第15話:時の創造者<クロノ・クリエイター>

ソウマが残したメッセージの謎を解き明かしたユウキとヒカリは、ネオ・クロノスを駆り、宇宙の深淵へと向かった。そこは、すべての時間の概念が存在しない、究極の虚無が広がっていた。彼らが目指すのは、すべての宇宙の時間を操る「時の創造者<クロノ・クリエイター>」の場所だった。

「ユウキ! この虚無の先に、強大なエネルギー反応を検知! これが……時の創造者よ!」

ヒカリが焦りを滲ませる。ネオ・クロノスは、虚無に吸い込まれないよう、全エネルギーをバリアに回して進んでいく。その時、虚無の中から、まばゆい光を放つ、巨大な人型の存在が姿を現した。それは、過去でも未来でもない、すべての時間の概念を超越した、究極の存在だった。

『……ようこそ、ネオ・クロノスのパイロットたちよ。君たちが来るのを、待っていた』

声は、ユウキとヒカリの心に直接響き、宇宙そのものが語りかけてくるかのような、荘厳な声だった。

「あなたが……時の創造者……! なぜ、私たちの宇宙で、そんな実験を!?」

ユウキが叫ぶと、時の創造者は、静かに語り始めた。

『実験ではない。私は、君たちの宇宙を、救おうとしたのだ』

時の創造者は、驚くべき真実を明かした。この宇宙は、遠い昔、すべての時間を無に帰す、究極の終焉を迎える運命にあった。時の創造者は、その終焉を回避するために、時間の流れを歪ませ、様々な「試練」を人類に与えたのだという。

「試練……!?」

ヒカリが息をのむ。ヴァージン、時の番人、時間喰い、そしてソウマ……彼らが戦ってきたすべての絶望は、この宇宙が終焉を迎えないよう、時の創造者が与えた、壮大なテストだったのだ。

『君たちは、すべての試練を乗り越えた。絶望を希望に変える、真の力を手に入れた。君たちこそが、この宇宙を終焉から救う、最後の希望なのだ』

時の創造者は、ネオ・クロノスに手をかざした。すると、ネオ・クロノスのコアがまばゆい光を放ち、すべての絶望と希望のクリスタルが融合し、一つの結晶へと変わった。それは、時間と空間、そして生命の意志を司る、究極の「希望のクリスタル」だった。

『このクリスタルは、君たちの宇宙の終焉を、新たな創造の物語へと変えるだろう。君たちの旅は、もう終わる。この宇宙の真実を、すべての生命に伝えてくれ』

時の創造者は、そう告げると、光の粒子となってネオ・クロノスのコアへと吸収されていった。ユウキとヒカリは、言葉を失った。彼らが辿り着いた宇宙の真実、それは、すべての絶望が、希望を生むための、壮大な物語だったのだ。

カイトとリナが光となったように、ユウキとヒカリもまた、宇宙の希望の象徴となった。彼らの旅は、終焉を迎え、そして、新たな時代の始まりを告げる。

『エグゾフレーム・クロノス - ネオ・フロンティア』完結。

この物語は、過去の絶望を乗り越え、未来を創造する希望の物語として、永遠に語り継がれていく。

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