第4話 転生者

王の顔を見てみたがその顔立ちは勇ましく国を治める者としての風格があった。

「これで三人目の転生者か……」

三人?俺はその言葉は聞き間違いだと思っていた。

「待ってください、俺以外にもいるんですか?」

「もちろん、いるとも」

聞き間違いではなかった。だが、嬉しいとは感じなかった。デバイスの機能を使って仲間がいるのか探知しつが反応はなく別人だと分かっていたからだ。

「二人を連れてこよう」

そうして、着たのは二人の学生だった。

「右は勇者で左は聖女だ」

二人とも俺の苦手なタイプだった。見たら分かるように戦争も経験せず銃を握ることすらできないからだ。いや、これはただの言い訳にすぎないかもしれない学問を受けられた彼らへの嫉妬かもしれない。

「よろしくな」

手を出されたが俺は握手をしなかった。

「王様、聞きたいんだが、なんでこんなガキどもが転生されなければいけないんだ?」

「なっ……!ガキって!」

勇者は俺を殴ろうとしたが経験が違った。俺はすぐさまにそいつの腕の骨を外した。

「腕がぁぁ!」

「喚くな、戻してやる」

すぐに戻してやった。

「さぁ、早く答えてくれ」

「実は、魔王という恐ろしい存在が世界を脅かそうとしてるので私たちは呼ばれたのです」

聖女が勝手に話を始めたが爺の迫真の演劇を観るよりはマシだった。

「別に、関係ないだろ」

聞いた感想はこれだけだった。自分たちが対抗できないからと言って別の世界から特別な能力を授かった人間を連れてきて戦争に巻き込ませるというものだった。

「困ってるんだからほっとけないだろ」

「別に、俺はなんとも思わない。この国が滅んでも俺に損はない」

「ですが、多くの人が苦しんでるんですよ」

「勝手に決めつけんな。苦しんでない奴もいるかもしれないだろ」

俺は馬鹿二人と口論になりかけた。

「お前たちはなんでもかんでも人間が悪くないという思考を捨てるんだな。いいか、王様。俺はこの件には一切関わらないし、手出しもしない分かったか?」

「う〜ん……そういう訳にはいかないのだよ」

そう言って指を鳴らし兵が取り囲んだ。

「貴様、どういうつもりだ?」

「どうもこうもない、我が国の繁栄のために働いてくれないのなら排除するまでだ」

俺は信用しなくて正解だった思っている。

「いいからどけ、相棒と此処から出て行く」

俺はそこから立ち去ろうとした。

「相棒ってあの古臭いブリキのことか?」

勇者は俺に向かって舐めた口を言った。これに対しては我慢できず銃を取り出した。

「なっ……それって銃じゃ……」

「おい、俺のことは別にどう言っても構わないが相棒のことを悪く言うならお前の人生を今日で最後にするぞ?」

俺は堪忍袋の尾が切れていた。

「いいか?俺は今ではアウトローだ。クソみたいな法になんかに縛られず生きてるんだよ。こっちは金さえ払ってもらえればどんな任務でもこなす。でも、今の発言で俺はやらないと決めたからな」

「……では仕方がない、外に案内してやりなさい」

「王様!?」

「あぁ、そうさせてもらいますよ」

俺は、兵士二人に同行してもらい城の外に出た。

「パイロット、どうでしたか?」

「ここは駄目だ」

「なら、別の王国でも行きましょう」

俺が相棒に乗ろうとしたときロザミーが話かけてきた。

「先ほど、勇者が無礼を働いてすみません」

頭を深々と下げていたが俺は協力するつもりはなかった。

「今さら、謝っても無理だ」

俺はキッパリと伝えた。そして、ロザミーに近づいた。

「いいか、姫さん。時には広い視野を持って物事を進めな」

俺はそう言ってこの国を去った。だが、めんどくさいことはまだまだ続いた。

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