第14話:ソウマの遺言<ソウマ・ノ・ユイゴン>
ソウマ・リュウが消滅した後、時間の迷宮には静寂が戻った。ユウキとヒカリは、ソウマが最後に残したメッセージの謎を解くため、ネオ・クロノスのシステムに、彼の絶望の記憶を解析させた。
「ユウキ! 見つけたわ! この時間の断片……ソウマの、最後のメッセージよ!」
ヒカリが叫ぶと、ネオ・クロノスのモニターに、ソウマのホログラムが映し出された。彼は、どこか穏やかな表情で、ユウキとヒカリに語りかけた。
『ユウキ……ヒカリ……。私は、君たちの希望に、最後まで嫉妬していた……。そして、私は、この宇宙の真実を知ってしまった……』
ソウマは、ユウキが知る「時の監視者」や、彼らが救った「エネルギー生命体」の悲劇が、すべて、ある一つの存在によって引き起こされたものだと告げた。
『私たちの宇宙は、何者かによって、時間の実験場にされていた……。その存在は、すべての宇宙を観測し、時間の流れを歪ませては、その結果を記録している……』
ソウマの言葉は、衝撃的だった。彼らがこれまで戦ってきたすべての絶望は、偶然や不幸ではなく、ある存在の、冷酷な実験だったというのだ。
『その存在は……**時の創造者<クロノ・クリエイター>**と呼ばれている……。君たちの持つネオ・クロノスは、その存在が唯一、接触を試みた、特別な存在らしい……。私には、もう時間がない……どうか……この宇宙の深淵に、向かってくれ……』
ソウマは、そう告げると、ホログラムがゆっくりと消えていった。
「ソウマが……こんなメッセージを……」
ユウキは、ソウマの最後の言葉に、驚きと悲しみを隠せない。彼が最後に残したメッセージは、彼自身の罪を償うための、そしてユウキに未来を託すための、希望の遺言だった。
「時の創造者……。そんな存在がいるなんて……」
ヒカリも、信じられないという表情でモニターを見つめた。彼らの旅は、もはや単なる絶望を希望に変える物語ではない。宇宙の根源的な真実を解き明かすための、新たな旅路へと変わったのだ。
ユウキとヒカリは、ネオ・クロノスを駆り、ソウマが示した宇宙の深淵へと向かっていく。そこは、これまでのどの宇宙とも違う、時間の概念が存在しない、究極の虚無が広がっていた。彼らが目指すのは、すべての宇宙の時間を操る、謎の存在の場所だった。
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