第13話:歪んだ未来<ユガンダ・ミライ>
時の迷宮の奥から現れたソウマ・リュウは、巨大な光の影となり、ユウキとヒカリが統合した時間軸を引き裂こうとしていた。彼の声は、怒りと嫉妬に満ちていた。
『ユウキ・ナギ! 君はいつもそうだ! 私からすべてを奪う! ネオ・クロノスも、ヒカリも、そして今度はこの時間さえも!』
ソウマの言葉は、彼の心に渦巻く深い絶望を物語っていた。彼は、ユウキがネオ・クロノスのパイロットに選ばれ、ヒカリと共に希望の光を掴んだことに、激しい嫉妬を抱いていたのだ。
「ソウマ! 俺は、何も奪ってない! 俺たちは、みんなの未来を創るために、この力を手に入れたんだ!」
ユウキが叫ぶが、ソウマは聞く耳を持たない。彼は、時間を操る力を暴走させ、無数の時間の断片をネオ・クロノスへとぶつけてきた。
「くっ……! この時間の断片は……ソウマの、過去の後悔だ……!」
ヒカリが解析結果を見て、驚愕の声を上げる。ソウマが放つ時間の断片は、彼がネオ・クロノスのパイロットに選ばれなかった後悔、ユウキへの嫉妬、そして、彼が抱えるすべての絶望の記憶だった。
ユウキは、ネオ・クロノスの光の剣を構え、その時間の断片を打ち払っていく。しかし、それはまるで無限に湧き出る絶望の波のようだった。
「ユウキ! このままじゃ、彼の絶望に飲み込まれてしまうわ!」
ヒカリが焦りを滲ませる。その時、ユウキは、ソウマが引き裂こうとする「未来」の真実を、クリスタルの力で垣間見た。
ソウマが目指す未来は、彼自身が時の超越者となり、すべてを意のままに操る、歪んだ世界だった。彼は、自分の人生におけるすべての失敗や後悔を、時間という力で消し去ろうとしていたのだ。
「ソウマ! そんな未来に、希望なんかない!」
ユウキが叫ぶと、ソウマは悲痛な声で答えた。
『うるさい! 君に、私の絶望がわかってたまるか! 私は、君の未来を、絶望に変えてやる!』
ソウマは、ユウキが統合した時間軸を、再び引き裂こうとする。その瞬間、ユウキは、ネオ・クロノスに、最後の力を込めた。
「未来は、誰かに与えられるものじゃない! 自分で、この手で、創るものだ!」
ユウキの叫びと共に、ネオ・クロノスから放たれる光が、ソウマの絶望を、そして彼が描く歪んだ未来を、希望の光へと変えていく。
ソウマの絶望は、ユウキとヒカリの希望の光に触れ、ゆっくりと溶けていった。彼は、ユウキたちが持つ力と、そして何よりも、二人で未来を創ろうとする絆の強さに、敗北を悟った。
「ユウキ……私は……ずっと君に嫉妬していた……。私には、君のような力も、ヒカリとの絆も、なかったからだ……」
ソウマはそう呟くと、光の粒子となって消えていった。彼の消えた場所には、何も残らなかった。彼は、自分の存在を、すべて消し去ってしまったのだ。
戦いが終わり、ユウキとヒカリは、再び一つとなった時間軸を見つめた。彼らは、ソウマの悲劇を胸に刻み、未来を創造する旅を続ける。
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