G.H.O.S.T

ラーメン店長

第1話 出会い

20XX年、2つの人類がいた。能力を持つものと持たないもの……。時に、能力を持ったものが悪用し犯罪を起こすケースが多発していた。警察の中にも能力者はいるが、時に対象できないほどの犯罪者がいる。そんな犯罪者を排除するために政府が作った組織があった。その名は「グリムリーパー」。



「眠い……」

僕の名は「ヨル」。どこにでもいる普通とまではいかないが高校生だ。

「さっさと朝飯を済ませて弁当を作って行かないと怒られるわ」

僕の両親は何年も前に能力者の犯罪者によって他界してしまった。その能力者は捕まり獄中で死んだと聞いた。今では、団地の小さい部屋を借りて過ごしてる。

「さて、今日のニュースはと……」

僕は朝飯を食べながら見ていた。どれも、能力者の犯罪で持ちきりだった。

「やっべ、飯食って弁当作ってたら時間無いやん」

少し、ニュースに夢中になってしまったようだ。でも、僕には遅刻しても大丈夫な秘訣がある。

「しょうがない、今日も使うか」

そう言って、僕は空間を歪ませて壁をすり抜け、最短距離で高校に行くことにした。そう、僕は能力者だった。両親が死んだ日から僕は生きるのが嫌になって消えたいと思っていた。その時に発現したのだ。最初の頃は自分でも驚いていた。

でも、段々とそれに慣れていきある意味自分の願いは叶った。僕の能力は「空間を歪ませる」ものだった。少し地味でもあるが応用すればこのように壁をすり抜けることもできる。

「急げ急げ……」

どうにか着いたもののやはり門は閉まっていた。

「しょうがない、もう一回いくか」

また、空間を歪ませ教室まで直行した。教室に入る前に僕の周りを歪ませて相手に見えないようにした。

「まだ、先生は来てないからラッキーだな」

今回もどうにかなったようだ。

「ヨル、いつの間にいたんだよ」

「ずっといたさ」

「ほんとかよ、怪しいな」

「そうか?」

同級生にもバレてないからよかった。僕の通う高校は能力者との共学だ。たまに、悪用して指導受けてる馬鹿がいるがあまり気にしない。

「知ってるか、テニス部のキャプテンの話?」

「あのイケメンがどうした?」

「なんでも女子のスカートを風を使ってめくったらしいぞ」

「馬鹿じゃん、それで最近見ないのか」

「うん、自主退学だってよ」

このように、能力の悪用をしたものは一生の汚点にもなり居づらくなる。だから、大半の奴は退学をする。

「そういえば、ヨル。お前って彼女とかいないの?」

「いるわけないだろ」

「おいおい、高校三年生なんだから早めに作っとけよ」

「好きな人がいないのにどうしろと?」

「ならさ、あの人はどう?」

そう言って、同級生はこのクラスの女王的存在でもある「ココロ」を指した。「ココロ」は相手の考えていることが分かるという、恐ろしい能力を持ってる。

「いや、ごめんだけど普通になんとも思えないんだけど」

「まじかよ、あの人の魅力が分かんねぇのかよ」

「どうせ、体だろ?」

「ぐっ……」

「あのさ、体目当てで付き合うなんてそんな馬鹿にはなりたくない」

「じっ……じゃあ、ミユキさんは?」

クラスのアイドル的存在の「ミユキ」。彼女は本物のアイドルでもあり能力者である。歌の能力がありその歌唱力はずば抜けてる。

「いや、身長が小さくて可愛いから付き合うじゃないんよ」

「なら、気になる人ぐらいいるだろ」

僕は少し躊躇ったが言うことにした。

「一人だけ……」

「誰だよ?」

「アサさん……」

「本気か?」

「アサ」。彼女は能力者ではないが優しいし落ち着いてる。なにより、能力者だからと言って差別するクズどもとは違った。

「俺はオススメしないけどな……」

「文句があるならブチのめすぞ」

「すんません」

そんなくだらない話をしていたらある話を聞いた。

「グリムリーパーって知ってるか?」

「あの都市伝説?」

「最近の犯罪者の死体も奴らがやったんじゃないかって……」

グリムリーパー……どこからともなく現れた謎の組織。噂では宇宙人や死神ではないかと言われてる。そうして授業を受けていたらいつの間にか放課後になっていた。

「ヨル、またな」

「あぁ、また」

そうして、家に着いて一眠りしようとした。

「メッセージが残ってる」

再生してみると今日の仕事についてだった。

「ゴースト、依頼が入った。準備しろ」

「……」

俺は無言でタンスに向かい着替え始めた。黒い上着のパーカに身を包めフードを被りマスクをした。そして忘れてはいけない刀を持って。俺は夜の街に消えて行った。

「おはよう、ゴースト」

「政府は休みすらくれないんだな」

「ゴースト、君の休みは朝だけさ」

「はいはい、それで今回の標的は?」

「うむ、今回は連続放火魔の能力者だ」

「最近話題の?」

「そうだ、ついに奴の尻尾を掴んだ。今すぐ排除してくれ」

「了解」

今回の標的の連続放火魔は224件の放火を起こしたクソ野郎だ。早く排除したほうがよさそうだ。

「放火魔は奴か……」

一件の家の周りをうろちょろしてるものがいたので少し身を潜めていると放火を始めた。

「標的を見つけた、排除する」

そうして、奴の後ろに忍び寄り挨拶を交わした。

「やぁ、放火魔くん」

「だっ……誰だお前は?!」

「君は225件の放火を起こしてしまった。よって排除する」

「お前なんかに俺は止められないぞ!」

奴は手のひらから炎を出してきた。

「残念だけど僕には意味ないよ」

そう言って、俺は後ろから刀で心臓に向けて刺した。

「グフ……。貴様……刀なんか持ってなかったはず……」

「あぁ、これ?ただ見えないようにしてただけさ」

俺は奴に会う前に空間を歪ませて刀を見えないようにしていた。

「お前は……ゴーストか……」

「だからなんだい?」

「この悪霊が……!」

言い終わる前に俺は奴の首を切り落とした。

「任務完了だ」

「よくやった、中の人も救出したら任務は終わりだ」

ゆらゆらと燃え盛っている中に入り住人を救った。俺は任務を終えて帰っていた。だが、悲鳴が聞こえたのでついでに助けることにした。

「離してください!」

「うるせぇ!」

「暴力はいけませんねぇ」

「なっ……!だれ……」

俺は即座にクズ野郎の首を切り落とした。

「さぁ、お嬢さん立てますか?」

俺は手を差し伸べた。でも、なにか様子が変だった。

「ヨルくん……?」

「へ?」

「ヨルくんだよね……?」

「誰のことかな?」

「私だよ、アサだよ」

どうやら、俺はこんな所で同級生に出会ってしまったようだ。しかも気になってる人に。俺はその場から消えて逃げるように帰った。

「待って!」

家に着いた時には大きなため息を着いていた。

「はぁ……明日どうしようかな……」

完全にバレていた。というか姿を消しても俺の方を向いていた。

「よりにもよってアサさんにか……」

俺は恥ずかしくなって穴熊のように寝た。

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