Ep.05【04】「細い糸を辿る」





「・・・・でだ、これが現場のドロイドが「見ていた」映像ってワケだ。

フレームにして1~2コマってとこだが、バッチリ映ってたぜ」

 

事務所に帰り、リオ・セスティア・ステラを囲んでハヤテが説明する。

「このスクショの・・・・光ってるヤツがそうですか?師匠??」

セスティアが珍しい物を見る子供のような表情でディスプレイを覗き込む。

「ああ、この【 HoloPort NodeID: 73‑XY‑FPkkkg-TK9660047 】ってのが鍵だ。

コイツは特定のIDで、ある程度なら解析可能って代物でな、後ろの「TK」が

ここノヴァ・トーキョーを指す、その後ろがユーザー固有IPって事さ」

 

「へ・・・・・へぇ~~~・・・・・・・・・そー・・・・ナンデスネーー

へー・・・・ワー・・・・・・・・・スゴーイ・・・」

 

セスティアが残ったクレープをかじりながら、目を逸らす。

「ティア姉様、簡単に言えば「TK」がトーキョーから出てますよーって目印で

後ろの番号は、その誰々さんって名札だって思っていただければ良いですよ ♪」

ステラがにこやかな笑顔でセスティアに説明する。

セスティアはポンっ!と手を打ち

「なるほど!つまりコレが解れば、犯人を特定出来るんだ!!!

なーーーーんだ!簡単なお仕事じゃないですかーーーー!!」

「ティア・・・流石に現代を生きるハンターとしてどうなのよ・・・ソレ」

リオは呆れ顔だ。

「あ~・・・・・・・静かにしずかに。

でだ、とりあえず限りなく 合  法  な 手段でIPを解析してみたところだ

湾岸地区の倉庫街、そこの『タイタン・ロジテックス』ってのが該当IPってとこまで

解った」

「んじゃ、さっそく乗り込んで・・・・・!」

セスティアが身を乗り出して言う。

「やっぱ、わかってねーじゃねーか!いぬ子っ!!!

その『タイタン・ロジテックス』ってのも、連中に踏み台にされただけなんだよ。

ただ、ここはまだ被害届も火災なんかも出てねぇ。

つまり、ここのサーバーにはハッカー共の生情報が残ってる可能性が高いって訳だ」

ハヤテが解析結果を説明し、『タイタン・ロジテックス』の詳細を画面に投影した。

「しかし・・・神様。

ここの方々に先に知らせなくて良いのでしょうか?

もし、操業中に火災でも起こされたら・・・・・・・・・」

ステラが心配そうな表情で疑問を口にした。

「下手に対策でもされたら、それこそ危険だと思うぜ。

それに、これまで破壊された企業と違って、ここは何故か今を以てして無事だ。

何故、連中は早々に破壊して痕跡を消さないのか・・・?

オレの勘では、ここのサーバーを踏み台のハブとして利用している・・・と見てる」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぶ・・・・・・????」

セスティアがまたも頭の上に????を飛ばしていた。

ステラは苦笑し、リオはさらに呆れ顔。

「ティア・・・・・後でちょっと勉強会ね・・・・・・・・」とリオ

「・・・・・・・あぃ・・・・・・・・・・・」

セスティアがシュンとなり、その頭をステラが撫でるという姉妹逆転現象が起こる。

 

「でさ、多分だけど、ここもそうは長くはないよね?

連中だってNTPDが動いてる事くらいは承知だろうし」

リオが気を取り直し、ハヤテに言う。

「まぁな。

シブヤの犯行声明もNTPDに直接送ってる位だし、時間は無いな」

ハヤテがディスプレイに映るシブヤ駅の事故現場映像を見ながら言う。

「じゃあ、この会社に事情を話してから解析させてもらう・・・なんてのは・・・」

「無ぇな、そんな時間」

  

「よし!! じゃあ決まり!!!」

 

 

リオが立ち上がり、コーヒーをグイっと飲み干す。

 

 

「今夜、ちょっとお邪魔しようかしら!」

リオの口角がかすかに上がっていた。


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