第2話 秘密

朝になっても僕は布団の中に潜っていた。既にタイマーは鳴っていたがうるさくて壊してしまっていた。

「正直、今日会ったら気まずすぎる……」

昨日の夜のことが今でも頭によぎり恥ずかしさが込み上がってくる。

「あぁー、学校いきたくねぇー」

だが、僕は何回も遅刻をしてるためこれ以上遅刻や欠席をすると単位が危うくなるのだ。

「行くかぁ……」

僕は気が沈んだまま学校に登校した。

「おいおい、お前大丈夫か?」

「あぁ、大丈夫……」

「いやいや、そんなにやつれて大丈夫なわけあるか」

同級生の一人が話しかけてきた。今は一人にしてほしいものだ。

「具合いが悪くなったら保健室に行けよ」

「分かったよ……」

そうしてホームルームが始まるまでうつ伏せていたら、彼女がやって来た。

「アサか……」

彼女は僕と目が合ったがなにごともなく席に座っていた。

「あれ?」

なんか呆気ないものだった。昨日のことについて聞かれるのかと思ったがそうではなかった。

「まぁいいや」

なんにも起きないだろうと思いながら過ごしていたが昼休みに呼ばれてしまった。そして屋上にって訳ではないが人がいない場所まで連れてかれた。

「……」

「それで〜……なんの用かな?」

「……」

「僕、まだ弁当食べてる最中だったから早めに戻りたいんだけど……」

「昨日のことなんだけど……」

やはりバレていたか、まぁあんな堂々と名前も呼んでたし勘付かれていたのかな。

「あれってヨルくんだよね?」

「そうだよ……」

今更、隠し通すのも無理があるだろう。ここは素直に言ったほうがいいのかもしれい。

「助けてくれてありがとう」

「へ?」

僕は驚いた。まさか人からお礼を言われる日がくるなんて思ってなかった。

「別に、そこまでのことは……」

「いや、してるよ」

「なら、いいけど」

ゴーストとして活動してから人にお礼を言われたのは初めてだった。今までは「怖い」、「不気味」など不評だった。僕は静かにガッツポーズをとっては喜んだ。ただ、一つ気になったことがあった。

「なんで僕だって分かったの?」

「誰にも言わないって約束してくれるなら……」

「もちろんだよ」

「私……」

彼女は言うことに躊躇っていた。それほど言いたくないことなのか、それとも言ってはいけないことなのか、僕には分からなかった。

「私、実は能力者なの……」

「えっ……」

今日、1番の特ダネとも言えるほどの内容だった。

「それは……凄いね……」

「信用してないでしょ」

いきなり、私は能力者なんだって言って信用するほうが難しいんだよ。

「証拠は?」

「ヨルくんの秘密を言えるよ?」

「まじかよ」

人にも話したことない秘密を知ってるとは思えなかった。でも、嘘だとも思えなかった。

「家の机の下の引き出しを取り出したら奥に隠してるお金があるよね?」

「なっ……」

本当に合ってる。住所すら教えたことないのにどうやって知ったのだろうか。

「他には……」

「十分です。それで能力はなんなの?」

「私の能力は真実を知ることができる目」

「真実?」

「うん。例えで言うと何も知らないことが見るだけで分かるような感じ」

「それはテストでもカンニングし放題じゃないか」

「そうなるけどやらないよ」

まさか、真実を知れる能力があるとは流石にビックリだ。だから、僕のことを見た時正体がバレたのか。

「どうりでバレるわけだ」

「ごめんね」

「別にいいよ。それより昼休みが終わるからまた今度」

「うん、またね」

そうして僕たちは教室に戻り授業を受けた。帰り際に「アサ」と一緒に帰ろうと誘われた。

「おまたせ」

「じゃあ、行こう」

「今日はなんで一緒に帰ろうと思ったの?」

「興味があるからね」

「そうか」

少しだけ期待はしていたが期待を大きく持つのは違った時に反動がデカいものだ。

「じゃあ、僕はここで」

「うん、また明日ね」

「アサ」とは僕の団地の前で別れて帰ってもらった。

「封筒がある……」

郵便ポストを見ると中に1つの封筒が入っていた。家に戻り開けてみると小さい小型のガジェットが1個入っていた。

「今日は会議の日か」

「グリムリーパー」は1週間に1回だけ会議を開くのだ。近況報告を主にやっており、あとはほとんど雑談で終わってる。

「ちょうどいい時間だし入るか」

ガジェットを起動させると、ホログラムで周りが包まれていった。そして、円卓での会議に出席した。

「やぁ、ゴースト。ちょうどよかった」

「どうも」

俺たち「グリムリーパー」の本部は合計5人でやっており、俺の他には「ベルセルク」、「ウェポンズ」、「ガードマン」といる。そして隊長の「リーパー」。

「ゴーストくん、おはよう」

「やぁ、ベルセルク」

「ベルセルク」は戦いに優れた能力をもっている。頭のネジがほぼ年中外れておりなにをするのか分からない。能力は自身を凶暴化させ主体能力を飛躍的に上げることができる。

「ゴースト、あとで新しい武器を見せてやるよ」

「ウェポンズ」は武器改造、武器製作など生産系の能力をもっている。武器に対しての話では異様に詳しく話す武器オタクである。能力はその名の通り、武器を生み出すことができるが代償としてエネルギーを消費するため、あまりにも強い武器やデカい武器は作れない。

「おはよう、ゴースト」

「ガードマン」は守りに特化した能力をもつ。図体がデカくムードメーカーであり、能力は自身を硬くすることができるものだ。地味ではあるが組織の壁役として活躍してくれる。

「揃ったか……」

「リーパー」は死をもたらす能力をもってる。冷静沈着で組織の隊長である。能力は1つの生命と引き換えに1つの生命を死に至らしめることができる等価交換の能力がある。

「会議をはじめるぞ。まず、今週の犯罪件数は先週よりも増えていることが分かった。このまま増え続けると我々では対処するのは難しいと言えるだろう」

「なら、今優先すべきものから潰していくか」

「優先すべき任務は麻薬工場の破壊、武器の密輸犯の排除の2つだ」

「それでは、ゴーストとベルセルクは麻薬工場に行け、俺とガードマン、ウェポンズは俺と一緒に来い」

「了解」

「分かった」

「今回の会議は終わりだ仕事に取りかかれ!」

「はぁ……終わったー」

会議は終えたが次の任務を「ベルセルク」と行くのが気がかりではあった。なんせ、制御が出来ない獣と一緒に行けと言ってるようなものだ。

「やるしかないか」

俺は携帯を片手に取り「ベルセルク」に電話をして、集合場所と時間を伝えた。

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