ゆめみごこち…

プロローグ

　睡眠。それは、人間にとって欠かせないものの一つである。その質の良さを担保することが日々の活力、ひいては、生活習慣病の予防につながると言えよう。

　しかし、現代社会には『スマホ』という天敵が存在している。皆さんもよくご存じの、人類の叡智の結晶とも言える革命的な発明である。それ一つで、買い物、サブスクリプション、通話、メッセージ送信、SNSの利用、動画視聴と、とにかく何でもござれの優等生なのだが、一つの欠点があった。

　それはずばり……手軽さゆえの中毒性である。寝る間を惜しんで動画サイトを閲覧したり、刻一刻と変化するトレンドを追いかけ続けたりする人も少なくない。ただでさえ睡眠時間が削られるだけではなく、ブルーライトが睡眠の質さえ低下させてしまうというではないか。

　とある公立高校でも、全校生徒の睡眠時間が大幅に短縮されているということが判明し、教職員たちの悩みの種となっていた。そんな状況を憂いて、全校生徒の健康を守り、ひいては社会問題の解決に一役買うべく、一人の教師と五人の生徒が立ち上がった…はずだった。