第10話 ポーション作ってみたよ

私はゴードンさんと森で暮らしている、リリだよ。

最近は、オオカミさんが時々獲物を届けてくれるようになって、生活がますます賑やかになってきたんだ。ゴードンさんの呆れ顔にもなれたよ。


ある日の午後、足を引きずったおじいさんがゴードンさんの小屋を訪ねてきたんだ。転んでひどく捻挫したそうで、顔色も悪いみたい。


「この頃、薬がなくての、このくらいは我慢せねばな…」


ゴードンさんは眉をひそめて、私に。


「リリ、お前、どうにかならんか?」

「大丈夫!リリにお任せあれだよ」


私はおじいさんの足元を、じっくり見てみたんだけど。ひどく腫れてすごく痛そう。

『スキル、診断を獲得』


あれ?なんか新しいスキルが獲得出来たよ。


「うーん、これはちょっとひどいね。魔法だけじゃ時間かかるかな、ゴードンさん、お鍋借りるね。」


アイテムボックスから薬草と「聖水」の素になる水、水をお鍋に入れて、薬草は汁が出るまですり潰してから、オオカミさんを助けた時に、そのまま、薬草を使うより、汁が出るすりつぶした方がいいのは、実証済みなので、汁ごとお鍋に入れるよ。


「ゴードンさん、火を貸して!」

「ああ、好きに使え。」


ゴードンさんの炉を借りるよ。炉に鍋をかけてゆっくりとかき混ぜていくよ。あまり火力はかけない方がいいみたいだね。

「もっと、怪我が治るように、元気になるように〜!」

「体に染み渡れ~!」


私は、ポーションの材料に優しく魔力を送り込むよ。ただ混ぜ合わせるんじゃなくて、素材の持つ力を最大限に引き出すように、私の魔力を注ぎ込みながら、ゆっくりと願いを込めて。


数分後、鍋の中の液体が淡い緑色に輝き始めた。清涼感のある、甘い香りが漂ってくる。もうすこし、煮詰めるよ。やがて、透明感のある青色に変化したよ。完成だね。


「できた!これが、私特製ポーション!」


完成したポーションを冷やしてから、小さなビンに移して、おじいさんに差し出したんだけど。


「はい、おじいさん。これを飲んでみて!」

「いや、これはなんとういうか、こんな色のポーションなど見たことない。まるで伝説に出てくる、万能薬のようじゃ。」


おじいさんが、ポーションを飲んでみたよ。

「おおおお!これは、なんという……体が、まるで若返ったようじゃ!」


おじいさんは杖なしで立ち上がって、軽々と歩き始めたよ、なんならジャンプしてるよ。怪我が完治しただけじゃなく、長年悩んでいた腰痛や肩こりまで消えたみたい。


よかったね。


「これは、万能薬じゃ!まさに、奇跡の薬じゃ!ありがとう、リリちゃん」


おじいさんは感動して私の手を握りってぶんぶん振ってるよ。

ゴードンさんは、目を丸くしてポカンとしているんだけど、え?。


「おいおいリリ……お前が作ったのはただのポーションじゃねぇぞ。こりゃ、どう見ても、万能薬だ。しかもかなりの効用があるんじゃねぇか?」


「うん、怪我が治って、元気になるようにお願いしたんだよ。」


ゴードンさんは口をあんぐり開けたままだよ。

でも、街の薬師さんたちは、きっと、もっといい物を作ってるよね。だって、私は素人だからね。


「リリちゃん、これは薄めても大丈夫のかの?」

「ん?たぶん、ちょっと弱くなるかもだけど?」

「どうじゃろう、今作ったポーション、いや万能薬を半分に薄めて、いくつかわけてくれんか?」

「いいよ、じゃ、今分けるね、おじいさん半分持っていってね」

鍋には、まだポーションが入っているけど、小瓶の数が足りなかった。20本しかなかったんだ。お爺さんには、半分の10本あげたよ。


おじいさんはお礼に、小さな皮の小袋に入った貴重な薬草の種を私に渡してくれたよ。

「ありがとう、おじいさん。」

「礼を言うのはこっちじゃ、リリちゃんありがとう。それじゃ、またの」


おじいさんは、跳ねるように村に帰って行ったよ。

「あ、おじいさん、杖を忘れていっちゃった」

「いいさ、今度村に行った時に届けりゃいい」

「そうだね。ゴードンさんもポーションのむ?」


鍋に残っていた、ポーションはなんと、次の日水分が程よく抜けて、軟膏になっていたんだ。これは、貝に入れて置くよ、塗り薬だね。


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