の店員さんが名前で呼んでたのを聞いた。
でもね? 初めは何とも思ってなかったんだ。ただの綺麗なお姉さんくらいの感覚だった。それがだよ? ある日、お姉さんがレジの時にマンガを買ったんだ。そうしたらお姉さん、僕の手をやさしく握ってさ? お釣りを乗せたあとからも、自分の手をかぶせてくれて、外の気温で冷たくなってた僕の手を温めてくれたんだ。
ほんわかあったかだったお姉さんの手は、僕の心に火をつけるのに十分な熱量を持っていたんだよ。
チョロい? そんなこと、どーだっていい。その日以来、僕はお姉さんに恋をしたんだ。
なのでこんな破廉恥なマンガを読んでいるだなんて思われたくないんだ。僕は、お姉さんをそんなやましい目で見ているわけでは⋯⋯くっそデカい胸しやかって!! 何なんだ!!目障りだ!!もっと近くで見たい!!
ダメだ。
今日はやめよう、と、後ろを向いたその時。
「あ、正太くん! 正太くんもそのマンガ読んでるの? 私も好きなんだ『すもも100%』♡ キャラクターがとっても可愛いよね♪」
「⋯⋯」
僕は本をカウンターに置いた。
「どの娘が好き?」
「この娘」
僕が一番好きな、お姉さん似のキャラを指差した。
「へえ、何だか私に似てるね? えへへ♡」
うん、だから好きなんです!
「お買い上げ、ありがとうございました♪」
─つづく?─
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