第一話 不思議な張り紙

 ふあ~、眠い。思わずあくびをしながら校舎内を歩き回っていると、大きな掲示板に小さな張り紙が貼ってあるのを見つけた。

 『睡眠の質向上委員会 委員募集 希望者は保健室まで』

 なんだこれ。そんなのあったっけ。頭上に複数の疑問符を浮かべながら立ち尽くしていると、階段を勢いよく駆け上がってくる音がした。

「お、雫(しずく)じゃん。こんなとこで何してんの?」

振り向くと、そこにいたのは紬(つむぎ)だった。幼馴染にして、私によく絡んでくるうっとうしいやつである。

「いや、なんかへんてこなもん見つけたから、気になって見てただけ。」

「へー、そうなんだ。ってか、私昨日変な夢見たんだけど、面白いから聞いてよ。」

「やだ。興味ないし。」

「まあまあ、そう言わずに。」

「いやだから、興味ないって言ってんでしょ。」

「そんな冷たいこと言わないでさ~、ねえ、聞いてよ。お願い、一生のお願い。」

「そんなことに使っていいの?」

「いいもん。私、ついてるから。」

「あーそーですか。しゃあない、聞くよ。はいどうぞ。」

「よし。やっと聞く気になってくれたか。ふっふー。驚いて腰抜かすなよ。」

「抜かすか間抜け。言わないならもう教室に帰る。」

「わーかった分かった。言うから。では、気を取り直して…」

こほんと咳払いをすると、紬は語り始めた。

「実はね、私…」

「うん…」

「夢の中でも寝てたの。」

その言葉を聞いて、私は驚愕する…わけもなかった。

「じゃあね、紬。」

「ちょっと待ってよ~。ねえ、しずく~。」

人気のない廊下に、情けない声がこだました。

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