第8話 ゲーセンの先輩
「おはざいまーす!ゆう遊ぼうぜ!」
「迎えに来たよー。」
コーヒーを飲み終わり少しゆっくりしていると智輝とヒロが店に来た。
どうやら俺を遊びに誘いに来たらしい。
「おはよう二人共。遊びに行くの?」
「おう!先輩がゲーセンにいるらしくてな!だからゆうを誘いに・・・って!?優奈さんに萌華さん帰って来てたんすか!?」
「あ、ほんとだ。あー、母さんなら今日休みなんで家に居ますよ。」
「久しぶりね二人共。って先輩に挨拶忘れていたわ!萌華!行くわよ!!」
「そうだった!行きましょう優奈さん!」
母二人はヒロの母で二人の学生時代の先輩に帰って来たことを報告しに急いで店から出て行った。
「ありゃ、朝から酒盛りが始まるな。」
「モカさん、日葵がたぶんここに避難しに来ると思うんでよろしくお願いします。」
「わかったわ。ついでに双子ちゃんも来そうね♪」
俺と智輝とヒロは店を出て大学近くのゲーセンに行くために駅に向かった。
いっくんが「行きたい!!」って言ってきたけど、萌絵が上手いこと押さえてくれて助かった。帰りにお土産を買って帰ろう。
ゲーセンに着いて俺達は先輩を探した。
すると、格闘ゲーム機の近くにある順番待ちか休憩用かよくわからないベンチにコーラを飲みながら座っている先輩を見つけた。
「先輩!おはようございます!」
「おっす!先輩!」
「どもです。先輩。」
俺達が声をかけると先輩が振り向いた。
「おっ、来たね♪おはよう三人組」
先輩は飲んでいるコーラの缶を軽く振りながら挨拶を返してくれた。
先輩の名前は
あと、いつもダボダボのサイズが合っていないパーカーを着ているのも不思議な要素の1つだ。
「今日はクレーンゲームが調子良さそうだから...取り尽くしちゃうか!」
「よっしゃ!勝負っすね♪」
「負けない。」
「え〜。俺苦手なんだけどなぁ。」
俺はクレーンゲームが少し苦手だ。真面目に考えてもアームの強さによって景品が予期せぬ動きをするからだ。
「じゃあ、私が優成の手助けをしてあげよう♪」
「あ、助かります」
俺達4人はクレーンゲームが大量にあるフロアに移動した。
智輝はお菓子が取れるコーナーへ。
ヒロはアニメキャラのフィギュアが取れるコーナーへと行ってしまった。
俺はというと。
「バケモノコレクション」通称バケモンと言う初期から第6世代まで続いているバケモノを捕まえて図鑑を埋めたりバトルしたりできる人気ゲームのぬいぐるみが取れる台の前に居た。
これが中々に難しい。ぬいぐるみの頭が重いのか持ち上がらす、頭を持ち上げようとしてもアームがすり抜けてしまう。
「おや、優成はバケモンのぬいぐるみが欲しいのかい?」
「そうなんですよ。お向かいに俺を兄の様に慕ってくれる子が居まして、その子にって。」
「なるほど。じゃあ私が取り方を教えるよ。」
「助かります!」
・・・取り方を教えてくれるのはいいのだが、何故先輩は俺の後ろに立って、後ろから抱きつく形になっているんだ?
「...い、いいかい///?...この///人形はね♡...タグを狙うと...ンッ♡...取りやすいんだよ♡」スゥー♡フーッ♡フーッ♡
アドバイスはありがたいのだが、ちょっとやりにくいな。それに先輩はもうぬいぐるみを取ったのか柔らかい感触が背中に感じるし。
とりあえずアドバイス通りにタグを狙うと、爪にタグが引っ掛かり先程まで動かなかったぬいぐるみが持ち上がりそのまま取り出し口に落ちた。
すげぇ。
「雫先輩!取れましたよ!先輩のおかげです!ありがとうございます♪」ガシッ
俺は先輩の手を両手で包み込み顔を近付けて目を合わせながらお礼を言った。
「はうっ♡...と、取れて良かっ..た///ね♡...あっ♡...イグッ♡♡」
先輩は顔を赤くしながら股をくねくねと動かしていた。トイレにでも行きたいのかな?
俺はその後も先輩と二人でお菓子等を取りまくった。
そして、昼も過ぎてさすがに腹がへったので近くのファミレスに寄ることにした。
「さて、最下位だった優成にはドリンクバーで作った、私特製のミックスジュースを飲んでもらおうか♪」
「くそー!」
「うはー!すげー色♪」
「これは・・・味が予測不可能」
結局俺はぬいぐるみとお菓子が数個しか取れなかった。
先輩は一緒に居たはずなのに何故か大量のお菓子を取っていた。
そして俺が最下位になったので罰ゲームを受けることになっていた。
先輩が作ったこのジュース。絵の具バケツを洗っている時にでる水の色をしている。絶対に不味いやつだ。
俺は覚悟して飲んだ。
最初はジュースの甘さが来て飲めそうと思ったが、途中烏龍茶の様な渋みが出て最後に七味唐辛子の辛さが来る三段階仕様になっていた。くそ不味い。
「・・・ぐへぇー。ま、不味い。」
「おっ!飲んだね♪」
「いえーい♪」
「漢だね!」
罰ゲームを終えて普通に食事に戻った。食事をしながら先輩に話をした。
「そういえば、同じ大学なのに雫先輩に会ったことないですけど、普段どこにいるんですか?」
「あ、俺も気になっていたわ!」
「僕も。」
「あ、..え〜と...そ、そう!私はあまり食堂に行ったりと出歩かないんだよ!だ、だから普段はずっと同じ場所に座って時間が経つのを待ってるんだ!」
俺達とは課題が違うからそうなんだと納得してしまった。
「わ、私も聞きたいことがある。いいかな?」
「「「なんです?」」」
先輩が俺達に質問とか珍しかったので真面目に聞く
「そ、そのだな、...好きな..女性の..タイプは...なんだ///?」
先輩からの質問は意外なものだった。まぁ男4人集まればそんな話題もでるだろう。
「俺は俺に優しい女の子だな!」
「僕も!」
智輝とヒロが真っ先に答えた。いつもの条件だった。
「あ、因みにゆうは巨乳が好きっすよ」
智輝が俺の好みを勝手に言いやがった。まぁ間違ってはいないけど。
「それは本当かい!?」
先輩がやけに食いついてきた。
「えっと、確かに胸の大きな女性は好きですけど、前提としては二人と同じですよ。」
やはりお互いに好き合ってないとなんか嫌だ。よくいる男をお金で集めてアクセサリー感覚で侍らせている人はちょっと嫌だ。
「そうか・・・そうか♪・・・すまない。私は少し用事を思い出したから先に帰らせて貰うよ。...もしかしたら大学で近いうちに会えるかもね♪・・・それじゃ♪」
先輩は伝票を持って先に帰ってしまった。
俺達は訳がわからなかったがしばらくして帰宅することにした。
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