───

「私が男だったら、絶対千鶴のこと狙ってたのに」


「……どした、急に」


急にそんなことを言い出すからびっくりする。それと同時にまた胃がギュッとする感覚がした。……気持ち悪い。


「だって、こんなに可愛いから絶対、他の人に渡したくない」


「あはは、ありがとう」


体調が悪くなったのを悟られないように、笑う。


「休み時間なる度に、廊下出てきてないか確認して、出てきたら目で追ってるよ」


「うん、知ってる」


私だって、毎回梅乃が出てきてないか気になってるから。 梅乃も一緒だったことに少し安心する。おかしな事じゃないんだって。


「仲良くなるまで苦労したんだからね?」


「そうなの?」


私って自分でも思うぐらいにはちょろいから、優しくしてくれたらすぐ絆されるとは思うけど……。


「うん、だからずっと嫉妬してた、叶に。叶ばっかりずるいなぁって」


「……そうなんだ」


嬉しさが込み上げる。梅乃も嫉妬とかするんだ。梅乃の周りにはたくさん人がいるから、私の代わりなんてたくさん居るはずなのに。

そんなことを思う私は、どうかしてるのだろうか。

そもそも彼氏持ちからこんなこと言われて、私はどう反応するのが正しいのだろう。


ずっと胃の奥の違和感は拭えなかった。

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