虚白

 季節が移ろい巡って、ピンクの欠片が舞い散った後。

 いつまで待っても新しいみんなが来なくなった。


 空かない鍵、付かない電気、私を苦しめないエアコン。

 君たちは、どうしたの?


 キーンコーン カーンコーン


 戸惑う私をよそにして、チャイムは今日も鳴る。


 がたがた、がたがた。


 ぎぃ、と言う耳障りな音がアクセントの合図は、私の中からも聞こえてくるはずなのに。

 

 みんなが来ないまま巡り巡って、外の葉っぱも落ちてしまった。


 なのに、また誰も来ない虚白な時は続く。


 新入生を受け入れる、嘉保中一階、左端の1-4。

 私は唯、隣の部屋の音に耳を澄ませることしかできなくなってしまった。

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