第7話 母と母

タコ星人「今日こそワイのバキュームで中身を吸い尽くしてやるで!」


「かかってこい!」


格闘すること3分...。


「ぐっ!触手で身動きが!?」


タコ星人「ぐへへ♪これでオマエはワイの自由にできるで♪」


「くっ!?」


タコ星人「さぁいただきま〜す♡ムッチュ〜♡」


「やめろー!!!」


ガバッァ ガン! 「イッタァッッ!!」


俺は悪夢から覚めて勢い良く体を起こした。

タコ星人ってなんだよと思いながらも中々の悪夢で軽く汗をかいていた。

しかも勢い良く起き上がったせいで何かに頭をぶつけたのかおでこが痛い。


「ウゴゴゴゴ...グハァ」


外は明るく時計を見ると朝の7時だった。

自分の部屋じゃないと思ったが昨日は鮎川家に泊まっていたことを思い出した。

左右を見ると並べてあった布団には誰も眠っていなく、皆起きているのであろう。


「イタイ....DVダコレ...デモ...イイッ♡」


そろそろ相手してあげるか。


「...毎度毎度、帰って来るなり変なことしようとするなよな...母さん!」


「なによ〜!愛する息子とのスキンシップなのよ?変なことじゃないわよ!」


「そのせいで毎回変な夢を見るんだけどな...」


俺は母さんと下に降りて喫茶店のカウンターテーブルに座った。

皆もやはりここにいたようだ。


「ゆう君♡久しぶりね〜♡」


「おはようございます萌華もえかさん。それとお久しぶりです。」


そこに居たのは鮎川家姉弟の母の鮎川萌華さんだった。

ちなみに萌華さんと俺の母である片桐優奈かたぎりゆうなは二人で会社を興し様々分野に手を出しているのだが、運が良いのか悉く成功をさせてしまう経営者達なのだ。


「母さんも萌華さんも帰って来たってことは、代理の方が決まったんですね。」


「うん♡そうなの....♡。やっとお休みが貰えたのよ♡♡」ピトッ


「これでしばらくは家を空けなくて済むわ♡ゆうとも離ればなれにならずに済むわ♡♡」ピトッ


母二人が俺の両脇にピッタリとくっついてくる。


「にいちゃ!ボクも!にいちゃにくっつくー」


そしていっくんは俺の膝の上に座った。


「おはよういっくん。」ナデナデ


「エヘー///」


「・・・ちょっと優奈さん、うちの息子達・・・最高すぎない!?」


「・・・一流のカメラマンを用意するのを怠ったことを悔いるレベルね」


寝起きなのに騒がしくて疲れるな。


「おはようゆうちゃん♪目覚めのコーヒーを出すわね♪・・・二人はそろそろ離れてくださいね。」


「ゆうおはよう・・・ってママも優奈さんもくっつき過ぎ!離れて!離れて!」


「おはようモカ姉に萌絵も。」


萌絵の頑張りとモカ姉の見えないは何かのおかげ?で二人が離れてくれたので皆でコーヒーを飲むことにした。いっくんはホットミルクだ。


「それにしても今回は長かったけど、どんな仕事を作ったの?」


母二人に仕事の内容を聞いてみた。


「それがね、とある社長さんにお金を貸してあげていたんだけどね、返済できないからって何の歴史も資源もない山を代わりに頂いたのよ。」


「それで、本当はそれじゃ足らないんだけど、お世話にもなったことのある社長さんだったからそれでOKしてあげたんだけどね・・・優奈さんがね。」


「母さん何したの?」


「いやね、せっかく山を貰ったから洞窟とかを作って、ゆう達と遊ぼうと思ってテキトーに掘ったら出てきちゃったのよ...。」


「出てきたって何が?」


「・・・金」


「へ?」


「だから、金が出てきちゃったのよ!歴史も何もないけど、金山だったのよその山!」


マジかよ。この人のは運とかで簡単に片付けていい話じゃないぞ!一種の能力だわ。


「それで、国に報告したりその社長さんに新しく会社を立ち上げてもらって管理者とかを決めたりして時間が掛かったのよ。」


「あ、これね。」


萌絵がスマホでネット記事を発見してそのタイトルには「新たに金山が発見!?採掘量は過去最高か!?」と書かれていた。


「あ、そこよ。」


驚きすぎて言葉が出なかった。


「ま、そのおかげで社長さんの私達からの借金は完済できそうだし、私達の会社の傘下だけどまた社長として会社を興せたしでオールハッピーね♪」


また我が家の資産が潤ってしまった。おそらく何もしなくても一生を余裕で過ごせてしまうレベルで資産が増えてしまったであろうが、その額を聞いたらダメ人間になってしまう!


「そ、そうだったんだ...ま、まぁしばらくはゆっくりしなよ母さんに萌華さんも」


「うん♡ゆうと温泉行ったりするのもいいわね♡」


「ゆう君と混浴ね♡...泉に妹か弟がデキちゃうかもね♡♡♡」


「ガルルルルッ!」


「・・・・・・・バキン」(ステンレス製のグラスが粉砕された音)


母さん達の冗談?と鮎川姉妹の何とも言えない空気で喫茶店内は殺伐とした。

いっくんは俺の膝の上で美味しそうにホットミルクを飲んでいた。

この子はきっと大物になるな。

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