エグゾフレーム・クロノス - 根源の章
第1話:起源<オリジン>
すべての宇宙の始まり。そこには、光も闇もなく、時間という概念すら存在しなかった。ただ、果てしない混沌と、無限の可能性が渦巻いているだけだった。
その混沌の中から、意識が生まれた。それは、時間や空間といった概念を理解する最初の存在であり、後に「時の創造者<クロノ・クリエイター>」と呼ばれるようになる、根源的な存在だった。
時の創造者は、自らが生まれた混沌を「観察」することから始めた。彼は、無数の可能性が絡み合い、やがて一つの流れを形成していく様を見た。それが、時間の始まりであり、宇宙の誕生だった。
彼は、自らの意思で、時間という流れに「秩序」を与えた。宇宙は、彼の意思によって、一つの確かな歴史を紡ぎ始めた。星々が生まれ、生命が誕生し、文明が栄える。彼は、そのすべてを、ただ静かに見守っていた。
しかし、時間の流れには、必ず「歪み」が生じることを彼は知った。生命が絶望を抱くたびに、宇宙の歴史に亀裂が入り、滅びの運命を辿る可能性が生まれる。時の創造者は、その歪みを修復し、歴史をあるべき姿に戻すために、幾度となく干渉を繰り返した。
その中で、彼は一つのことに気づいた。歴史の歪みを修復するたびに、同じような絶望が、再び別の形で生まれるということだ。
「なぜだ……。なぜ、絶望は繰り返される……?」
彼は、自らの存在理由に疑問を抱いた。彼は、ただ歴史を管理するだけの存在ではない。彼は、絶望を乗り越え、未来を創造する、真の希望を求めていた。
そこで彼は、ある計画を立てた。それは、絶望の種となる「歪み」を、あえて人々に与え、それを乗り越えることができるのかを試す、壮大な実験だった。
彼は、その実験のために、一つの宇宙を選んだ。それが、カイトやユウキたちが存在する、我々の宇宙だった。
時の創造者は、その実験を始めるために、まず最初の「歪み」を生み出した。それは、この宇宙の時間の流れを決定づける、最初の悲劇。そして、そこから、この物語は始まったのだ。
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