夏休みの日記が嘘だといわれたノダ

おおさきあいう

第1話




終業式の日「学年の宿題は、3日以上一行日記を書くこと。なので夏休みの素敵な思い出を書いてきてくださいね。」熊野先生は言った。

ザワザワザワ、確かにザワつきたい宿題だ。高校生になって夏休みに日記を書く、なんて宿題はただ面倒なだけだから。しかも3日以上の一行日記。あちこちから「GPTに任せよ」とか、「最終日に書こ」とか「ほぼ嘘書くだろ」とか聞こえてくる。私は全てに共感する。だけど、みんなと似た内容は嫌なので真面目に書こうと決めた。


夏は暑い。当たり前である。地球が公転しているからだし、地球は温暖化しているからだ。だからといって冷房の効いた自分の部屋でゴロゴロしていると、一日無駄にしたという虚無感が私を襲ってきて私を苦しめる。解決策を見つけなければ。私は悩んだ。そして思いついた、夜に散歩しようと。

散歩は素晴らしい。

気分が晴れてスッキリ眠れる。さよなら虚無感でグッタリ眠る私。


夜は不思議な感じだ。ほとんどのお店がシャッターを閉め、明かりは電灯だけ。鈴虫が鳴いていて、自販機が音を出している。すれ違う人はあまりいない。


そんな夜の散歩をしていたある日、私はチュパカブラスのような見た目の自称ピウス星人と出会った。最初はドッキリとかだろ、フッと鼻で笑っていた。なぜなら「地球を侵略して乗っ取ってやるノダ。」「イヤだったら貢ぎ物を持ってくるノダ。」と典型的なことを言うから。けれど、最後に大王からメッセージを貰い本物だと気づいたのだ。メッセージは、ボタンを押したら空中に画面がでるまだ地球にない装置で届けられた。大王は、「明日のこの時間、和田山頂上で貢ぎ物を貰おうゾ。よろしくな、地球人ゾ。」と言った。私がメッセージを見たのを確認して、ピウス星人は、UFOに乗って帰って行った。


とりあえず、私は家に帰ってチャットGPTに相談してみた。チャットGPTは答えた、「それが本当なら、まずは深呼吸で落ち着くべきですね(笑)」と。チャットGPTは最新の技術だけど、宇宙人が存在することを知らないから質問者の私を疑っているらしい。AIのくせに苦笑いして私をバカにしている。なんてやつだと思い、相手を変え、ググってみた。そしたら警察など、国、自治体に相談しましょう。と書いてある。けど考えてみてほしい、誰がそんな話信じるのか。きっと業務妨害とかで逮捕、なんてこともあり得るだろう。とりあえず地球を救うため貢ぎ物について考えながら寝ようと思い、私は寝た。



昼に起きた。貢ぎ物について考えて寝たら、夢でコアラのマーチとコーラが出てきた。だから貢ぎ物はその二つにしようと思う。

昨日と同じ時間に和田山に着くため和田山の位置について調べた。家から和田山入り口まで自転車で15分、そこから頂上まで45分。微妙に遠い。けど、連絡なく約束を破るのはいついかなる場合でもよくない、そう思ってる私は律儀に10分前に着くよう家を出た。えらい!私えらい!えらすぎる!自画自賛しながら、途中にあるスーパーでコーラ3本コアラのマーチ5個を買った。すぐに後悔した。山に登るのにコーラ3本は重いし、コアラのマーチ5個は嵩張るから。やっとの思いで頂上に着いた。ほぼ同時にUFOが来た。どうやら思ったより登るのに時間がかかったらしい。貢ぎ物を渡すと「美味しくなかったら侵略してやるノダ。美味しかったか、美味しくなかったか結果は明日教えるノダ。」と言って帰って行った。どうやら私は明日もここに来ないといけないらしい。



今日は和田山の頂上に、約束の10分前に着いた。

空を見上げるとちらほら星があって、飛行機が飛んでいる。夜空に浮かぶ光は、もしかしたら1個くらいはUFOなのかもしれない。そう思っているとUFOが来た。もし美味しくなかったら本当に侵略してくるのだろうか。不安になってきた。

結論から言うと、ピウス星人はとてもコーラが気に入ったらしい。開口一番「コーラをよこすノダ!コーラをよこすノダ!もっといっぱいよこすノダ!」と騒いだ。私は心配ごとを極めて優しく聞いてみた「気に入ってくれたんだ?そしたら地球侵略しないよね?」と。すると「もっといっぱいよこすノダ!」と返ってきた。優しく笑みを浮かべて「もっといっぱいってどれくらいかな?」と聞いたら「100億本!」と返ってきた。その望みを叶えるには私は大金持ちにならないといけないだろう。というか一本100円でも一兆円必要だ。私は優しさを失って「そんなに欲しいならアメリカに行けば100億も1000億も貰えると思うよー」と答えた。するとピウス星人は大喜び。「アメリカはどこにあるノダ!教えるノダ!」ここでみんな考えて欲しい。Q.今いる場所からアメリカがどこにあるかみんなは答えられるだろうか?

A.答えられます。口だけは難しいけど、今はスマホがあるから。スマホというアイデアを思いついた私は、スマホでマップを見せた。ピウス星人はテンションMAX、私のスマホを奪った。おや?「サンキューノダ!」サンキューじゃなくて返して?そう思っているうちにピウス星人はUFOに乗って去って行った。


私はこの後ピウス星人に会うことは無かった。探したり、和田山で待ったりしたが2度と現れなかった。きっと私のスマホと一緒にアメリカに行ったのだろう。そしてNASAとかと話しているのだろう、私のスマホと一緒に。アイツは泥棒である。


私は3日間スマホを無くしたことを親に隠していたが、4日目にバレた。連絡が全くつかなくなっていたから。私はしこたま怒られた。私はピウス星人のせいだからって言いたい。けど、宇宙人なんていないよ!と、火に油を注ぐだけだと私は知っている。だから私は反省した感じで謝った。


まあ、この3日のことを一行日記に書いて提出しよう。宇宙人に出会ったなんて、旅行でどこに行ったとしても敵わない経験だろう。


7/28

散歩をしていたら宇宙人、ピウス星人に出会った。貢ぎ物が欲しいらしい。明日和田山へ貢ぎ物を持って行く。

7/29

コーラとコアラのマーチを持って行った。結果発表は明日。だからまた結果を聞きに和田山へ行く。

7/30

コーラが気に入ったらしい。コーラがいっぱいの国としてアメリカを紹介したら私のスマホとアメリカへ行った。


これで私の宿題は終わりだ。


夏休みが明けて始業式、みんなは嘘の旅行の日記やバイトの日記を書いていた。私は、「私の日記は真実100%である」フッと笑っていた。

そしたら2日後くらいに熊野先生に呼び出された。そして

「とってもいい日記、とってもいいと思うんだけど…日記だから嘘は駄目よ?あとせめてもっとマシな嘘つかないと。もう1回書いてきてくれるかな?」と言われた。


出会ったピウス星人風に言ったら「嘘じゃないノダ」だなと私は思う。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

夏休みの日記が嘘だといわれたノダ おおさきあいう @little-busters

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ